ALICE IN CHAINS |
レイン・ステイリーの歌唱力はズバ抜けていてこのバンドの大きな個性のひとつ。わりとキャッチーなメロディーの曲でも彼が歌うと異様な雰囲気になるという強烈なモノを持っているヴォーカリストである。極端にネバっこくヴィブラートを効かせて歌う彼の個性は素晴らしかった。さらに演奏陣のセンスも全てが素晴らしかった。 演奏のうねる感覚、それまで人気だったGuns N' Rosesのようなバンドとは完璧に異なる暗さ、全てが新しかった。私はNIRVANAよりも彼らの方に大きな衝撃を受けた。暗くはあるが、そこには良いメロディーがある。NIRVANAにもそれは共通していて、独特な個性を持っている上で、『良いメロディー』をも持っているという素晴らしきバンドだ。 しかし、長らく活動休止状態だった彼らは活動休止よりももっと残念なことが起きてしまうことになる。2002年の4月にレイン・ステイリーがドラッグが原因で死亡。それにより完全にAlice In Chainsは終了してしまった。だがバンドが解散してもずっと残るのだ。彼らの素晴らしい音楽が。[2003/01/07] DETAILS >>
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ORIGINAL STUDIO ALBUMS ■FACELIFT [1990] ■DIRT [1992] ■ALICE IN CHAINS [1995] |
■FACELIFT [1990] | ||
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個人的評価 = 87/100 初心者オススメ度 = 80/100 |
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元々メタルバンドだった彼らが独自の音楽性を見つけ出して世に放ったデビューアルバム。現在では一応グランジなどの一派として捉えられている。#02『MAN
IN THE BOX』がラジオでヘヴィーローテーションとなり、その名を知られることとなった。 同曲はラジオで積極的に取り上げられる楽曲としてはヘヴィーで重い異色の楽曲で、『こんな曲がヘヴィーローテーションでかかるとは』と雑誌などのメディアでも話題になっていたようだ。それはグランジという言葉がまだないNIRVANAブレイク以前の出来事なので、彼らがグランジムーブメントの先駆的存在となったと言えるだろう。 元々がメタル出身ということで、パンクを通過しているNIRVANAとは異なりメタル的なギターの音作りや非常にキッチリとした演奏が特徴だ。ギターソロなども実にメタル的なスタイルだ。ゆったりとウネルように展開される演奏にヴィブラートを極端に効かせたまとわり付くようなLAYNE STANLEYの陰鬱なヴォーカルが乗る。 本作は比較的ゆったりとしたリズムの曲が多く、緊張感や攻撃的なモノはあまり感じられない。デビュー作としては妙に落ち着いた雰囲気があるのだ。後半には割と軽快でキャッチーな曲がまとまっていて、演奏だけ聴くと『思ったより普通』な感じがする。もうちょっとテンポを上げて演奏すれば普通のハードロックになりそうな部分も多い。 しかし、LAYNEのまとわり付くようなヴォーカルが重くて陰鬱なエキスを注入している為に決してカラっと爽やかになんかならないのである。病的で呪術的なLAYNEの歌は聴き手の精神に直接的に何かを訴えかけるのには充分なインパクトがある。彼の歌唱力の高さは圧倒的だ。メタル的なスタイルを踏襲しながら、独特の溜めが効いたリズムとウネルギター、そしてLAYNEの病的、呪術的なヴォーカルによって、スタイルが固まっている筈のヘヴィーメタルという音楽を今までに無い方向に発展させたのが本作である。 デビューアルバムにしてこれだけ腰の座ったモノを作り上げた彼らはやはり凄い。 [2004/01/08]
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DISCOGRAPHY INDEX▲ |
■DIRT [1992] | ||
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個人的評価 = 98/100 初心者オススメ度 = 95/100 |
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衝撃のデビュー作から二年を経てリリースされたフルレンス二作目。 前作は割と音に隙間が多く、落ち着いた雰囲気すら感じる部分があったが本作ではアグレッシヴな面を惜しみなく前面に押し出している。本作にはウネる感覚だけではなく、破壊的で攻撃的な勢いみたいなものがあるのだ。さらに、メロディーの素晴らしさも圧倒的にアップ。陰鬱な雰囲気の中にキラリと光る印象的なメロディーやコーラスがギッシリ詰まっている。単に『暗い』のではなく『切なく美しい』と表現した方が良いような『DOWN IN A HOLE』や『WOULD ?』などでもメロディーの素晴らしさを堪能できる。それ故前作よりも遥かに入りやすい作風と言えるかもしれない。 そして病的で呪術的なLAYNEのヴォーカルはその凄みを増し、前作では見られなかった様々な歌唱法を実践している点に注目したい。#04『SICK MAN』や#08『GOD SMACK』での呪いをかけるかのような彼の細かく震える声は恐怖すら感じるほど凄まじいものがある。様々な感情を多彩な表現力で聴かせてくれる彼はやはり一流のヴォーカリストだ。残念ながら彼は既に亡くなってしまったが、彼の死はロックシーンにおいて本当に大きな損失だったと改めて思わざるを得ない。 LAYNEの歌のについてばかり書いてしまったが、もちろん演奏陣の素晴らしさもまた忘れてはならない。独特のノリを作り出すリズム隊も素晴らしいし、ヘヴィーメタルからの影響を残したまま、独自のアレンジセンスを発揮するギターも素晴らしいのだ。特にドラムのアレンジセンスは特筆モノ。単に溜めの効いたリズムをたたき出しているだけでなく、とにかくセンスのいいアレンジが心地良い。SEAN KINNYは本当に優れたドラマーだ。 本作は陰鬱にしてキャッチー、グルーヴィーにしてアグレッシヴ、そして病的にして美しい。彼らの持つ様々な要素をバランスよくひとつにまとめたロックシーンに残る名盤である。 [2004/01/08]
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DISCOGRAPHY INDEX▲ |
■ALICE IN CHAINS [1995] | ||
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個人的評価 = 75/100 初心者オススメ度 = 90/100 |
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彼らの最大のヒットアルバムとなったフルレンス三作目にして最終作。 確かに一番売れたアルバムなのだが、私個人としては前二作と比べて思い入れ度はかなり低いのが正直なところだ。個人的には前作が彼らの最高傑作だと思っている。もちろん嫌いなアルバムというわけではないし聴き所は多くある作品だと思うが不満な点も多いのだ。 まず、なによりもLAYNEのヴォーカルが加工されすぎていて生々しさが大きく後退してしまったこと。さらにJERRYがヴォーカルをとる曲まであって、LAYNEがドラッグにより活躍しきれていないのがアリアリとわかるのが非常に不満である。そして本作には一種異様な冷たさがあり、そこが前二作とは明確に印象が違うところだ。 本作は妙に淡々とした雰囲気を持っていて、まとわりつくような感覚が減退、醸し出す雰囲気がなんだかとても乾いているのである。どうもそれが肌に合わない部分がある。メロディーなどは相変わらず耳を引くモノが多いし、アレンジのセンスも凄みを感じる部分が多い。#05『HEAD CREEPS』などは一時期のKING CRIMSONのような雰囲気があって結構好きである。しかし、全体としては冷たく淡々とした感じがしっくり来ないのだ。 でもコレが一番売れたという理由は何となくわかる。彼らのフルレンス三作の中で一番モダンで、一番メタリックではないからだ。発売当時において一番『今っぽかった』のだろうと思う。個人的には突出して好きなアルバムではないが、彼らの作品の中で確かに一番クールな作風なのかもしれないとは思う。 [2004/01/08]
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