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ECOLE SOFTWARE(SEGA SATURAN)
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DEATH CRIMSON


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 >>> 導入部
さあ。一部で伝説ともなった究極のクソゲーであるデスクリムゾンを紹介させていただきましょう。一応このゲームに関して説明しておくと、1996年にセガサターンで発売された、バーチャガン対応第二弾のガンシューティングです。ガンシューティングというジャンルは本来ガンコントローラーでやる方がパッドでやるよりやりやすいし、楽しさ倍増なはずですが、このゲームの場合苦痛と難易度が上昇するあたりが新しいのかもしれません。因みに俺はパッドでクリアしました。恐らくこのゲームはガンシューティングなのにパッドやる方のが正しいかと思います。だって照準調整ちゃんと出来ねーんだもん。


もう既に様々なサイトで語り尽くされているのでご存知の方も多いかと思いますが、このデスクリムゾンはゲームとしてではなく他のところに存在価値があるのです。デスクリムゾンを真正面から見てしまうと、きっとそこには殺意が芽生えてしまうでしょう。そして気が付くとCD-ROMを真っ二つに叩き割り呆然と立ち尽くす貴方がいるでしょう。しかし、ちょいとばかり斜めから覗いてみるとアラ不思議。そこには摩訶不思議なオモシロ世界が広がっているのです。貴方のクソ面白くない平凡な人生にちょっとした光が差し込むに違いありません。もし万が一、デスクリムゾンを真正面から見た上で、心の底からゲームとして楽しめてしまった人は人間的に少々ヤバイ気がするので俺には話しかけないでください。すぐに精神鑑定を受けるべきだと思います。インターネットでこんなサイト見てる場合じゃないですよ!


とにかくこのデスクリムゾンは斜め方向から多くの人々に愛され、尊敬された真の天然から生まれた軌跡のゲームなのです。そう。天然なのです。製作者は微塵も狙っていないのです。ホンキだったのです。その信じられないズレ具合、イカレたセンスにより、このデスクリムゾンは奇跡の誕生を成し遂げたのです。さらにデスクリムゾンは出荷本数が極端に少なく、物理的な存在そのものもレアであったためデスクリムゾン伝説はさらに輝きを増してしまったのです。秋葉原では煌々と光を発しながらプレミアム価格で売られているので注意が必要です。興味をそそられて買ってしまうと、色々なものが信じられなくなると思いますので安易に手を出さないように充分注意してください。


では、前置きはこのぐらいにしてゲームをはじめてみましょうか。電源を入れるとすかさず以下のようなエコールの社名ロゴが表示されます。何も知らずにこのゲームを立ち上げた人々は戦慄を覚えるでしょう。電源投入直後から既にデスクリムゾンの戦慄と恐怖は貴方を狙っているのです。



TITLE ひぃぃぃぃ!


この不気味な画面はただ事じゃありません。これをメーカーのロゴに使うセンスは何処からやってくるのでしょうか。これが有名な『呪いのメーカーロゴ』です。しかもこれ絶対に飛ばせません。秒間16連射しようが、パッドを叩きつけようが絶対に飛ばせません。必ず見せられます。これを見て石になった人を何人も知っているので気をつけましょう。妖怪ゴルゴンを倒す時の様にテレビ画面に鏡をかざせば、もしかしたらテレビがフリーズするかもしれません。


そして強制的に呪いのロゴを全部見せられた後は愉快なタイトル画面が表示されます。ロゴに引っかかっている手がピクピク動いています。エコールのスタッフはどうも精神的にちょっとマズイ感じがします。恐らく精神鑑定で絵を描かせたら、真っ黒の太陽とか、殺し合いをしている子供の絵とかを描くんじゃないでしょうか。しばらくそのまま待っているとあの伝説のオープニングムービーが始まります。




『それは・・・10年前の事であった・・・・。』



何で棒読みですか。素人丸出しのような気がするのは俺だけでしょうか。


そして主人公、越前康介のプロフィールが表示されます。


Full Name 越前康介
Code Name コンバット越前
Age 29
Size 181cm 70kg





コードネームに本名入っちゃったよ。




さて、ここでチョット説明書を見てみることにします。するともっと詳しい越前のプロフィールが。


プロフィール


ゲームの登場キャラクターのプロフィールってのは、少しでもゲームを盛り上げるための演出であると思うのだけれども、このゲームの場合、好きなものが焼きビーフンであるという事がゲームを盛り上げます。もちろん嘘ですが。それと、説明書にはストーリーの概要も載っています。それを見てみる事にしましょう。







え、えーと・・・・。



意味が分からないのは俺だけですか?



俺は何度読み返しても文脈が理解できませんでした。俺が間違っているのでしょうか。俺が思うに、この文章を理解できる人はきっと選ばれた勇者だけなのだと思います。俺は凡人なのでとてもじゃありませんが、このプログレッシヴな日本語を理解することが出来そうもありません。というか、理解できた人は黄色の救急車に乗って行くべき所に行くべきかと、蛇足ながら付け加えさせていただきます。


では、またデモに目を移しましょう。越前達は戦闘中のようです。


『ダニー!グレッグ!生きてるかぁ!』


『あぁ、なんとかな。』


『上から来るぞ!気をつけろょ!』


素人さんにしては熱演だと思いますが、一人二役やっているような気がするのは俺が未熟者だからでしょうか。すると次に越前たちは何かの遺跡らしき場所の階段を見つけたようです。


『なんだ!この階段はぁ!』


『とにかく入ってみようぜぇ。』


この会話の序盤ではすでに階段を下り始めています。警戒心が全く無いあたりがオトコらしいですね。漢と書いてオトコと読む。まさに彼らにぴったりの表現です。そして越前達は扉を発見。そして越前が叫ぶ。





『せっかくだから俺はこの赤の扉を選ぶぜぇ!』




『せっかくだから』って何が!?




しかもその扉赤くない!




どうしちゃったんだ越前。


俺が越前の狂いっぷりに唖然としているとデモが終了しようとしています。


『こうして越前康介はクリムゾンを手に入れた・・・。』





こうして狂気のデモは終了します。


もう、この時点でアナタは既に狂気の世界に足を踏み入れているのです。





 >>> 本編
さあ、デモを全て鑑賞しひとしきり笑った所で、実際にプレイしてみましょう。スタートボタンを押すと、ステージセレクト画面になります。全3ステージ中、1ステージと2ステージがはじめから選べます。その他照準設定とオプション設定が選択できます。プレイの前にオプションを覗いてみましょうか。



ステレオ  モノラル



え? これだけ? これしか設定できないの? なんという潔さでしょう。そしてガンコンでプレイする際は照準設定をしっかりやっておきましょう。では早速。・・・あれ? 照準が合わせられたのかさっぱり分からないのは多分俺が未熟だからなのだと思います。因みに、いくら設定しても何故かズレは直せないのですが、不良品ではないので無償交換はしてくれません。注意しましょう。とりあえずパッドでプレイするのを前提に以降の文章を書いていこうと思います。ではいよいよプレイ開始です。ステージ1をまずプレイしてみることにしましょう。


『やりやがったな!』


『くそー!』


『あぁ・・・。』





文字通り秒殺です。




3つのライフがあっという間に無くなりました。撃たれた実感は皆無です。安楽死というやつですか。しかし、『やりやがったな!』とはやりやがったもんですね、エコールさん。しかもポリゴンなのに何故か厚みや立体感が微塵も感じられないのは一体どういう意図なのか図りかねます。秒殺された後、ポリゴンなのに平面的なその不思議な画面を眺めていると、あの呪いのエコールロゴが再び表示されます。あたりまえのようにキャンセル出来ません。はやる気持ちを抑えながら、呪いのロゴで石になりつつもう一度プレイします。


『やりやがったな!』


『ぁあ・・・。』


あれ。おかしいですね。2回しかやられていないのにゲームオーバーになりました。当然の如く呪いのロゴが。そしてまた石になりつつ我慢します。しかし、何故2回のミスでゲームオーバーになったのでしょう。ライフは3つのはずなのに。それは何故か。





ダメージを受けたあとに無敵時間が全く用意されていないからです。




つまりミスした直後の無敵時間が無いために二発同時に攻撃されると気づかぬうちにライフを一度に二つ持っていかれるのです。当然一度に三発攻撃されれば即死するわけですよ。瞬間的にライフを全て奪われるののなんかこのデスクリムゾンにおいては当たり前なのです。ゲームバランスもクソもあったもんじゃありません。でもめげずにもう一度プレイ・・・ってこれだけ酷い目に会わされても何故かプレイヤーめげないのです。俺もそうでした。


それは何故なのか。そう、もうここまで来ると気づかぬうちにデスクリムゾンの狂気に取り付かれ、何故か何度もチャレンジしてしまうのです。ほら、もうプレイヤーの顔は半笑い。ほら、だんだん面白くなってきた。そして、『デスクリムゾン最高!』と叫びそうになった時、プレイヤーはふと気づくのです。プレイヤーの敵はこの瞬殺を許容している『無敵時間ゼロ』という無茶なゲームシステム以外にもまだまだ沢山存在することに。


まず脈絡の無いタイミングで突然現れる真っ白な服を着た民間人の恐怖。これもプレイヤーを阻む大きな敵のひとつです。ガンシューティングにおいて民間人というのは間違えて攻撃するとミスになるという設定が殆どですがこのデスクリムゾンでもそれは踏襲されています。しかし、デスクリムゾンは他のガンシューティングとは一味違います。民間人は脈絡無く突然地面から生えてくる上に何故か自分から撃たれ易い場所に立ちはだかります。民間人はみな同じ顔、同じ服で大量に発生するのでとにかく気をつけなくてはなりません。もしかしたら彼ら『白い民間人』がもっとも強大な敵かもしれません。一部のデスクリムゾナーの間では彼ら『白い民間人』のことを恐怖と尊敬の気持ちを込めて何故か『佐藤』と呼ばれています。




そしてもうひとつの敵は、その極悪な操作性です。 十字キーを一瞬押しただけで画面の端から端まで移動してしまうカーソルを貴方は果たして使いこなすことが出来るでしょうか。 だからと言ってガンコントローラーでやろうとしても、照準設定がマトモに出来ないのでかえって難しくなるのでもうどうしようもありません。しかし、これらの事実が判明すればするほど、プレイヤーの顔は半笑いから はちきれんばかりの笑顔 に変わっていくのです。そう。これがデスクリムゾンの魔力なのです。



この頃にはプレイヤーの頭はデスクリムゾンの狂気によってだいぶおかしくなっていると思いますが、これだけでは終わらないのがデスクリムゾンの恐ろしいところです。何度もプレイしていれば、そりゃ前述の民間人を間違えて撃ってしまうこともあるでしょう。そしてそこで再びプレイヤーの脳みその崩壊がさらに加速するに違いありません。民間人を撃つと撃たれた民間人は悲鳴をあげ・・・・・。


『オーノー。』 (棒読み)


・・・・ません。


『オーノー』って。棒読みで『オーノー』って。


うわっ! 今度はムササビが襲ってきた! 撃ってやる!


『オーノー。』 (棒読み)


『オーノー』って。ムササビなのに『オーノー』って。ムササビなのに民間人扱いって。声同じって。



上記のようにデスクリムゾンの狂気の世界ではムササビも何故か民間人扱いなのです。間違えて攻撃するとミスになります。それは何故なのか。何か裏設定があるのか。誰もがそういう疑問を持ちましたが後にその裏設定が明らかになりました。エコールの説明によると『ムササビはゲームの設定で出てくるKOT症候群という病気の特効薬になる動物なので味方扱い』だとの事だそうで。 っていうか、薬にするんだったら結局殺すのでは? という極当たり前の発想はエコールには通用しません。黙っていましょう。



そして終盤のステージ3では本当の狂気が待ち構えています。
そこで全てのプレイヤーは完全に精神が崩壊する事でしょう。


コイツの出現によってトドメを刺されるのです!




クチビル !?




なんだこれはっ! デフォルトで目線が入ってる!? 小刻みに震えながらいきなりテレポートしてくるこの物体は一体!? ・・・・・・これは精神鑑定が必要とかそういうレベルのセンスじゃありません。色々なものを超越してしまったこのセンス。そしてプレイヤーは思うのです。呪いのロゴをはじめとする一連の不気味なセンス、コードネームに本名を入れてしまったり、『ムササビは薬になるから味方扱い』という子供みたいな発想などをはじめとした普通の人間が考えればあり得ない天然ボケの数々、そしてこのイカレた『くちびるくん』のデザイン。


これらを見てプレイヤーはきっと俺と同じようにこう思うはずなのです。


これはきっと・・・これはきっと・・・・・・・。





これはきっと、何処か遠くの星の人達が作ったゲームなんだって。






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