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僕が七年間守り通した秘密


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僕は今、手が震えている。


どうしてもこの震は止める事が出来ない。 何故なら7年間もの間、あの出来事の記憶にかけられた堅い封印を、今まさに僕自身の手で解こうとしているところだからだ。


僕には今まで誰にも話さなかった秘密があるのだ。イヤ。話さなかったのではない。話せなかったのだ。だが僕は今、自らその封印を解こうとしている。


怖い。凄く怖いんだ。だから震えが止まらない。でも僕はもう決意したんだ。この封印を解き放つ事を。


そう、あれは今から約7年前。僕が浪人生だった時の事だ。


僕には小さな、しかし僕にとっては大きな心配事があった。それまで僕は、その心配事は放っておけばいづれ解決すると信じていた。


しかし遅すぎた。解決するとしたら、もうとっくに解決していなければおかしい時期になっていたのだ。そんな心配事を抱えているのは僕だけではないのは知っていた。そんなに気に病むことではなかったのかもしれない。


でも僕には耐えられなかった。


僕はすがる思いでその心配の原因を両親に話す事にした。僕だけでは手に負えそうに無いから。僕がその事を両親に話す事自体、とても勇気がいることだったんだ。


でもそんな事は言っていられない。解決するにはそれしかないんだ。


『あ・・・あのさ。実はさ・・・。』


『金が必要なんだ。』


『協力して欲しい。』


『もうイヤなんだよ、こんなの。』


僕は全てを両親に話した。すると両親は快く協力してくれると言ってくれた。持つべきものは親だ。ありがたい。本当にありがたい。心から感謝しているよ、とうさん、かあさん。


え?


その心配事は何かって? 金は何に使うかって?


そりゃあ決まってるじゃん。


仮性包茎の手術だっつうの。


文句ある?ぁあ?


2 --------------------------------------------
そう。僕は仮性包茎だったんだ。


もう剥けてもいい頃だ。そろそろかな。それまでそんな希望を持ち続けて生きて来た。しかし一向に剥ける気配が無い。


だから僕はこの余った皮を除去する事を決意したんだ。


僕は真性ではなかった。大きくなれば亀は顔を出すし、痛みも伴わない。もちろん清潔にもしていた。


だからそのまま放って置いても良かったんだ。日本人男性の6割以上は仮性包茎とされている。だからそんなに恥ずかしい事ではないと自分に言い聞かせてきた。


だがその誤魔化しもこれでもう終わりだ。


僕の皮はかなり沢山余っている方だった。だから銭湯や、旅行に行った時の大浴場などでは、必死で隠して風呂に入っていた。大きくなれば問題ないとはいえ、風呂で大きくする訳にはいかない。


風呂ではノーマル状態。




つまり象さんなんだよ。
ぁあ!?




でもそんな悩みとはもうおさらばだ。僕は両親の協力を得る事が出来たので、早速病院へ手術の予約の電話をして、予約を取った。


そして、ついに手術当日。


僕は緊張しながら、手術代の15万円を握り締めて病院に入った。なんてことだ!受付はケバイおねぇちゃんではないか。あああああああああ・・・・。そうさ。僕は仮性包茎さ。笑うがいい。すました顔で受付をしているけど、心のそこでは笑っているんだろう?


僕は歯を食いしばりながらその屈辱を必死でこらえた。


そして受付を済ませ、僕はソファーで順番を待っていた。すると同志が手術室から一人出てきた。ああ。僕の同志だ。彼もまた同じ悩みを抱えてここへ来たんだ。僕たちはもう親友さ。


そう思いながら、僕の緊張は急激に増してきた。


すると、チンチンに神経が集中し始めた。そこで僕はふとある不安にかられた。 学校の授業の終わり際なんかに、大きく伸びをしたりすると、自分の意志とは関係なく無意味に大きくなってしまう事がるのは男性諸君なら誰しも一度は経験した事があると思う。興奮したりしていなくても、無意味に急に大きくなる事が男にはあるのだ。僕が不安を抱いたのはまさにソレだ。




手術直前に無意味に大きくなったらどうしよう。




そう思えば思うほど、神経がチンチンに集中してしまう。ああああ。マズイ。なんだか大きくなってしまうような気がしてきた。だめだ。神経を他の所に!他の所に持っていかなくては!


昨日あのテレビ番組面白かったなぁ・・・あはは。そーそー。そういえば、欲しいCDがあったんだっけ。あとで見に行こうかな・・。えーとえーと・・・それから・・・えーと・・・ああああああ。ダメダ!ますます意識してしまう!ああああああああああああ!


『ハイ、アイバさんどうそ。』


来た!ついにお呼びがかかった。手術だ!そう思った瞬間、一気にチンチンに集中していた神経が分散され、大きくなる事はなんとかまぬがれることが出来た。


胸をなでおろしながら僕は手術室に入った。


手術室はカーテンで細かく区切られていて、そこにベッドがあり、その上に手術室ではおなじみの丸い形をした照明が輝いていた。


『ハイ。じゃあズボンとパンツを脱いでこのカゴの中に入れて横になってください。』


助手と思われる若い男性が僕にそう言った。


僕は言われたとおりに、下半身に身に付けているものを全て脱ぎ、ベッドに横たわった。すると、下半身に、小さな穴の開いた布が被せられた。


僕はそのままの状態でしばらく待たされた。


布を被せられてはいるが、チンチンのところに穴が開いているので見事に丸出しである。


その余りにも惨めな姿のままじっと待っていると、また先ほどの若い男性が現れ、僕にこう言った。


『アンケートを取るのでご協力ください。』


僕はそのアンケートに素直に答えつづけた。


そして最後にこんな質問をされた。


『ここを何で知りましたか?』


僕はその質問の答えに少し困った。そしてしばらく言葉を濁していると、その男性は苦笑しながらこう言った。


『エッチな本?』


僕は、苦笑いをしながら『はい』と答えた。




もちろんその間も、チンチンは丸出しである。




脱ぐ前にアンケートしろや、ボケ。

3 -------------------------------------
その男性が去っていくとすぐに、手術をする先生と思われる人物が入ってきた。入ってくるなり、僕のチンチンを触り始めた。




あああ・・・。




『うーん。大分余ってるねぇ。これは切った方がいいね、うん。』


う、うるせぇ。余計な事を言うんじゃねぇ。そう思っていると続けてその先生は、僕の皮を剥きやがった。


『おー。ちゃんと剥けるから亀頭は発達しているねぇ。』


あああああああああああああああああああああああ。


自分以外の男に皮を剥かれる事がこんなに屈辱的な事だったとは。


こんなに惨めな事だったとは。


僕はこの屈辱を一生忘れない。


僕がその屈辱に白目をむいていると、手術の準備が全て整い、ついに麻酔をかけられる瞬間がやってきた。先生が麻酔の注射器を手にした時、




ジャキイイイイン!




僕にはそんな効果音が確かに聞えた。


恐怖に押し潰されそうな僕をあざ笑うかのように注射器の針が鈍い光を放ちながら僕のチンチンに差し込まれた。




ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!




チクっとした後、ギュウウウウウっとツネくられてるかのような痛みが走り、麻酔薬が僕のチンチンに流れ込んでゆく感覚がはっきりとわかった。




正に悶絶。




そしてついに・・ついにメスが。僕の余った皮ともこれで本当にお別れだ。 メスを入れられ、血の付いたガーゼがチラチラ見える。しかし痛みは無かった。麻酔が効いているために、何かをされているのは伝わってくるが、痛みは全く感じなかった。


メスが入ってしまえばもう終わるまではあっという間だった。チンチンに包帯が巻かれ、手術が終了した。


手術が終了して、ズボンをはき、麻酔で麻痺している股間のチンチンの部分だけが抜け落ちてしまったような妙な感覚を感じながらも僕は厄介ごととお別れ出来た事の喜びで心が満たされていた。


やった。僕はこれでもう銭湯で隠さなくても良いんだ。丸出しでも恥ずかしくないんだ。




そうさ。僕は今日からずる剥け君さ!




そんな喜びに身をゆだねていると、手術後の注意事項の説明がはじまった。


『水やお湯で濡らさないようにしてください。』


『お風呂は数日間は入らないで下さい。』


『痛み止めをつけるので、麻酔が切れてから痛むようだったら飲んでください。』


などなど・・・。


様々な注意事項が話された。そして僕の関心を引いた言葉がその男性から発せられた。


『マスターベーション、性行為は3週間以上は行わないで下さい。』




さ、3週間!?




それは、その当時毎日のようにしていた僕には辛過ぎる長さだった。  

4 ------------------------------------------------
手術を終えて、家に帰った僕はチンチンをかばいながらそっと腰をおろし、喜びに身をゆだねつつ、やはり先程の『3週間』が心に引っかかっていた。


果たして3週間以上も我慢できるだろうか。


まあ、良い。いまはそれより素直にずる剥け君になれた事を喜ぼうじゃないか。僕はそう自分に言い聞かせながら、家でゆっくりと体を休めた。


そしてその夜。


ズキズキズキズキズキ・・・・。


アレ?アレレ?


なんだこの痛みは。 そうか!麻酔が!麻酔が切れたんだ!


痛い。痛いよう。チンチンがこんなに痛むのは生まれてはじめてだ。痛いよう。痛いよう。僕は内股で立ち上がりながら痛み止めに手を伸ばした。


薬を飲んでしばらくすると、見事に薬は効き始め、痛みはかなり和らいだ。それから数日間は痛み止めが手放せない日々が続いた。




痛み止め→内股→痛み止め→内股→痛み止め→内股・・・




僕はそんな数日間を過ごした。 そしてさらに数日間が過ぎ、発作的な痛みもなくなり始めたので、そろそろ風呂に入っても大丈夫だろうと思った。


しかしぬらさずに風呂に入るにはどうしたら良いのだろう。 僕は考えた末に、スーパーのビニール袋を使う事にした。脱衣所にスーパーの袋を持ってゆき、服を全部脱いでからビニールをチンチンに被せ、チンチンのホースの根元にしっかりと輪ゴムを巻き、水が入らないようにビニールの口を塞いだ。


そしてふと鏡を見ると、この上なくマヌケな一人の男が立っているのが見えた。


ああ・・・・。

5 -------------------------------------
手術した日から2週間ほどが経過していた。


痛みもすっかりと引き、ビニールの装着も慣れた頃、僕の中で何かがうごめき始めた。僕の心の奥底でうごめくそれは、少しずつ僕の体を蝕んでいった。


夜になると体がいう事をきかなくなる。体が火照る。どうしたんだ。僕はどうなってしまうんだ。僕にこの衝動を抑えろというのか。


そう、その衝動・・・それは、




性欲。




数日前からムラムラムラムラし始めてはいたものの、何とか気をそらしながらやり過ごして来ていた僕に、そろそろ限界が近づき始めていた。


でも、今抜いたら間違いなく血まみれだ。僕の中で苦しい戦いが始まっていた。深夜になるとその戦いは激しさを増す。


『良いよ。抜いちまえよ!もう2週間だぜ?ちょっとぐらい平気さ!』


悪魔が僕にそう語りかけてくる。


するとすぐさま


『ダ、ダメ!今抜いたら、せっかく塞がってきた傷口が開いてしまうわ!ダメよ!もうちょっと我慢して! と、天使が僕に静止をかける。』


ああああああ。深夜起きていると、悪魔が!悪魔が勝ってしまいそうになるんだ!だ、誰か助けてくれ!




ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ・・・。




ブチ。




僕の中で何かが弾けた。


深夜、気が付くと僕は包帯をはずそうとしていた。まだ縫い目がある僕のチンチン。まだ、完全に塞がっていない傷口。それが生々しく僕の目に飛び込んできた。


しかし、僕を止めるものは誰もいなくなっていた。 そしてついに・・・。


シコシコシコシコシ・・・・




痛ってええええええええ!




ぐあああああ。ダメダ!やっぱり痛い!痛すぎる!大きくなっただけでもまだ突っ張って痛みが走るのに、そこを激しくこする事など出来るわけが無かった。


もう既に海綿体が大爆発しているのに!もうはちきれんばかりなのに! く、くそう・・・。


僕は愕然とした。やはり我慢するしかないのか。でもあと一週間。そんなに我慢できるものか!僕は床を叩きながら苦悩した。


その時、ふとテレビに目をやると、トゥナイト2という深夜番組で、風俗紹介のコーナーがやっていた。なんの嫌がらせだというのだ。僕が何か悪い事をしたか?どうして今の僕にそんなものを見せる?


僕は神様を恨んだ。


慌ててテレビの電源を消そうと一度テレビに手を伸ばしたが、その瞬間、テレビではこんな風俗の紹介がはじまり僕は思わず手が止まった。




前立腺マッサージ。




それはなんと、女性が男性の肛門に指を入れ、前立腺を刺激する事により、チンチンに触れずにイカせてしまうという風俗だった。




そう。チンチンに触れずに!




ここで一つこれを読んでいるアナタに質問がある。あなたは僕がかつて書いたテキスト『スティック』を読んだ事があるだろうか。無ければこれから読むと良い。


そして読んだ事があるアナタには衝撃の事実が今ここに明らかになるだろう。




実はここからあのテキストに話が繋がるのだ。




僕は部屋に転がっていたドラムのスティックでそれを試みようとしたのだ。自分の指でやるのは位置的に無理だからだ。詳しくはそのテキスト『スティック』をご覧いただきたい。


僕は、あのテキストを書いた時点でこの事を公にする勇気が無かった。何故前立腺マッサージを自分でやろうなどと無理な事をしようとしたかは伏せていた。


結果はわかっていた。ダメなのはわかっていた。自分で出来るわけがないのはわかっていた。だが、僕にはもう何がなんだかわからなくなっていたんだ。


そして、テキスト『スティック』に記したように、結局それも失敗に終わり、枕を涙で濡らしながら僕は深い眠りについた・・・。

6 ------------------------------
それから数日たち、傷口を縫ってある糸が少しずつ取れ始めていた。そしてついに包帯を取っても問題がない程に傷口が治ってきていた。


キズ口を縫ったある糸は病院には行かずに、傷が治るにしたがって勝手に取れてゆくものだったので、ある程度取れた段階で僕は包帯を巻くのを止めた。


その日僕は、やっと苦しい抑圧から開放され思いっきりヌ(略)。


そして、手術前は皮で覆われ(ノーマル時)、手術直後から数週間は包帯で覆われていた僕の亀頭は、常に外に顔を出す事になったのだ。


今まで殆ど何かに覆われていた僕の亀頭はとても敏感だった。まだピンク色だったし、そして何よりパンツに擦れると、腰が引けてしまう日々がしばらく続いた。


だがそれもおさまり、色も程よく黒ずみ、そして現在にいたるのだ。


さあ、どうだっただろうか。家族以外にこの事を話すのはほぼはじめてに等しい。僕のこんな経験を聞いて共感するものなど殆どいないだろう。マヌケなヤツだと思っただろう。




悪いかボケ。




僕のチンチンにはやはり手術のあとが今でも残っている。でも銭湯で丸出しにしたぐらいじゃこのキズは見える事は無い。りっぱなずる剥け君だ。


僕はあの日の決断を後悔していない。後悔している事と言えば、




ここにネタとしてアップしてしまった事ぐらいだ。




因みに僕はこの手記を書くに当たって、事前に一人の友人にこの事を話した。


『実はこんなネタがあるんだけど、どー思う?』


僕は彼にそんな質問をした。すると彼は大爆笑。


笑いすぎだ、貴様。




そして続けて彼はこう言った。




おまえ。
改造人間だったんだネ!




僕が7年間守り抜いた、今まで誰にも言わなかった秘密。




それは・・・。





僕が改造人間であるという事だったのだ。



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