|
最近とても大事だなと感じることがあります。
それは『無責任さを忘れるな』ということ。俺はとても待遇の悪い会社で働いていました。そこでそれを痛感しました。目の前のコトに一生懸命ぶつかっていくのはもちろん大切なことだと思います。それも忘れちゃいけないことです。というか、それは殆どの人が意識しなくともわかっていることなんじゃないかな。
けど、ある程度の無責任さを保つことを忘れてしまうことって意外と多い気がします。仕事に追われて必死になりすぎて自らを追い込んでしまう。俺は今日付けで前述の酷い待遇の会社を辞めました。今は違う会社で働いています。前の会社にはとても生真面目で誰よりも働いている人がいます。ここでは仮にMさんとしましょうか。
Mさんはとにかく自分からどんどんすすんで仕事をやろうとします。とにかくガンガン攻めの姿勢で頑張って働いています。その部分は大したもんだなと素直に思います。でもね。その会社ではどんなに寝ないで働いても手当ては全く出ません。そして正当に人を評価できる人もいません。会長と社長がセコイ上に人を正当に評価できる能力を持ってない。
さらに、その人は基本給がとても安く奥さんと子供を養うには今の給料では間違いなくギリギリだと思います。その中で目の前のことを頑張ればお金のことなんか後からついてくるんだと信じて(本人が俺にそう言ってました)がむしゃらに働いています。
俺はそんな彼を『たしいたもんだ』とは思っているけど別段尊敬はしていません。確かに頑張ってるなとは思うけど、俺は彼に『生真面目過ぎて損をするタイプ』という印象を持ってます。残念ながら世の中は頑張れば必ず報われるわけじゃありません。だからって最初から頑張らないってのはそりゃ問題外だけど、頑張りながらもその中で『押し引き』ってのを見極めないと必死でやってるうちに別の大事なもんを無くしてたりするんですよね。
そこである程度の無責任さってのがとても大事だと思うんです。気持ちに余裕を持つと言うと『それが出来りゃ世話ないよ』と言われてしまうかもしれないけれど、ある程度無責任でいればいいと言えば何となく出来そうな気がしません?
あまりにも理想的なものを求めすぎて『頑張ればきっと報われる!』と頑なに信じ、自分にとって必要なモノとそうでないモノを見極める余裕をなくし、目の前にあるもの全てにぶつかっていったら、報われるどころか損をしてしまうことの方が多い気がします。社会人として働くってすっげー大変なことだけど、単に大変なのではなくあまりにも無茶な状況に陥ったとき、その原因がどこにあるかが重要なポイントだと思います。
つまり、それが果たして頑張って報われる類のものかどうかってことです。所属している会社が根本的なところから腐っている場合、まずはそこを何とかしないと頑張っても報われない可能性が高い。俺の場合は前の会社で働いているときに『このままここにいたらマズイ。』と強く思いました。
自分の力で会社を変えるなんて無茶なことは考えず、何とかしてもっとマトモなところに行こう!と考えました。だって親子でやってる会社を部外者が変えるなんて無理だもん。何もそんなところで理想を追い求めることもないんじゃないのかなと考えました。
そこで『ある程度』無責任な部分を自分の中に残しておいた。基本的には一生懸命仕事をしたつもりだけど、常にその意図的に残しておいた『無責任さ』を使って仕事への取り組み方を調節してました。その結果、新しい会社へのキップを手に入れました。
前の会社では現場で時間があるときにこっそり資格の勉強をしました。会社を車で出たときもすぐには会社に戻らないで、目立たないところに車をとめて勉強をしました。そのおかげで一発で試験に受かりました。
Mさんはそういうことをする人をきっと最低だと言うでしょう。というか一回勉強してるのがバレて『自分的にはそれでいいかもしれないが会社としてそれじゃこまるだろ』と言われたことがあります。それでもずっとトボけて勉強してましたけど。だってあんな会社自分にとって踏み台でしかないもん。今後どうなろうと知ったこっちゃない。
そして資格取得後は仮病とか身内の事情とかを持ち出して、しれ〜っと会社を休んで面接と入社試験を受けました。やらなきゃいけない仕事はまじめにこなしながらも絶対譲れないところは強引にでも時間を作った。そしてサクっと採用されました。そして前の会社には見切りをつけました。辞めるコトをMさんに話したときに『裏切られた』、『期待してたから一生懸命仕事を教えたのに』、『仲間だと思っていたのに』と延々説教されたけど全然気にしてません。
その会社は現在、儲からない割りに手間ばっかりかかる仕事でメチャクチャ忙しいです。Mさんはそんな中とても頑張っています。3週間以上日勤と夜勤を絶え間なく連続でやってる感じです。そのうちぶっ倒れるんじゃねーの? そんな風に会社の為に頑張るのも良いですけど、それってどうなんだろ。そんだけ頑張ってもあの会社じゃどーにもなんないと思うけどな。
本人はそれに納得してるんだから別に良いけど、俺はそういう風に生きていくつもりはありません。Mさんには納得して一生懸命になれる会社かもしれないけど俺にはそうじゃなかった。だから俺は自分にとって『程よく』無責任に振舞ったわけ。で、Mさんは自分の理想を他人にも押し付けるから正直すげー嫌いでした。
彼の言い分は言葉だけ聞いてるとメチャクチャ綺麗なこと言ってるんです。『義理人情というものは大事にしなくちゃいけない』とか『努力することが大事』とか『会社への礼儀としてもっと頑張らなくちゃいけない』とか。
言ってることは間違ってないと思うよそりゃ。つーか、いい大人なんだからそんなもんわかりきってるコトだよ。けど、そんな綺麗な道徳の時間みたいなことだけで世の中は動いちゃいない。それを延々説教されてもアホくさいだけだよ。そういう道徳的なコトは大人ならみんな知ってる。
けど、現実は色々な要素が絡み合ってそんな単純に語れるもんじゃないって気付いていくもんじゃないのかな。だからMさんが得意気に説教をすればするほどアホに見えてしかたなかった。自分にとって大事なものに対して責任を果たすってのは一般的な道徳を常に貫くこととは全く別だと思うんだけど。ましてやいい大人が他人にそれを説教するなんてアホ丸出しじゃないか。
自分なりの理想を持つのはとても大事だと思う。それに少しでも近づけるように努力するのも大事だと思う。けど、一般的な道徳心をエラソウに説教されてもね。理想を持つってーのはそういうのとはまた違うだろ。
俺はやはり自分の中にいざというときの為の『無責任さ』ってのを持って生きていくつもりです。自分が本当に大事にしたいもの、重視したいものを失わない為にね。 |
|