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音楽日記 2002/07


★2002/07/04 (Thu)
jake
A Life Of Saturday / Dexter Freebish


2000年にデビューしたDexter Freebishのデビュー作です。


このバンドは素晴らしく好みの音です。ジャンルとしてはオルタナティブとして分類されたりしてるけど、実際『普通のロック』です。LifehouseやBliss66、んと、あとはThe Callingとかと同じ枠に入るのかな。個々の音はもちろん違うけど大雑把に分けたら同じ枠にはいるだろうなと。


Lifehouseは以前ここで取り上げたときにはやたらとPearl Jamを引き合いに出した気がするけど、死ぬほど聴き込んだ今となっては(っていうか今でも聴いてます)ヴォーカルの声は少しエディ・ヴェダーを彷彿させる部分がありつつもそれ以外は『普通のロック』と捉えてるしね。


アレンジを変えてちょっとコーラスを大げさにしたらハードロックにもなりそうな音とでも言えばいいかな。バンドの音全てを含めて明らかにPearl Jamあたりを通過したという音、例えばCreedなんかとはまた違うもっと肩の力が抜けた本当に『普通のロック』。けどこのバンドの場合は前述のバンドよりも遥かにポップで健康的な音になってます。


これといって特徴が無いといえば無い。 オフィシャルサイトには『Cars ミーツ U2』とか書いてある。うん。わかる気がする。ファーストシングルである『Leaving Town』のイントロなんかはかなりU2を思い出す感じになってるしね。それでメロはサラっと爽やかに健康的。


ヴォーカルの声はLifehouseなんかのようなエディ・ヴェダー的な、言葉を潰しながら歌うようなタイプではなくすげえ普通の声。これまたあまり特徴が無くて特別巧いってわけでもないのね。ものすごく当り障りの無い声と歌い方。その声で前述したように普通のロックソングを普通に歌うという。


ここまでだと全然ダメそうだけど、良いのよ、曲が。素直なメロディーと奇を衒うことの無い素直なアレンジ。このアルバムに収録されている11曲はどれもこれも素直なつくりで俺としてはホッと安心できる音がすごく気持ち良いの。


アメリカでは売れた曲があるようだけど、日本での知名度はすごく低いよね。ロックの洋楽を聴く人でも知らない人の方が多そうだもんな。っていうか俺も詳しいことは知らないし。ネットのラジオを聴いてて偶然耳にして気に入ったのよ。なので雑誌なんかの記事も読んだことが無いんでバイオ的なことはここでは紹介できなかったりする。


うん。普通。とにかく普通。


何かしら強烈なインパクトや個性を持っていてBGMに出来ないような音楽を好む人には本当に面白みの無い音かもしれないけど、素直で健康的で聴き易い『普通のロック』を心地よく思える人にはちょっと聴いてみて欲しいバンドだね。絶対オススメ!とはさすがに言えないんだけど、こういうのも好きだよ俺は。


★2002/07/18 (1) (Thu)
jake
Welcome To Blue Island / Enuffz'nuff


俺が一番好きなアメリカのバンド、Enuffz'nuffの久々の新作がついにリリースされました。本当に待ってましたの新作ですよ。前作『10』がかなりの佳作だったので今回も期待して買ってきたんですけども。


実際、かなーり微妙。


一回聴いた時点ではスゴク良い!って思ったんだけど何度か聴くうちに彼らにしてはメロディーが弱いコトに気がつきました。決して悪くは無いけどあと一歩何かが足りない、そんな印象です。前作はビートルズマニアで知られる彼ららしくポップな面を非常に強調した作風で、程よくリラックスした曲調に良いメロディー乗っている素晴らしいアルバムでした。


今回は前作よりも遥かにロックテイスト溢れる仕上がりで全編通してそれなりにハードな曲調となってます。それでも初期のハードロック丸出しの音とは違って少しラフさの残るアレンジになっているのでUKっぽさを感じる曲もチラホラとありますね。02『Saturday』なんかはサード以降のWeezerを思い出す程。


ラフさを残した作りなのだけど何処か変に力が入っちゃってるというのかな。『今度はロックテイストを濃くしよう!』という意気込みはスゴイ伝わってくるんだけど、メロディーの魅力が減退してしまって力の入れドコロを微妙に間違えちゃったという雰囲気なんですよね。


近年の彼らの魅力はハードロック路線から幅を広げて広い意味でのロックバンドとなり、程よいリラックスムードがあるところだと思うんだけどもこの作品ではロックテイストを重視した結果その魅力が損なわれてしまった感があるのが残念でなりません。もちろんハードな内容のアルバムが単純に良くないと言っているのではないですよ。


もうすっかりベテランの域に達してる彼らがここへ来てどうしてこんなに力んじゃったんだろう・・・というのが俺の正直な感想です。けど決して駄作というほどは悪くないです。それが『微妙』という表現に繋がっているわけですけども。


06『I've Fallen In Love Again』なんかは実に彼ららしい曲でメロディーも親しみやすいのに単純になっていなくて良い曲だと思います。07『Roll Me』はノリの良いロックンロールソングでこれまた彼ららしい名曲です。だけど全体を通して聴くと印象に残る曲が少ないんですよね。聴き終わったあとに何曲かは残るけどあとはサラっと流れていってしまう。


前作よりもハードな曲調だからといって必ずしもガツンと来るわけじゃない。これはやっぱりメロディーの弱さにその原因があるんですよ。ビートルズやチープトリック的な少しくせのあるメロディーは確かに健在だし悪くは無いけどフックに欠ける。そんな風にこのアルバムは本当に微妙。俺にとってズナフは特別なバンドなのでそれでも聴き込むと思いますけどね。初心者にこれを薦めるってコトは出来ないなあ。


久々の新作が大絶賛出来なかったのは本当に残念です。


★2002/07/18 (2) (Thu)
jake
LA VIE EN ROSE / D'ERLANGER


ここんとこ更新が少なかったオンガクニッキを久々に張り切って更新さ。


今日は昔好きだった日本のロックバンドのCDをいっぱい引っ張り出してきて聴いたのでそれを大特集します。主に中学生の時聴いてたモノ。もっと後になってから聴いたモノもあるけどとにかく日本のアーティストを多く取り上げます。


そんなこんなで今日付けのオンガクニッキは尋常じゃない量の更新となってますが、ここから今日付けの11番までは全部日本のアーティスト特集ということでよろしく。その第一弾はD'ERLANGERのデビューアルバムです。中学生の時好きだったんだよね。読み方は『デランジェ』です。これって何語だっけか。フランス語だったような気が。


まだヴィジュアル系という言葉が無かった時代のバンドだけど、今なら確実にヴィジュアル系に入るタイプのバンド。ヴォーカルのKYOはこのバンドの解散後にDIE IN CRIESを結成してしばらく活動。そのバンドもそこそこに人気でしたが、また解散してその後はソロアーティストとして活動してます。ソロの音は聴いたことが無いけどDIE IN CRIESは何枚か持ってました。けどあんまり好きじゃなかった。このD'RLANGERの方がずっと良かったよ。


んで、これは元々インディーズから出たアルバムなんだけど、ここではメジャーデビュー後にメジャーレーベルからジャケットを変えて再リリースされたものを紹介しています。内容はインディーズ盤とまったく同じですけどね。俺はインディーズ盤も持ってたんだけど売っちゃったんだよね。その後でこれを買いなおしたの。


このバンドはメジャーデビュー作『BASILISK』を発表した後に解散してしまって、メジャーからのアルバムは結局一枚だけで終わってしまいました(このアルバムを入れれば二枚)。けどもライブ盤はいくつか出してたね。内容は酷いもんだったけど。とにかくKYOの歌が酷くて当時買ったけど全然聴かなかったなあ。


その後はドラムとギターの人がCRAZEを結成して今でも活動中です。結成当時のヴォーカルは元JUSTY-NASTYの藤崎さん。CRAZEはその後何度がヴォーカリストが変わってます。その初代ヴォーカルの藤崎さんのいたJUSTY-NASTYも中学生の時好きだったのだけど、それは今日のオンガクニッキの3番で取り上げてます。


80年代後半のバンドブームの頃のバンドでまず思い浮かぶのはジュンスカ系の健康爆発系のバンド。島歌で売れたBOOMなんかも元々はこの中のひとつ。いわゆる原宿の路上ライブなんかで多かったタイプだね。あとはBOOWY系のちょっとカッコつけてるタイプのバンド(悪い意味じゃないよ)。今のヴィジュアル系までは行かないようなちょっとした化粧をしてるタイプっつうか。今日取り上げているKATZEなんかはこの部類だね。


あとはバクチクなんかの70年代後半のニューウェイヴから影響を受けたような今でいうヴィジュアル系のはしりに入るタイプのバンド。それぞれのバンドが直接的にニューウェイブから影響を受けたかは別としてね。結果としてニューウェイブ系の音になってたのは確か。このD'RLANGERはその部類です。色がついた髪を立てて化粧して中性的なイメージで。そして耽美系の歌詞世界っつう。完全にヴィジュアル系のはしりです。


ギターの人はこの当時は『サイファ』と名乗ってましたね。つうかサイファて。


音はまあ今のヴィジュアル系のそれと大差ないです。ポップな曲もあるけど基本は結構暗い雰囲気で耽美系の歌詞でSMっぽくてっていう。もうこれだけ言えばどんな音かはわかるべな。中学生の時はこういうのが本当に大好きだったんだよね。今日久しぶりに聴いたけど今でもなかなか楽しめましたよ。今日の4番で取り上げているKATZEに比べて『く〜! やっぱ良いなあ!』ってかみ締める程のものは無かったけど。


このアルバムの原盤はインディーズからのリリースだけど、もう殆どメジャーと言っても過言じゃない大きなレーベルからのリリースでね。メジャーデビューはこの時点で既に約束されてる感じだった。だから最初からヴィジュアル的にも音的にもかなり出来上がってました。その完成された感じが中学生だった俺には感動的で。ルックスも含めて単純にカッコイイ!って喜んでた。


インディーズながらもビデオまで出したりしてたしね。通信販売だけでリリースされたプロモ集も買ったよ。そのビデオではヴォーカルのKYOとギターのサイファが舌を絡めてキスをするシーンがあって超衝撃を受けたりしたのもいい思い出だな。こいつらはホモなんだろうかとホンキで思ったもんだ。そのビデオはもう売っちゃって手元に無いのが凄く残念。売らなきゃ良かったよ。


このアルバムは大好きなんだけどメジャーデビュー作の『BASILISK』はKYOの歌があんまり好きじゃなかったです。俺の中でD'RLANGERはこれ一作で終わっちゃったバンドだったかも。ここでのKYOの歌はかなり伸び伸びと歌ってて、程よく荒っぽくてロックしてて好きなんだけど、これ以降のKYOの歌ってなんか変に喉を潰して歌うような歌唱になってどう聴いても下手になったようにしか聴こえなくってキライになっちゃったの。


このアルバムでのKYOの歌はとても良いよ。サイファのギターもよく聴くとスゴイ凝っててこのバンドが人気があったのが頷ける。リズム隊もかなり巧いしね。ドラムのキレの良さとか大したもんだよ。ヴィジュアル系の流れの源流はバクチクかもしれないけど、このバンドもひとつの形を作り上げた元祖的な存在だと言っていいんじゃないかな。


うん。これはこれで今聴いてもカッコイイよ。


けどもドラムの音がデカ過ぎる気もする。超騒がしい。


★2002/07/18 (3) (Thu)
jake
Too Bad 〜 Blue / Justy-Nasty


今日の3番目は2番目で取り上げたD'RLANGERの話の中でちょっと出てきたJUSTY-NASTYです。


このアルバムは彼らがインディーズ時代にレコードでリリースした二つのEPをひとつにまとめてCD化したもの・・・・・の筈なんだけど、実はかなり弄られてる。明らかにオリジナルのモノではないんですよ。けどインディーズ時代の音源のCD化、というフレコミで出されてたのがすごい謎。Too Badの方は持ってないんだけど、Blueのレコードは持っててね。結構違うのよ。演奏を一部差し替えたり被せたりしたのかな。それとも完全にとりなおしたのか。これはなんなんだろーな一体。


まあそれはともかくJUSTY-NASTYですよ。知ってる人はどれくらいいるかな。俺のロックライブ初体験が実はこのバンドなんです。中学2年の時かな。彼らのライブは今は亡き新宿ニッシンパワーステーションで観ました。その音の大きさに気を失いそうになりました。ライブってこんなに音がでかいのか!と本当に驚きましたね。


しかも初めてのロックライブということでやったらカッコよく見えた。それはもう鳥肌が立つほどカッコ良く思えたんです。実際スゴイパフォーマンスや演奏をしてたわけじゃないんだろうけど、初体験というのが俺に大きな感動を覚えさせたのだと思います。そのライブはビデオになって発売されてて当然買いました。俺は後ろの方で観てたのでうつってなかったけど。


彼らはメジャーで結構長いこと活動して解散。その後はD'RLANGERのドラムとギターにこのバンドのヴォーカリストだった藤崎さんが加わってCRAZEとなって活動。だけど藤崎さんは途中で脱退してしまいました。首になったのか、自主的に脱退したのかは知りませんです。CRAZEは聴いたことが無いんで詳しいこと知らないんですよ。


この時期と前後に藤崎さんは精神的にかなり参っちゃってたようでね。その原因がCRAZEの脱退と直接関係があるのかはわからないけど自分の歌に自信がもてなくなったとかで音楽活動から完全に身を引いてしまいました。けど最近になって『やっぱり歌が好きだ』というコトでソロで音楽活動を地味ながらも再開したようでちょっと嬉しくなったね。


んで、このバンドの音は全体を見れば明らかに後期BOOWY系。藤崎さんのステージングもモロに氷室さんです。歌うときのポーズなんかはまんまですよ。もっとわかり易く言うとGLAYの人の動きを想像してもらえれば間違いないです。だけれども致命的なのが普通に歌が下手ということ。いや、マジ下手なんです。


聴いたら藤崎さんだっていうのがすぐわかる歌なんだけど、それ以上に『これを個性として認めちゃっていいのかなあ』という不器用さ。表現力や歌いまわしが本当に下手です。歌に全く余裕が無いしね。けどそれを含めて好きでした。このバンドは単純にポップな曲が多くて、変に雰囲気重視の耽美系だったりすることも無く普通に健康的なポップさなんですよね。後期BOOWYの歌謡曲的なセンスだけを集めたような。その素直なポップさが耳に馴染んで好きだったんです。


このアルバム前半に収録されているEP『Too Bad』の曲はそんなBOOWY系の曲なんですけど、後半の『Blue』収録の曲はかなりちがうんですよ。あまり歪まないギターの音にちょっと切なさのあるメロ、軽快なリズム。その『Blue』収録の曲は本当に素晴らしいと思う。BOOWYフォロワーではなく、JUSTY-NUSTY独自の音に仕上がってるんです。このバンドはこの音をもっと突き詰めていって欲しかったなあ。


この後のメジャーデビュー作では『Blue』収録の曲と同じようなテイストの曲が多くて当時それを聴いた俺は『変わったバンドだ』と思ったもんです。ギターのあんまり歪んでない透明感のある音が音楽を聴き始めて間もない俺にはスゴイ新鮮だったんですよ。そのデビュー作『Crash』を今聴くと、メジャーデビュー直前から直後にかけてのこのバンドはロックバンドというよりもポップスバンドだったんだなと思いましたね。


その後の作品ではモロにBOOWY系の音になってしまって『Blue』やメジャーデビューアルバム収録の曲のような個性が薄れてしまったのが残念でなりませんでした。それはそれで結構好きでアルバムが出るたびに買ってたんだけど、やっぱり個性の面で言えば『Blue』の頃の方が上だよ。いやあ、『Blue』収録の『Seventh Door』や『Blue』は本当に名曲だと思いますよー。


歌は厳しいものがあるけどそれも味ですよ、味。


★2002/07/18 (4) (Thu)
jake
Stay Free / KATZE


良いねーこれ。


中学生のときに大好きだった日本のロックバンドKATZEのセカンドアルバムです。すごい久しぶりに聴いたけどやっぱ良い。KATZEは『カッツェ』と読みます。ドイツ語で猫って意味。なのでファーストアルバムのジャケットは猫のアップでした。彼らのトレードマークもネコの足跡なんだよね。


このバンドは86年に結成されて88年にはメジャーデビュー。そこそこの人気を獲得しながら91年まで活動して残念ながら解散してしまいました。いわゆるバンドブームのころのバンドに入るんだろうな。BOOWYなんかの後に出てきたフォロワー的なバンドと言えばそれまでかもしれないです。音も後期のBOOWYのような歌謡ビートロックとでもいうようなタイプでルックスもそんな感じ。


デビュー当時のKATZEの面々↓






左から二番目がいかにもギタリストって感じの尾上賢さん、左から三番目の一番手前にいるのがヴォーカルの中村敦さん。この二人がルックス的にはこのバンドを引っ張ってたのは言うまでもないですが、一番地味に写ってる左端のベーシスト高山克彬さんが一番曲をいっぱい書いてて音楽的にはこの人が引っ張ってました。右端のギャングみたいな人はドラムの高山靖彬さんでベーシストの高山克彬さんとは兄弟です。ギャングの方が弟さん。


音としては後期のBOOWYを崩したようなタイプですけど、BOOWYよりもはるかにクサイ曲が多い。一瞬尾崎豊を思い出すような青春爆発な曲もあります。このアルバム収録の『Stay Free』なんかマジで青春爆発ですよ。曲もマイナー調でクサイし。けど良い曲なんですよ。


俺は中途半端に洋楽志向のバンドよりもこういう『日本ならでは』という日本人が日本人としてロックをやっているという部類のモノの方が好きでしたね。それは今でもそうかもしれないな。この手のバンドの音って日本ならではじゃん。ヴィジュアル系なんかも70年代のニューウェイヴバンドのキュアーとかその辺の音を基礎としながらもやっぱり日本ならではでしょ。俺は変に洋楽を意識したバンドよりもこういったバンドの方が好きだな。


んで、このKATZEはさっきも書いたように当時はそこそこの人気バンドでした。音楽チャートの上位に入るようなバンドじゃなかったけどそれなりに大きな会場でライブを出来るレベルのバンドでしたね。知っている人は知っている、っていう感じの存在でね。だから当時リアルタイムでこれを聴いてた人がこの記事を読んだらきっと身を乗り出すと思うよ。『うわ!!懐かしい!』って。


中村敦さんの歌はね。氷室さんのように完成されたタイプのモノではないです。もっと素朴。ロックが好きなその辺のお兄ちゃんが熱く歌ってるっていう感じで、とっても親しみやすい。『男前声』ではあるけど決して巧くないし、音程が怪しいときも結構あります。けども当時はそれがスゴイ好きだったし、今聴いても好きだと言えます。その素朴さが良いんですよ。


で、KATZEはベースの高山さんもリードヴォーカルをとることがあってこのアルバムでも何曲か歌ってます。技術的な部分でいえば歌は高山さんの方が巧いです。ちょっとしゃがれた声で、音程もずっとしっかりしてる。巧いのはわかるんだけど俺はやっぱり中村さんの声の方が好きだな。中村さんの歌の方がずっとロックしてるんだよね。


このアルバムはかなり明るい曲が多くて、凄くバラエティーに富んでいます。だから最後まで全然飽きないし実際曲も良い。ファーストアルバムではマイナー調で似たような印象の曲が多かったし少し気取りすぎた内容だったんだけど、このアルバムではもっと伸び伸びロックしてます。ポップでノリが良くて最高に気持ちがいいアルバムに仕上がっていますよ。


そのポップでノリの良い流れの中にクサいマイナー調のバラードや青春爆発な曲が混ざって出てきて全体のバランスを上手に調整していると思う。俺としてはKATZEの4枚のオリジナルアルバムの中でこのセカンドが一番の傑作だと思っています。最高ですよこれ。


それでですね。


このバンド解散後には中村さんはHEAVENってバンドを結成して活動してたようですがそのバンドは自然消滅の形で終わってしまいました。その後は中村さんが体調を崩して音楽活動を一時休止していましたが、最近はソロでがんばって活動を開始しています。ライブもかなり頻繁にやってるみたい。一時期ソニーからデビューの話もあったらしいんだけど、レコーディングなどをするよりもライブを自由にもっとやりたいとのコトでその話は流れたそうな。


KATZEはいまだに根強いファンがいて一日450ヒットくらいの安定したアクセス数がある大きなファンサイトもあります。なんか嬉しくなっちゃたよ。こういうバンドを水面下でずっと支持するファンがいて、バンドが解散したその後の活動も応援し続けているっていうのを見るとさ。


音楽シーンがどうのこうの、日本の音楽シーンは腐っている、とか評論家気取りで音楽シーン全体を見てるんだというアピールをしてる連中が逆にちっぽけな存在に見えるよ。なんつうか、自分の好きなものを素直に好きだと言えて、人気があろうと無かろうとバンドが既に解散していようと応援したいから応援する、というその姿勢は本当に嬉しくなる。


俺はさ。中学生の頃に聴いてた今では完全に『過去のバンド』となっている日本のこういったバンドのCDを一時期全部打売っちゃった時期があってさ。単純にお金が無くて売ったとかじゃなく『もう終わったバンドだしな』という感覚で売った感が強いのよ。


けど、ある時期から『音楽ってそういうもんじゃないよなあ』と思いはじめて、昔持ってたけど売っちゃった日本のバンド達のCDは中古で見かけたら結構買いなおしたりしてた。音楽を聴く人で、自分が支持してたバンドが旬な時期を過ぎちゃうとあっけなく切り捨てちゃう人も多いけれど俺はそういうコトをしたくない。『昔は好きだったけど今更なあ』とか言って聴かないなんて淋しいもん。


こういう日本の小粒と言えば小粒なバンドだって解散してしまった後でもその音楽は残っていくんだってこのKATZEのアルバムを聴きながら強く感じています。このアルバム収録の『Love Generation』と『StayFree』は名曲ですので機会があったらぜひ聴いてみて欲しいです。『今更』なんて言わずに。


バンドが無くなってもそういった名曲たちは残っていくんですから。


★2002/07/18 (5) (Thu)
jake
都部ふぶく / ヌンチャク


これは上記の作品達よりはずっと最近のモノですね。


だから今でも知ってる人も多いでしょう。日本のハードコア系ミクスチャーバンドのヌンチャクのサードアルバムです。残念ながらこのアルバムを最後に彼らは解散してしまいました。良いバンドだったのになあ。


タイプの違うヴォーカルが二人いて、メロディーらしきものがあるパートやラップ調のパートを歌う人と、高音で叫びまくる人が明確に分かれてます。この大きなタイプの違いが良いんですよね。バックの演奏はハードコアと言ってもかなりメタル寄りのザクザクとしたリフがメインとなっています。


で。この作品で特筆すべきは。


01『都部ふぶく』におけるヴォーカルです。いや、マジスゴイよこれ。基本的にこのバンドは前編日本語なんだけど、その日本語をとても上手にハードコアサウンドに乗せているんですよ。これは本当に巧い。しかもしっかり韻を踏んでたり、凄まじく舌をかみそうな早口言葉のレベルの歌詞を器用に歌いこなしてるんです。


あみこみ小道 我孫子市の基地

はにかみ並木 踏み込み君に

少しの油 手に入れた日々

残す雨だけ 空はいらない


上記の歌詞をラップっぽく上手に乗せて歌ってるの。これ絶対真似すんの無理。そう簡単に真似できないよ。これに高音の叫び系のヴォーカルが絡んでくるという構成もかなりカッコイイ。歌詞の乗せ方の巧妙さと演奏の激しさが本当に見事。日本人が日本人としてハードコアをやっていて、この手の音楽をやる場合にネックになりがちな歌詞の日本語を逆に魅力にしているというのが素晴らしい。


歌詞の内容は基本的に意味不明なんだけど、言葉に意味を持たせるコトを捨てて音として心地よく聴かせる方向性で巧くまとめてるんですよね。ただ喋ってるように歌ってラッパーを気取るダメな連中が多い中で、彼らのように自身の音楽に言葉を乗せる際にどうやったらカッコイイかをしっかり理解して、それを実践しているのがこのヌンチャクだと思います。


ヌンチャクにはもっと活動を続けて欲しかったなあ。


★2002/07/18 (6) (Thu)
jake
Nice Tough Guy / Bloody Imitation Society


これも今日取り上げている日本のバンドの中では割りと新しいバンド。


レッチリ大好きな人たちだっていうのがヒシヒシと伝わってくる音。ハッキリいってフォロワーの領域です。けどもこのバンドにはそれほど思い入れがあるわけでもなく、一生懸命聴いたということも無く、なんとなく買って来て『これはこれでカッコイイよね演奏巧いし』って気楽に聴いてたCDなんで逆に楽しめました。


そんな感じなのであんまり詳しいことは知らないし、一時期人気があったのは知ってるけどそのあとすっかり名前をきかなくなって今どうなってるのかも知りません。実際これで話が終わってしまうんだけどもせっかく久しぶりに聴いたのだしもうちょっと語ってみようかと思います。


このバンド、とにかく演奏は巧いです。レッチリをもうちょっと忙しなくしてそれを日本語でやってみました、という音。単純にノリが良いし深いことを考えずに聴けば十分に楽しめるレベルの作品にはなっていると思います。ただやっぱりフォロワーの域は出ないので心のバンドにはなり得ないんだよな。


なかなかキレの良いヴォーカルや巧い演奏を難しいことを言わずにとりあえず気楽に楽しみたい貴方に最適。日本人特有の器用さによって元ネタよりも遥かに聴き易くコンパクトにまとめているので聴き易さは抜群だしね。


ああ。やっぱりあんまり続かないで話が終わっちゃったよ。


まーいいか。


★2002/07/18 (7) (Thu)
jake
Orange Sunshine / Judy And Mary


俺はサイトで洋楽ばかりを取り上げるし、パクリだのなんだのって文句言ったりするんでこういう普通にメジャーな日本のバンドをあんまり聴かないと思われてそうだけども聴くんですよ。日本の音楽で聴くのはモー娘関連だけだと思っちゃダメです。


俺の中でこのアルバムがジュディマリの最高傑作ということになってます。彼らの作品の中で圧倒的にメロディーに魅力がある。ポップで元気でカラフルで最高のポップロックアルバムです。ジュディマリは演奏も凄く巧いし安心して聴けるよね。


YUKIの歌も素晴らしいです。一聴すると頭悪い系のヴォーカルに聴こえるかも知れないけれど、実はとても表現力豊かでその中に可愛さやセクシーさを両方持っている素晴らしいヴォーカリストですよ。聴けば一発でこの人だってわかるしね。確かな腕前のリズム隊に支えられた意外と凝っているギターも良いし。


このバンドのベーシストであり、リーダーでもある恩田さんが以前ジャクスンジョーカーっていう骨太ロケンローバンドをやってたのはどのくらいの人が知っているんだろうね。ジャクスンジョーカーはメジャーデビューもしてる。最初ジュディマリの音を聴いたときにジャクスンジョーカーとのあまりの違いにビックリしたもんです。


ホント、全然ちがうんだよね。刺青が似合う骨太ロケンローをやってたジャクスンジョーカーのメンバーだった人がこの弾けるポップロックをやってるジュディマリのベースを弾いて曲まで書いてるなんて誰が想像するかっての。それはともかく03『Hello! Orange Sunshine』、04『Radio』、10『自転車』なんかもう最高の出来っす。YUKIの可愛いヴォーカルを最大限に生かした名曲が目白押し。


今日書いた他のオンガクニッキでも触れたけれど、洋楽を必要以上に意識しない素直な和製ロックは本当に好きです。ジュディマリもその部類だから好き。そういう意味では、ジュディマリは80年代のバンドブームの頃にはたくさんいたようなタイプのバンドだけれど、それよりずっと後に出てきて、尚且つバンドブームの波に乗って粗悪なバンドが多かったあの時代のバンドとは雲泥の差があるクオリティーの高さを持ってるのがポイントだよ。


最初にジュディマリに出会ったときは『新しいバンドだけど懐かしいバンド』っていう印象だったな。懐かしさを感じさせてくれて尚且つこのハイクオリティーの演奏と楽曲でガツンと楽しませてくれる。文句なんかないよ。このアルバムはジュディマリの美味しいところだけを抽出して集めたようなアルバムだと思っています。ホント最高。


解散しちゃったのは本当に残念だよなあ。


あとすげえ話がそれるけども、さっき書いたジャクスンジョーカーは映画にも出演したことがあるんですよ。横山やすしの息子さんとショウケンが出てた『いつかギラギラする日』っていうチンピラ映画の中に出てくるライブハウスにいるバンドマンがジャクスンジョーカーです。


もしその映画を観る機会があればチェックしてみよう。恩田さんはセリフは無かった気がするけど、メンバーの誰かには一言二言セリフがありましたよ。


★2002/07/18 (8) (Thu)
jake
ハッスル / Garlic Boys


バカ系ハードコア系ミクスチャー系バンド(?)のGarlic Boysのメジャーデビューミニアルバムです。


インディーズでかなりの数の作品を出した後にソニーからメジャーデビューを果たした彼らですが、そのバカっぷりはメジャーデビューしても健在でした。ホントバカです。あまりにもバカバカしくてふざけた歌詞が、割りと聴きやすいハードコアサウンドに乗っているというのがこのバンドの特徴。


インディーズ時代の頃はハードコアというよりもメタル的な演奏が目立ったのだけど、このアルバムではややパンキッシュな演奏を聴かせています。んで問題の歌詞なんですけどこのアルバムに収録されている曲のタイトルをみただけでそのバカバカしさは想像がつくと思いますので曲名をざっと紹介してみます。


01『YOKOZUNA』


02『ハッスルするっす』


03『白ブリーフ悪いか? 絶対悪くない!!』


04『野球拳』


05『GUTS! MEDALIST』


06『第8回他人の赤っ恥で笑う大会 〜審査結果発表』


以上のように、もうどうしようもないって感じで。メジャーになって少し抑え目になったのか知らないけど、インディーズの頃はもっとシモネタが多かったです。ここでは割とライトな笑いにとどめてあります。けどもまあ元々笑えるほどのモノじゃなく、くだらな過ぎて逆に笑えてきちゃうという感じなんだけど。


疾走する01『YOKOZUNA』はメロディアスなイントロがやたら気持ち悪いです。けど何故かカッコイイんだよなこれが。この曲はコピーバンドでドラムをやったことがあるんだけど、凄まじい速さに結局ちゃんとできなかった思い出の曲。出来ねえよこんなの。速いよ。


音楽を聴くときにイチイチ難しいこと言う人は絶対楽しめないタイプのバンドだと思うけど、歌詞は置いておいて曲だけ聴けば結構カッコイイ曲も多いし俺は好きです。ヌンチャクのように轟音系の演奏じゃなくもっとずっとスッキリして意外とキャッチーな音なので歌詞もハッキリ聴こえちゃうのね。だからやっぱりキビシイ人はキビシイだろうなあ。


俺はここまでやれれば大したモンだと思うけどね。


このバンドは後に中途半端なメロコアみたいな音になってすごいガッカリしたんだけど、彼らは今どんな音なんだろうな。そちらは機会があったら聴いてみようと思います。


★2002/07/18 (9) (Thu)
jake
真世界 / ZI:KILL


ショボっ!


ZI:KILLのインディーズからのデビューミニアルバムです。ZI:KILLは中学生のときに好きだったんですけど今聴くとショボイなあ・・・。このバンドは今でいうヴィジュアル系に入るタイプ。今日取り上げているD'RLANGERと同じ部類と言えば同じ部類なんだけども、D'RLANGERよりももっともっと病的なイメージが強いです。ライブパフォーマンスなんかも気持ち悪かったし。


彼らは後にメジャーデビューも果たして結構売れました。今でもカラオケには彼らの曲が何曲か入ってますよ。俺は歌ったこと無いけど。


んで、このアルバム。これ持ってる人いるかな。ここ見てる人の中でこれもってるって人がいたら超驚くよ。同時は結構人気があったバンドだけどこのインディーズ盤はD'RLANGERのような大きなレーベルからのリリースじゃないしさ。これを持ってるって結構貴重のような気がする。


ショボイと書いたけどなんだかんだ言って好きなんですよねー。


全体としてはショボイんだけどドラムとかツーバス使ってたりかなり手数多くて巧いような気もするし、歌も巧いんだか下手なんだかわからない感じだけど雰囲気あるし、ギターも同じく巧いんだか下手なんだかわかんねーけど意外と工夫されてるフレーズ弾いてるし・・・・という妙な味があるんですよね。


ヴィジュアル系にも色々あると思うけども、ZI:KILLはD'RLANGERのように徹底的にカッコよく中性的なイメージを目指したバンドとはちょっと違って、黒尽くめの衣装に病的な演出で迫る系統の元祖にあたるバンドのひとつなじゃないかな。だからこのアルバムではポップな感触はあんまりないです。メジャーになってからはもうちょっと普通っぽい曲もやってましたけどね。


まさかこれからこのアルバムを探して聴こうって人はいないだろうけども、もし中古屋で見かけて安かったら試しに聴いてみてよ。特に普段洋楽を聴いている人なんかは一体どんな感想を持つんだろうなあ。単純に興味があるよ。


★2002/07/18 (10) (Thu)
jake
Mother / LUNA SEA


何気にLUNA SEAのアルバムは5枚も持ってます。


河村隆一の歌ってキモイけど実際かなり巧いと思います。ライブでもすごい安定感があって声量もあるし。彼の歌いまわしのキモさがどうしてもダメだっつう人も多いけど俺は大丈夫でね。粘着質な歌いまわしが気持ちいいのよ。演奏も文句無く巧いしさ。


んで、LUNA SEAのこのアルバムは彼らの名盤。キモい河村隆一の歌が良いメロディーを歌い上げます。シングルの02『Rosier』や09『True Blue』はノリが良くてキャッチーでスゴイ良い曲だし、04『Clivilize』のエライ凝ったアレンジの曲も冴えてるし、ひたすら美しい10『Mother』なんかも良い。


俺はヴィジュアル系完全否定派じゃないんで曲さえ良ければ全然オッケーです。もちろん雰囲気ばっかり重視して楽曲の良さを蔑ろにしているバンドは論外ですが、このLUNA SEAは良いアルバム結構出していますよ。彼らのインディーズからのデビュー盤はまだ未完成な感じであんまり好きじゃないけど、それ以降は良い出来のモノが多い。


俺はこのアルバムの他にはひとつ前のアルバム『EDEN』が好きです。良い曲多いよホント。それからもこのバンドが売れたのは格好だけじゃないと思ってます。ヴィジュアル系というジャンルは何かとバカにされてしまう傾向にあるけど確かな演奏力と良いメロディーを書いていたからこそこのバンドは売れたんだと思う。


けどもまあ・・・。ライブのビデオを後輩から見せてもらった時は素で引いたけど。MCは恥ずかしいし、ライブ映像の合間に入っている変なイメージ映像みたいなのもあんまりなモノばっかりでね。さすがに俺も映像を見ちゃうとキツイです。けどもCDで曲を聴くだけだったら全然楽しめる。


河村隆一の歌のキモさも慣れれば快感なのです。


けどもラルクはダメなんだよな、俺。理屈じゃなく苦手。


★2002/07/18 (11) (Thu)
jake
P.O.P. / The Mad Capsule Market's


今でも大人気のマッドのメジャーデビュー作。最近では海外にも進出してるんだってね。まあ海外で売れるとは思えないけど。


んで、このアルバムの頃はおもいっきしパンクでした。マッドはその時その時でメンバーが気に入ってる海外のバンドの音を真似てコロコロと音楽性を変えているミーハーなバンドなので、時期によって好き嫌いが分かれると思うんですよ。で、俺が一番好きな時期ってのはこの頃。これより少し前にインディーズからリリースされたアルバムも良かったよ。


このアルバムにはそのインディーズ時代の曲を再録したモノも多く収められていますが、残念なことに歌詞が一部『ピー』っていう電子音で消されています。放送禁止用語とかなのかなあ。『3秒間・・』って曲は本当は『3秒間の自殺』ってタイトルなんですよね。この曲の歌詞は、


ONE そこの窓から


TWO 勇気を出して


THREE 『ピーーーーーー』


ってな具合で最後が電子音で消されてるんだけども、そこは本来『飛び降りるのさ〜』と歌っているんですよ。自殺を促すような歌詞だからって消されたんだと思うけど、こんなん聴いて自殺するヤツなんているのかって感じだよな。あとは他にも色々消されてるトコが結構あります。良いじゃんなーこのくらい。


でね。インディーズ盤もこのアルバム同様にパンク路線なんだけど、そっちは歌詞は消えてません。俺はそのCDを結局入手出来なかったんだけど、持ってる友人がいてMDに録音させてもらって音は持ってます。そのインディーズ盤も素晴らしく良いです。そのアルバム収録の『LA・LA・LA』なんか超名曲だと思う。


そのインディーズ盤は後にメジャーから再リリースされて今でも手に入るんだけど、やっぱり歌詞は消されちゃってるんだよね。そっちは電子音で消されてるんじゃなくて歌の部分が削られてるのよね。だから歌ってて突然歌詞が一部欠落してるという風になってて、かえって不自然な感じになっちゃってるのが残念でならないよ。


やっとこのアルバムの話に戻るけども。


モロにパンクだと言ってもヴォーカルの声には相当エフェクトがかけられてて、後のデジタル路線のテイストも垣間見えるのが面白い。その徹底的に加工されたヴォーカルにシンプルなパンクスタイルのギターがかき鳴らされて圧倒的なテンションの高さで迫ってきます。ギターのアレンジ自体はシンプルなモノだけどやっぱり音は結構加工されてて『マッド流パンク』に仕上げているのも良いよね。


単純に暴れたくなるこの『マッド流パンク』は何時聴いてもカッコイイ。


このあとのマッドはちょっとデジタルっぽい中途パンパなロックになってさらにミクチャーっぽい音となってさらにデジタルっぽさを増して・・・・という風に常に変わり続けてます。アタリ・ティーンエイジ・ライオットにモロに影響されたような曲もやってたよね。今現在の音は聴いたことが無いんでなんともいえないんだけども。


やっぱしマッドは4Plugsあたりが人気あるのかな。けどもあのアルバムの1曲目はなんかのパクリらしいね。しかもマイナーなバンドがオムニバスに提供してた曲が元ネタらしくて、悪意すら感じるたちの悪いパクリ方。ちょっとガッカリしたのだけどその辺は未確認なのでよくわからねーっす。


とりあえず俺は初期のマッドが一番好きです。ええ。


★2002/07/20 (Sat)
jake
Heaven's Kitchen / Bonnie Pink


Bonnie Pinkのセカンドアルバム。


一応言っとくけど彼女は日本人です。スウェディッシュポップからの影響が大きいけれどそれ以外にも様々な音楽性を取り込んだ非常に懐の深い曲をやってます。俺はこのアルバムとマキシを一枚もってるだけなんだけど、既に5枚のオリジナルアルバムと何枚かのベストアルバムもリリースしてます。マキシなんかも入れればかなりの数を出してますね。何時の間にこんなに。


このアルバムは渋谷の駅に大きなポスターが貼ってあったり、テレビでもCMを頻繁にやってて、レコード会社がそれなりに力を入れてプロモーションを行ってたという印象があるんだけども爆発的には売れなかったです。あと一歩的な売れ方というか。このアルバムはオリコン8位止まり。そりゃ10位以内に入れば十分ヒット作なのかもしれないけど俺が思ってた程は売れなかったってコトで。


シングルはもっと売れてなくてタイトル曲の『Heaven's Kitchen』なんかは50位止まり。その後もオリコンのサイトで調べてみたけど50〜20位くらいの曲が多いようですね。中には10位まで上がった曲もあるみたいだけど。売れた曲がイコール良い曲ってわけじゃないのはわかってるけど、この人の曲はもっと売れて良いレベルだと思う、というのが言いたいわけなんだけれども。


このアルバムは一曲一曲のクオリティーは非常に高くてバラエティーにも富んでる。彼女は歌も巧い。スウェディッシュポップからの影響が大きいということで非常に洒落た曲調だし洗練もされてる。もっともっと売れていいはずのクオリティーに仕上がってるんですよね。


じゃあ何故セールス面ではイマイチなのか。


それは英語の存在だと俺は思ってます。このアルバムでは12曲中4曲が全編英語の曲。それ以外の曲でも歌詞の半分近くが英語になってるモノが多い。シングルの『Heaven's kitchen』も半分は英語の歌詞です。それが大きなネックになってる気がするんだよね。


邦楽しか聴かない人ってのは実際ものすごく多い。そういう人はやっぱり歌詞がわかるかどうかってのを非常に重視しますよね。洋楽は嫌いなのかって尋ねると『英語じゃ歌詞わかんないじゃん』って答える人は本当に多いです。あとは自分がカラオケで歌いたいかどうかってのもポイントかもね。カラオケで英語の歌を積極的に歌う人はそんなに多くないから、たとえその曲を日本人が歌っていても英語の曲は敬遠される。


んで、洋楽をメインに聴く人は日本人のアーティストがいくら洋楽ナイズされている曲調で英語の歌詞で歌っていても洋楽と同じ位置では聴かないことが多いと思うんですよ。ここまで書けばもう何を言わんとしているかわかったと思うけどもね。そう。この人の曲はどっちつかずなんですよ。邦楽にも洋楽にもなりきれないという境目にいる。


それがセールス面にも出てしまってる気がしてね。俺自身もこのアルバムを聴いているとどうせなら全部日本語でやればいいのになあと思っちゃうんだよね。サビくらいは英語でもいいけど、この人の場合英語になってるのが長い文章だったりするからね。いや、本人としてはもしかしたら全部英語でやりたいのかもしれない。けど、もし全部英語にしたら多分もっと売れなくなる。


普段洋楽をメインに聴く人が日本人が歌う英語の曲を好んで聴くとは思えないし、邦楽をメインに聴く人は全部英語じゃ歌詞の意味がわかんないからヤダって離れていくだろうし。邦楽として売り出す場合は日本語でやることを重視するレコード会社も多いみたいだし。ラップとかも日本語じゃなきゃダメって言われたりするみたいね。


最近の作品の英語と日本語の比率がどの程度になってるのかは知らないです。けど仮にもし日本語でやるように方向性を変えていたとしても、最初にこういうイメージを作ってしまったのは本当に失敗だったと思うよ。このアルバムには良い曲がいっぱい入ってるだけに本当にもったいないよ。


★2002/07/26 (Fri)
jake
Keep The Faith / Bon Jovi


最近俺の中でボンジョヴィ祭りが開催されててね。


ということでこのアルバム。発売されたのは俺が高校生のときだったな。当時は曲にムラがあって前作である『New Jersey』にはかなわないなあと思ってたんだけど、今聴くと充分なクオリティーに仕上がったアルバムだと感じました。いや、良いねこれ。


ツアーをやり過ぎでゲンナリグッタリな彼らが解散の危機を乗り越えて『信念をもてー!』って復活宣言。しかしそれ以降の『Keep The Faith』と『These Days』の2作は、リリースされたときにそれほど大きな話題になった印象はないですね。『New Jersey』での日本においての露出がのあまりにも高かったのに対してその2作はTVでの目立った露出が少なめだったから地味で冴えない作品であるような認識がされているところがあるんだと思う。けども、サード以降の彼らの作品はどれもハイクオリティーっすよ。もちろんこの作品も含めてね。


この作品の次の『These Days』はハードロックではなくなった彼らをよしとしない人たちからはつまらないアルバムだと思われているようだけど、そんなことはない。素晴らしいヴォリューム感と聴けば聴くほど深みを増す作品でハードロックスターから一歩前に踏み出した円熟したアーティストとしての彼らの凄みを決定付けた作品でしょう。


その超名作の『These Days』へにいたる途中経過がこの作品ですね。それまでのハードロック色はまだまだ色濃く残しながらもそれまでの元気な印象よりも肩の力が程よく抜けた気負いのない作風というか。伸びやかで爽快なサビを持つ01『I Believe』、リズムの感触が少し新鮮だった02『Keep The Faith』、やけに軽快でポップな03『I'll Sleep When I'm Dead』、ボンジョヴィが好きな人で嫌いな人は絶対いないであろう歴史に残る名曲04『In These Arms』、そしてそのあとも05『Bed Of Roses』07『Dry Country』と名曲が畳み掛けてくる。


後半部分では少し軽すぎるような浅い感じの曲が続くけど俺は好き。前半の素晴らしい名曲の数々と比較して後半部分が彼らにしては平凡な印象の曲が続くことからムラのある作品だと最初は感じていたのかもしれないけ。けどそれは前半が凄すぎるだけで後半は後半で良いよ。後半の魅力はライトな聴きやすさだと思うんだけども。確かにテンションは少し下がっちゃうけどね。


後半の曲はボンジョヴィ節っていうよりももっとオーソドックスなロックンロールソングっていう感じの曲が多いんだよね。それをどう思うかでこのアルバムの評価は大きく変わる気がするよ。さっきも書いたように前半はもう誰も文句ないでしょうというレベルの出来です。このアルバムの前半が好きじゃないんだったらボンジョヴィが好きじゃないんだよ、その人は。


で、後半はライトなロックンロールソングに魅力を感じられる人なら楽しめるだろうと思うのよね。実際曲が極端につまらないわけじゃないです。ただノリが平凡ってだけで、メロディー自体はキャッチーでとても魅力溢れる曲だと思ってます、俺は。俺は全編通して好きですよ、このアルバム。日本盤のボーナストラック2曲も平凡な曲だけど好き。


あとちょっと余談っぽいけど、このアルバムを出した頃ってのはジョンがU2にほれ込んでて作風にもそれが出てますね。彼はわりと自分が好きなものに素直に影響されちゃう人なのでね。『In These Arms』のベースラインなんかはじめて聴いたときU2かと思ったもん。それに加えてCDジャケットに使われている写真もU2のジャケット写真を手がけてた人だったりして、その辺もU2してるんだよな。
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