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イノセンス
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2004/04/04 [ Sun ]
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昨日、近所の映画館にてレイトショーで見てきました。攻殻機動隊の続編であるところのイノセンスです。続編であることを示すようなサブタイトルなどがついていないので、シリーズモノであるのを知らずに見に行って全く理解できずに玉砕してしまった人も結構いるみたいで、そういう人からは非常に評判が悪いみたい。

俺の感想をまず言ってしまうと『良くも悪くも予想通り』でした。今回のこの作品の監督を務めた押井守という人に対して特別リスペクトしているような感覚は俺には無いんだけど、前作や『人狼』の作風を見た上で『こんな感じなんじゃないかなあ』くらいの予想はしていました。『期待』じゃなくて『予想』ね。で、実際に見てみると見事にその通りの内容でした。

非常に渋く、ハードボイルドで、そしてイマイチ盛り上がり切らない。ハッキリ言っちゃえば痛快さに欠ける作風なんです。攻殻機動隊の原作は情報量が異常に多く、独特の世界観があるもののストーリーの流れや画風によって俺個人としては意外とアッケラカンとしている印象を持っているんですが、押井氏が関わると雰囲気が非常に渋く、当人の思想的なモノが盛り込まれて妙に小難しい感じになる。本作もそんな感じです。

非常に雰囲気があってカッコイイのですが、基礎となっている近未来の刑事モノという全体の流れを思想を語るための手段として使っているんですね。全体の流れだけを取り出してみると非常に単純な話です。古典的な刑事モノに過ぎません。まず事件発生。そして主人公が捜査開始。手がかりを見つけ事件の核心が見えてくる。そしてラストは犯人の本拠地に乗り込み、事件の真相がわかる。流れだけで言えば本当に単純でありきたりなモノです。

けど、何故かやたら難解だとか意味がわからなかったという意見が多い。前作を見てないとさっぱりわからないのは間違いないんで、続編なのを知らずに間違えて見ちゃった人の意見は別としても『わからない』、『難しい』という意見は多いです。登場人物が話すセリフには聖書や思想家の言葉を引用したモノがやたら多いので小難しくわかり難い感じがするのかもしれませんが、実際そんなに大した話じゃないですよコレ。刑事モノの古典形をベースにして、そこに監督の言おうとしていることを織り込んでいるだけなので全体の流れは意外とこじんまりしていて単純なんです。

魂だけで人は生きていると言えるのか? 生きるとは何か? 物理的に存在してはいるけど中身の無い人形、肉体を持ち魂もある人間、魂を入れておくために人工的に作った体を持っている人間、さらには魂だけの人間などを持ち出してそれらを対比しながら『生きるとは』、『人間とは』、『命とは』なんかを語ろうとしている映画です。

主人公のサイボーグ刑事『バトー』とコンビを組んでいるのは殆どがまだ生身の体の男。そして魂だけになっている前作の主人公『少佐』。さらに器だけの存在である『人形』。そんな風に上記のいくつかのタイプを刑事モノの古典形の上に配置して、わかり難いセリフで装飾し、押井氏がいわんとしているテーマをそこら中にバラバラの状態で散りばめて、見るものに対してそのバラバラのパーツを組み合わせさせる。ジグゾーパズルのようにね。

だから全体のストーリーの流れやテーマ自体が難しいんじゃくて、わざとバラバラにしてあるから難しいような気がしちゃうってだけなんですよね。完成しちゃえば非常に単純な話なんです。本作はその手法を好きか嫌いかで評価が大きく分かれる映画ではないでしょうか。俺の場合は、その手法自体は嫌いじゃないんですが、テーマが先にあって、それを語るための手段として後から刑事モノ古典形を持ってきている感じだから、全体の流れにキレが無くて、盛り上がりに欠ける部分に勿体無さを感じたのが正直なところです。

刑事モノの古典形を持ってくるのは良いですが、痛快さや盛り上がりの部分、つまりテーマだけが頭でっかちになってしまわないように全体の流れのオモシロさをも意識して作れば、エンターテイメントとしての痛快さも加えることが出来たんじゃないかなと思うんですよね。その辺の意識がちょっと欠けているからせっかく存在している明確なテーマも説得力に欠けてしまっている感じがしました。平たく言うとちょっと独り善がりかなって思います。いくら興味深いテーマを語ろうとしても、全体の物語の展開の面白さが足りないと見てる人にテーマが伝わらないと思うし、伝わったとしても心にスっと入ってこないんじゃないかなあ。

ケーブルテレビかなんかで放映されて、今はDVDで発売されている攻殻機動隊スタンド・アローン・コンプレックスというシリーズでは、思想的な部分を抑えて明確に痛快な近未来刑事アクションとして割り切って作っていたから、イノセンスで重視された思想語りとそのスタンド・アローン・コンプレックスでのエンターテイメント性を上手いこと組み合わせれば良い意味でもっととんでもない作品が出来そうな気がします。イノセンスはさらにその続編も作るっていう話もあるみたいだから、次はそういうのが飛び出してくると良いなあなんて思ってます。

まあ、嫌いってわけじゃないんだけどねイノセンスも。
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CASSHERN(キャシャーン)
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2004/04/24 [ Sat ]
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予告編がやたらカッコ良いキャシャーンです。公開初日の今日見てきました。

結論から言うと面白くなかったです。CGが期待していたよりもずっとチャチだったんですが、面白くなかった原因はそこにあるのではなくて物語に奥行きを感じなかったからです。タツノコプロのヒーローがエヴァンゲリオンになっちゃってんだもんなあ。終末思想、そして再生・・・みたいなノリで、痛快さはゼロ。そういう重い話なのに深みがないの。それって致命的じゃねーのかな。正直、途中で時間を気にした映画はかなり久しぶりです。『早くおわんねーかなー』って何度も思った。

実際に上映時間も長めなんでこれはかなり厳しい出来です。ブツ切りのプロモーションビデオを延々二時間以上見てるような感じ。悪役の唐沢さんはハマっててカッコよかったけど、一本の作品を見たという充実感が全然感じられないのに疲労だけが残るのでホント辛かった。映画の作り方を知らない映像作家が作ったっていうの丸出しです。全く『物語』としての魅力がない。

まあ、いい所もあるんだけどね。キャシャーン初登場の場面とかはアニメ的なカッコよさが素直に出てて良かったよ。あと、キャシャーンの原作と全く同じデザインのヘルメットが本編でもしっかり用意されているのだけれど、実際には被ることなく瓦礫に埋もれて壊れてしまうという演出が入っていて、何故原作のあのデザインのヘルメットをキャシャーンが被ってないのかさりげなく説明されてたりするのも結構細かい配慮で良いなと思いました。あのデザインのヘルメットを実写で被っちゃうと猛烈にカッコ悪いのは明らかだけど、大きな特徴であるあのデザインを完全無視するのも気が引けるから、ヘルメットを被ってない理由を一応描いておいたんだろーな。

そういう細かい配慮がされてる割に、ダラダラ面白くない場面が長く続いて、しかもエヴァンゲリオンやイデオン的な終末思想なノリをブツ切りの場面転換で表現して、物語の面白さ、メリハリみたいなモノが等閑にされているのが残念でなりません。それに主人公のキャシャーンがあまりにも活躍しなさ過ぎるよ。こんなに存在感のない主人公は珍しいんじゃないかな。戦闘シーンが少ないのも哀しいね。キャシャーンがしっかり戦うシーンって全部で10分も無いんじゃ?

それと、さっき書いたヘルメットの件や、腰のジェットで空を飛んだりすること、さらにはイヌの名前なんかを原作通りにしてるところを見るとある程度は原作を大事にしようと思ってるっぽいけど、実際はキャシャーンである必要がない映画になってます。原作を踏襲するのか、ハッキリオリジナルだと割り切って作るのかハッキリしないのよね。原作の細かいところを意識してるんだったら、もっと素直に痛快な物語にすりゃーいいのに。

とにかく俺には無駄に長くてツライ映画でした。
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恋人はスナイパー劇場版
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2004/05/01 [ Sat ]
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正直ちょっと安っぽい映画ですがなかなか楽しめました。元々はスペシャルドラマとしてテレビで放映された作品の三作目を劇場でやったというのが本作ですが、前二作を見ていなくてもお話に置いて行かれることはありません。自然に物語りに入っていけます。俺もドラマを見てないんですが楽しめたよ。

で、踊る大捜査線(以下『踊る』と表記)の脚本家が脚本を書いているということで全体のテイストは近いものがありますね。この辺が濃い映画ファンには毛嫌いされてしまいそうですけど、踊るの映画版も楽しめた人には良いかも。けど、『踊る』よりもずっとシリアス路線で、ビックリするほど笑いの要素がありませんのでその辺は要注意。『踊る』のような笑いを期待すると肩透かしを食らうでしょう。さらにもうひとつ言っとくと本作は『踊る』の悪いところを少し引き継いでしまってるので『踊る』が徹底的にダメだった人は避けた方がいいかも。

『踊る』の映画版と同様に物語が非常に強引なんですよね。そんなことありえねーってのがすげえ多いです。その辺は『踊る』の悪い部分を引き継いじゃったね。だけど、シリアスに徹して展開にもそれなりにメリハリがあるので細かいことを気にしないで映画を見られる人は充分楽しめるんじゃないかな。後半でのアクションや細かい伏線なんかも悪くない。けど、その伏線があまりにもアッサリ描かれていて気づかない人もいそうなのはちょっと残念。もっとわかりやすく伏線を張ればいいのに。

例えば、主人公ウォン・カイコウがかつて所属してた組織のボスが撃たれたシーンで、ウォン・カイコウの腕の中でボスが色々しゃべってなかなか死なないんだけど、最後に『もういいか?』って言ってからコロっと死ぬのね。それってなんでそんなことを言って死んだのかは最後でわかるの。けど、その場面と最後が結びついた人って意外と少なそうなんですよ。伏線がわかりづらいの。せっかく用意してあるのにもったいないです。

あと評価が分かれるのはラストでしょうね。すんごく悲しいの。スッキリ痛快には終わりません。正直後味悪い感じ。だけど、ウォン・カイコウという男の性格とこれまでの歩みを考慮に入れれば、あの男がそういう選択をしたのはそれなりに納得できるから俺は大きな不満点にはなってません。けど、ホント悲しいのでイヤな人はイヤかも。

とりあえず本作は映画にうるさい人にはダメそうだけどあんまりこだわりがないような人にはそれなりに楽しめる作品ではないでしょうか。良くも悪くも君塚氏っぽい映画。
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オーシャン・オブ・ファイヤー
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2004/05/01 [ Sat ]
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本作の原題は『Hidalgo』。オーシャン・オブ・ファイヤーってのは主人公が出場するレースの名前として出てくる言葉です。それを日本ではタイトルに持ってきて、さらにハムナプトラっぽい砂嵐の映像をCMに使っていたからアクションがメインの映画だと思っている人も多いかと思いますが、実はこれ、アクションをアクセントにしてメリハリをつけて描いているヒューマンストーリーです。個人的にはかなりいい作品だと思います。

馬の血統に拘る人々とそれよりももっと馬の本質的な部分を重視する主人公、そして人間の血統に拘る人たちとその血統による差別を乗り越えようとする主人公、という風に馬と人間の血統の話を上手いこと重ね合わせることで作品のメインテーマを引き立たせています。物語の組み立て方非常に上手い。アクションを所々に入れることでメリハリがついていて最後まで飽きさせないのもナイス。二時間以上ある映画ですが、物凄く短く感じました。もっと長くても良かったくらいだよ。

主人公がとても魅力的な男だったし、一緒に行動する愛馬も可愛くて健気で素晴らしかった。全編愛情に満ちた作品なので見終わったあとに清々しい気持ちになれます。アクションでハラハラ出来て尚且つ暖かい。そんな映画。とりあえず日本での宣伝の仕方は失敗だと思うよ。もっとドラマの部分を大事にプロモーションして欲しかったなあ。そうすりゃもっと注目する人も増えたのでは。タイトルも原題のままの方がストレートに内容が表現できていていい気がするんだけどなあ。

まあ俺は凄く楽しめたのでそんなのどっちでも良いと言えば良いんだけど、とにかく内容を誤解して未チェックの人が多そうなのが残念なのよ。それほど良かったの。薄っぺらな内容のキャシャーンを見たあとだけに余計この作品の良さが引き立った感じ。いやー、これは良かった。DVDが出たら欲しいくらいすき。オススメです。
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チルソクの夏
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2004/05/30 [ Sun ]
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見に行ってからかなり時間が経っちゃったので記憶が曖昧なところがあるけど一応感想を書いておきます。この作品は元々地方限定で上映されたらしいんだけど、評判が良かったからなのか日本各地でそれぞれ二館くらいずつで拡大公開されたみたい。だから東京では二箇所でしか見ることが出来ません。確かに全国何百館もの劇場で上映するような大作映画じゃないと思うけど、もっと多くの人に見て欲しいと素直に思えた良い映画だと思います。

本作を一言で言うと70年代に青春を送った少女たちの青春物語です。メールや携帯なんていう便利なものがない時代に韓国人の男の子に恋をする女の子の話。主人公は女子高生4人組です。本作の舞台となっている70年代は日本と韓国の間に溝があった時代。それ故に韓国人の男の子と日本人の女の子の恋はその辺の国際的な障害によってなかなか上手くいきません。

とは言っても、日本と韓国の国際関係をメインテーマにしているというわけでなく純粋な青春映画として作られているので小難しい部分は皆無に等しく、変に考えさせられるような場面はありません。本当に純粋な青春映画として楽しめます。けど、だからこそ『むず痒くて見ていられない』って人も多そうだけど、その辺がツボにハマればとても優しい気持ちになれる映画です。ジブリのアニメ映画『耳をすませば』辺りが好きなら結構いけるんじゃないかしら。

突然、イルカの名曲『なごり雪』を歌いだしちゃったり、恥ずかしいセリフを言っちゃったりするのが『ウソ臭く』感じた人もいるようだけど、俺の場合はむしろ凄くリアルな感じがしました。高校生くらいのころって今思うと信じられないような恥ずかしい言動をしてた覚えがある人は少なくないと思うんだけどなあ。当時流行ってた曲なんかをみんなで歌っちゃったりした覚えが実は俺にもあるんだよね。ずっと友達だよねとか誓い合っちゃったりもした。とにかく青春爆発だったなあ。

そんな感じで大人になってから考えると恥ずかしくて仕方が無いような言動の数々をあえて導入して、主人公の女の子の恋を中心に女子高生仲良し4人組の青春を真っ直ぐに描いている作品だと言えるでしょう。俺としてはかなり大満足な内容で、映画館を出てからしばらく高校時代のこと思い出しちゃったりしてたよ。全体の出来としてとてもとても良いと思う。大作でも大ヒット作でもないけど、凄い予算を使って作られた映画ばっかりじゃなくてこういう素朴で優しい映画もたまには良いもんですよ。
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SAW(ソウ)
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2005/01/24 [ Mon ]
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劇場の公開最終日にギリギリ見に行きました。
スゲー面白かった。すげーオススメ。

この映画は唐突に始まります。目を覚ましたら広いバスルームの壁に鎖で足をつながれていて、向こう側の壁にも同じような状況の男がいる。その丁度真ん中あたりには頭を銃で撃ちぬいた自殺死体が転がっていて『何で俺はこんなところにいるんだ?』、『何で鎖でつながれているんだ?』、『目の前の男は?』、『この死体は?』、と謎ばかりの状態ではじまる。

そして、いつの間にかポケットに入れられていたカセットテープを再生するとそこにはゲームのルールを説明する犯人の音声が録音されていた。『6時までに目の前の男を殺せば助けてやる』。しかし、二人とも足をつながれていて動けない。・・・さてどうする? 犯人の目的は? 犯人は誰?

そんな感じの映画です。映画の展開はすべてバスルーム内で起こるのではなくて徐々に回想シーンや外での出来事が描かれていき、『あっと』驚くオチが待ってる・・・・というサイコサスペンスな映画です。

この設定だけで凄く興味を惹かれたので絶対見に行きたかったのよね。んで実際に見て大正解。DVD出たら買うよコレ。とにかく勢いが凄い。パワーが凄い。一分たりとも退屈な時間が無かったよ。低予算で作られたであろう作品だけど、チープさは殆ど感じませんでした。作り手の気迫みたいなもんが込められてる感じがするんだよね。冷静に見るとちょっと無理があるかも・・・という展開もあるにはあるんだけど、そんなことはとりあえずどーでもよくなってしまうほどのパワーと勢いがある。本当に面白かったよ。

最後のオチは読める人は読めるのかな? ネタバレはしたくないから詳しくは書かないけど、俺は『オマエかよ!』って思った。全然読めなかった。夢にも思わなかった。大々的に宣伝された映画ではないけど、こんな良作もあるんだよねぇ。見逃した人は3月にDVDが出るから、それまで余計なネタバレ文章は見ないように努力してぜひ見てください。超オススメ!
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