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音楽日記 2002/06


★2002/06/11 (Tue)
jake
Hybrid Theory / Linkin Park


とてつもなく中途半端な時期に取上げる感じだけど今回はこれ。いわゆるニューメタルというか、ラップとロックを混ぜたミクスチャー・ヘヴィーロックという部類に入る曲をやっているLinkin Parkのデビューアルバムです。


リリースは2000年。このアルバムはリリース直後に買ってこのサイトの音楽レビューのページが今の形になる前にミニレビューみたいな形で1回取上げているんだよね。けどそのファイルは今は影も形もなくなっているんで改めて取上げようかと思います。


最近かなり聴いているのよ。いとしのなっちを食っちまったアイバッチの最大のライバル押尾学の歌手デビューがキッカケで1回飽きたのに再び聴き始めたんだよね。押尾学のLIVって知ってる? デビュー曲『Without you』はそこそこ売れたみたいだし、また新曲を最近出したよね。


いやー、その押尾学の『Without you』がさ。Linkin Parkなのよね。元ネタがわかり易過ぎて初めて聴いた時大爆笑したんだけど。リフが全く同じってわけではないんだけど、明らかにLinkin Parkの曲を元にちょっと崩して作った曲なのよ。音の感じもそっくりでさ。


それで思い出したようにLinkin Parkを再び聴きはじめたら以前よりもさらにハマって現在に至るという感じで。ぜひ押尾学の『Without you』とこのアルバムの曲を聴き比べて下さい。とても面白いので。しかも、このアルバムには『With you』って曲が入ってるんだけど・・・・狙ってるのかなあ。わざと狙ってツッコミ待ち?


このアルバムは結果的にアメリカでは超ロングヒットとなったみたいですね。今までのヘヴィーロック系のバンドとは明らかに違う売れ方をしたバンドなんですね。それまでこういう音楽を聴かなかった人をも取り込んで『国民的なロックバンド』として売れたという形らしいです。


確かに非常にコンパクトにまとまった楽曲といい、やたらメロディアスなメロディーといい、ヘヴィーロックと呼ばれる音楽をやっている他のバンドの音と比べても明らかに質感が違うんですよ。既存のバンドの『美味しいトコ取り』系の音ではあるんだけど、このバンドの場合はメロディーの感覚がそれまでアメリカで売れていたこの手のバンドのそれとは明らかに違うのよ。


言葉は悪いかもしれないけどメロディーが『歌謡曲』っぽいんです。すごくクサイ。ラップの部分と歌の部分を担当する人がそれぞれ別にいるので、ラップとメロの部分との分離が凄くハッキリしてる。それによってさらにわかり易さが増しているんですよね。セカンド以降のLimp Bizkitのようなキャッチーさとはまた違う聴きやすさなんですよ。


もっとわかりやすく言うと、古き良き時代のハードロック・ヘヴィーメタル的なメロのクサさというか恥かしさがあるんですね。アレンジは他のヘヴィーロックバンドが多く用いているようなありがちなリフで構成されているのだけど、Marilyn Mansonのようなデジタルっぽい味付けがされています。


そうそう、メロに関してもMansonっぽい部分も結構あるかもね。Mansonは俺の中ではハードロックなんだけど、このLinkin Parkもそれに近い感触なんですよ。Mansonのメロディーセンスからドロドロ感と暗い感じを抜いて、よりキャッチーにクサく仕上げてそこにラップは混ぜた・・・という感じかなあ。ヴォーカルの声はMansonみたいな痰がらみ声ではなく全然爽やかな声だけどね。


そんな音だからこのアルバムはコテコテなハードロックに拒絶反応を起こすような現代ロックッ子よりも古くからのハードロックファンなんかの方に受けが良さそうな音だと思うのよ。はっきり言っちゃえば『前時代的なロック』のメロディーが満載なんですよ。だからアメリカで爆発的に売れたってのがかなり不思議に思える面もあるんだよね。


いや、今のアメリカの感覚だと『前時代的でダサい』と言われかねない音だと思うからさ。切なげで綺麗なキーボードの音がバックにサ〜っと入っていたり、ダミ声っぽい声を作って叫ぶ場面も多いけど、そもそも地声が甘い声だから迫力があるとは言い難いし、メロは前時代的なクサさがあるしね。


時代は廻ると良く言うけど、音楽の世界もそろそろひとまわりしてこういうクサいメロのロックが受け入れられる時代がまた再び来たってことなのかな。Mansonが売れているのもその現れのひとつなのかな。さっきも書いたけど、俺はMansonってハードロックだと思ってるしな。


と、いうよりもこのアルバムはBack Street Boysなんかを聴く感覚でリスナーが買っていったのかもしれないな。それほど歌謡曲っぽいんですよ。だからこのアルバムは売れたとは言え、生粋の現代ロック小僧にはわりとバカにされる傾向にあるのかもしれないです。うん。そうかも。KORNなんかを盲目的に支持する人にはやっぱり『イモクサい』のかも。


俺自身はもちろん大好きですよ。だからここに取上げているわけで。なんというか、俺の場合は、このLinkin Parkは聴いていて暴れたくなったり頭を振りたくなったりするんじゃないのよ。聴いてて『血がたぎる』って感覚は無いに等しいです。だけど好き。


このアルバムって『腰を据えてジックリシミジミ聴くヘヴィーロック』って感じなんだよね。聴きながら頭を振るんじゃなく目を閉じて『ん〜良い曲だなあ』って噛み締めるっていうか。


Linkin Parkを一言で表すと。


『癒し系ヘヴィーロック』。


これだね。これなのか?


★2002/06/13 (Thu)
jake
Untouchables / koRn


そうきたか!!!


と、思った待望のkoRnの5thが到着しました。現在のヘヴィーロックバンドの根源になっていると言っても過言では無いバンドの新譜なのでこの手の音楽が好きな人には期待している人も多いはず。


国内盤は19日発売のようだけどもう輸入盤としては手に入ります。んで、俺はまだ買ってないです。すいません。だってカネナインダモン。カネガナインダモン。ナインダモン。別に買うのがイヤなわけじゃないんだよ。いずれ絶対買うつもりだけどとりあえず音だけ入手したんで取上げちゃいます。


あと、今出回ってるいわゆるM@3の音源って曲名がメチャメチャなんよ。サビの部分に出てくる言葉をとりあえずそのまま曲名にしてるみたいでさ。しかもファイル名についている曲順もメチャメチャ。なので入手した後に、サビの部分だけを試聴できるサイトへアクセスして1曲ずつ聴き比べて曲名と曲順を自分で直してからやっと聴き始めたもんですげえメンドかったよ。


んで、ちゃんとした曲名と曲順に直してその通りに聴いた感想なんですが。冒頭でも述べた通り『そうきたか!』というのが第一印象。先行シングルの『Here To Stay』はアルバム入手以前にも聴いてなかったので全ての新曲に対する第一印象がまさに『そうきたか!』でした。


いや、これ相当聴き易いよ。しかも個人的には相当好きな方向性。キャッチー過ぎると賛否両論だったサード『Follow The Leader』に匹敵する聴き易さだと思うんだけど。俺はサードは大好きだったんでキャッチーであることになんの不満も無いです。


俺は4th『Issues』は最初はピンとこなくて何度も聴きこんでやっと『普通に好き』と言えるレベルになったんですけど、今回は1回聴いただけで好きと言える作品になりましたね。うーん。これはイイ。


今回のレコーディングはかなり時間がかかってたし、最初俺には少し難しく感じた4thの後だったので、『ややこしい』アルバムになるんじゃないかって少し不安があったんですけど、全然違いました。そんな風に俺はややこしい音を想像してたんで、この聴き易さに触れた瞬間に『そうきたか!』と思ったわけなんです。


ファーストでは焦らしてから爆発する感覚を前面に出し、セカンドでは彼らの持つクセを強調したドロドロした感覚を前面に出し、サードでは聴き易さを重視したキャッチーな感覚を前面に出し、4thではそれまでよりも音楽性を大きく広げたアーティスティックな面を強調していたと思うのです。


そしてこの5thはサードのキャッチーさを取り込みながら圧倒的な音圧で畳みかけてくる作風となってます。しかもジョナサンのヴォーカルは『叫ぶ』のではなく『歌い上げる』感覚。キャッチーなメロディーを力強く、そして伸び伸びと『歌ってる』んですよ。今回のジョナサンの歌は聴いていて凄く気持ちがイイ。だからやたら聴き易いんですね。


とにかくすごく爽快に最後まで駆け抜ける『ロック』なつくりです。逆に言えばロックな感覚よりもアーティスティックな感覚を強調していた4thが最も好きだった人には暑苦しく感じるかもしれません。サードのようにキャッチーではあるんだけど、今回は圧倒的な音圧と勢いがあるからとても暑苦しいんですよ。


しかもかなりメタルな感触です。間違い無く今までの作品の中で最も『ザクザク』したリフが多いです。なのでメタル畑出身の俺は聴き易いという印象を受けるのかもしれません。ザクザクとクランチーなリフと圧倒的な音圧とウネる感覚。それに加えて歌い上げるキャッチーなメロディー。それでも彼らのもつヒップホップな感触も薄れたわけじゃない。


これはもう俺にとっては最高の仕上がりです。俺が思うに、恐らく今回のこの作品はメタル畑の人やメタル専門雑誌なんかでは高い評価を得ると思います。そんな作風だから俺にはやたら耳に馴染んで1曲1曲が極端に短いわけじゃないのにあっという間に最後まで聴き終わってしまう感じがするよ。それほど聴き易いのよ。


あえて難点を言えば似たような曲が多いという事かなあ。だけどそれを差し引いても俺は大好きかも。っていうか大好き。なんとかお金を工面してちゃんとCDで入手しないと!


とにかく個人的には。


きたーーーーーーー!! って感じだよ。


これは早くライブが観たいぞ!


★2002/06/29 (Sat)
jake
At Budokan / Bob Dylan


1978年にリリースされたBob Dylanのライブ盤。


その名のとおり日本の武道館でのライブを収録したものです。このアルバムは本当に大好き。だけど、ネット調べて知ったのだけど一般的にはかなり評判の良くないアルバムのようでかなりガックリしてしまいました。


もちろんそれで自分の評価を変えたりはしないし大好きであることには違いないんですが、やっぱり自分が好きなものの評判が悪いとちょっとガックリするってのもあるじゃん。そういう意味での『ガックリ』ね。


すごくいいと思うんだけどなあ。否定派の意見はどれもこれもほぼ同じで『選曲はベストだがアレンジを変えまくって原曲の良さを壊している』というもの。確かにアレンジがオリジナルとは全然違うんですよね。だけどライブ盤が単なるスタジオ盤の再現だったらあんまり面白くないじゃんか。俺はむしろ違う方が良いです。同じ曲でも色々な演奏があって嬉しいけどな。


11人のバックバンドを従えてベスト選曲の楽曲をのびのびと歌うDylan。そのバックの演奏も非常に安定していてゴージャスで華やかなもの。否定派の人たちはその華やかさが気に食わないんだと思うけど俺の評価はまったく逆。このアレンジがDylanのくせのある声とハッキリしないメロディーをポップで聴き易い印象に変えているのがすごく良いの。


Dylanをチョコっとだけ聴いてこの人特有の『メロを崩して話すように歌う』というクセの部分に苦手意識をもった人にはこのアルバムを薦めます。本当にポップな印象。Dylanを渋くて地味な音楽をやっていると思い込んでいる人がいたなら、このアルバムを聴いて驚くと良いと思う。


Dylanは何をやってもDylanでしかないんですよ。聴けばすぐこの人だとわかる。現時点での最新アルバムLove And Theftではかなり多彩なタイプの曲をやっているけれど、それでもどれもこれもDylanでしかない。どう聴いてもDylan。この人がギターを手にして歌えさえすればもうそれだけでこの人の曲なんですよね。


だからこそ同じ曲でも様々なアレンジで歌われたって良いじゃないですか。この人が歌えばもうそれはDylanなんだ。クセの強いイメージのあるこの人の歌とメロがこんなにポップで聴き易いアレンジで聴けるなんて嬉しいじゃない。このアルバムはビートルズも真っ青の極上ポップロックアルバムだよ。


誰が何と言おうとこのAt Budokanは名盤だと言い切ってやる。

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