DIZZY MIZZ LIZZY |
平均年齢弱冠二十歳でデビューした彼らだけど演奏技術はデビュー直後から相当なモノでした。その確かなテクニックで構築されていたDizzy Mizz Lizzyの音楽は彼らが解散してしまった今でも色褪せることは決してないのです。これからでも良いので彼らの音をまだ聴いた事が無い人はこのページを覗いたついでに聴いてみるってのはいかがでしょう? クセの強い彼らの音はダメな人は本当にダメだろうけど、それが心の琴線に触れれば『心のバンド』にも成りえる素晴らしいバンド、それがDizzy Mizz Lizzyです。 Dizzy Mizz Lizzyは88年秋にデンマークのコペンハーゲンで結成された。メンバーはギター&ヴォーカルのティム・クリステンセン、ベースのマーティン・ニールセン、そしてドラムのソレン・フリス。はじめからこの3人でのスタートだったようだ。 ティムは8歳の時に既にはじめてのバンドを結成し数年間そのバンドで活動していたそう。そして家族でコペンハーゲンの中心部に引っ越すことになり、そのバンドは解散。転校した学校で同じクラスになったのがベースのマーティン。その当時はまだ彼はベースを弾けなかったそうだが、ティムのすすめにより彼はベースをはじめた。88年にはドラムのソレンと知り合いDizzy Mizz Lizzyとしての活動を開始した。 バンド結成当時、ティムはEuropeやBon Joviを好んで聴いていて、キーボードを入れてEuropeのような音楽をやりたかったらしいが、結局良いキーボーディストがみつからず、その当初の思惑とは違う方向にバンドの方向性が向いていったとのこと。90年になると『Rock Meeting』というロックコンテストに参加。彼らはそのコンテストに優勝し日本円にして30万円相当の賞金を手にする。この頃から彼らの活動は本格化してきたようだ。 その賞金を使ってデモ・レコード『MaryHoldsTheSun』をレコーディング。その頃はデビュー後のDizzy Mizz Lizzyとしての音楽性への過渡期だったようで様々なタイプの曲が収録されていた。92年の暮れ頃にはアルバムを発表出来る程度の楽曲が出来上がっていたそうだ。そして再びロック・コンテストに参加。今度は『Danish Masters Of Rock』というコンテスト。そこで再び優勝しそのコンテストの懸賞として4曲入りのプロモーションCDを製作。そのCDに収められていた『Waterline』や『Silverflame』がラジオ・ステーションで頻繁にオンエアされることになり注目を集めはじめる。 それをきっかけとして頻繁にライブ活動を行うようになり国内ツアーにも出るようになった。そして93年秋に彼らはデンマークのメジャー・レーベルEMI Medleyと契約し、セルフタイトルのデビューアルバムで94年3月にデビュー。そしてそのアルバムがデンマークのナショナルチャートにおいて4週連続で1位を獲得。その後も『Waterline』、『Silverframe』のシングルもスマッシュ・ヒットし、その煽りでアルバムも4ヶ月以上もチャートのトップ5内に居座り続けた。95年にはBad Moon RisingとThe Almightyのオープニングアクトとして初来日を果し、7月16日の大阪IMPホールでのライブ音源が12月にリリースされた。 96年になるとアビイ・ロード・スタジオでレコーディングを行ったセカンドアルバム『Rotator』をリリース。さらに同年に単独での来日公演を行いました。東京公演は9月15日に赤坂BLITZで、札幌公演は9月17日にザナドゥで、大阪公演は9月18日にIMPホールで、名古屋公演は9月19日にクラブクアトロで、最終日の福岡公演は9月20日にスカラエスパシオで行われた。そして彼らは1998年にサードアルバムのレコーディングの準備に入ったのだが、ティムと他のメンバーとの間で音楽的な意見が対立しバンドは解散。その後、ティムはソロ・アーティストとしての道を歩みだすことになった。 DETAILS >>
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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メンバーがまだ10代の時に発表されたデビューアルバム。本国のデンマークでは94年にリリースされダブル・プラチナを獲得する大ヒットアルバムとなりました。日本では一年近く遅れて95年にリリースされています。ビートルズの曲名から拝借したというバンド名が示すとおりにビートルズ的なメロディーが満載で、ジャンルとしてはいわゆるハードロックの範疇に入ります。しかし、この作品で聴かれるのはニルバーナ以降のグランジも通過したと思われる音。基本的に凄くポップでメロディアスな楽曲ばかりなんだけど、突き抜けて明るくなるということは決してない、影のあるメロディーが特徴的なのです。そしてやたら几帳面でキレの良いギタープレイと複雑なリズムも特徴。演奏は至極巧いね。 しかもメロディーには彼らにしかない独特のクセが存在します。ビートルズ的なメロディーを有しながら素直になれないひねくれたメロなのよ。そして素直に真っ直ぐ乗らせてくれないという、ひねくれたリズムもまた特徴となっています。この作品で必ず注目される楽曲は05『Glory』でしょう。日本でこのバンドが紹介されていたのは主にHR/HM専門誌のB!だったから日本のそっち系のファンが好みそうな要素が満載のこの曲が注目されるのは至極当然のことでした。マサイトー大絶賛みたいな。マイナー調のメロディーを有するメロディアスなこの曲は確かに良い曲だよ。俺も大好き。 でもこの作品において注目すべきはむしろそれ以外の曲のように思うんだよね。既に書いた通りのビートルズ的なメロディーの中にあるひねくれた感性やリズム、そしてニルバーナ以降のテイスト。『Glory』においてはそれらはそれ程色濃くなくて、割と王道なHRソングになっているの。俺が本作を凄いと思う理由は『Glory』においてのHRの王道的なテイストではなく他の楽曲の方が遥かに濃く持っている彼ら特有のクセの方にあります。どうしても最後まで素直に真っ直ぐノリ続けられない妙なノリ。常につまずくような曲構成。それらの要素は『煮え切らない』という印象を与える部分もあるかもしれないけど、それが彼らの魅力なのよ。 ヴォーカルスタイルは派手に歌い上げるようなタイプではなく中音域以下を保つような曲が多いです。声にもそれ程強烈な個性があるわけじゃない。ビートルズから影響を受けたような70年代、80年代のアーティスト、例えばSQUEEZEやCROWDED HOUSE、もっと最近ではOWSLEYなんかのヴォーカルスタイルに近いタイプなので全体としては結構地味で威圧感などを感じるような場面は殆ど無いのね。けど、地味であるはずのそのヴォーカルスタイルに反して彼らのもつメロディーのクセが妙に耳に引っかかるのよ。そのヴォーカルも前述の『煮え切らない』という印象に繋がっているのは確かだけど、やはりそれも彼らの魅力なんだな。 そう。彼らの音は『煮え切らない』のに『印象に残る』という不思議なものなのよ。この奇妙な感覚を味わえるのは彼らならでは。デビューアルバムにしてそれだけのクセを持ち確かなテクニックでレコーディングされたこの作品は彼らが解散してしまった今でも決して色褪せないし、これからも語り継がれるべき名盤だと思う。もし未聴のロックファンがいたのならばこれは今からでも聴くべき。っていうか聴け。 [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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彼らのセカンドアルバムにして残念ながら最終作となってしまった作品。本作は前作よりもロック的なエッジが強調された作風となっています。相変わらずクセのあるメロディーは健在だし、聴けばすぐ彼らの曲であるのがすぐわかる個性はそのままに、より即効性を高めた作品といえるのではないでしょうか。俺の所属していた大学のハードロック好きが多いバンドサークルにおいてもいまだに人気があるようで後輩のやってるコピーバンドでこの作品からの曲のコピーをよく耳にしたから、ファースト以上にハードロック好きにはたまらない要素が満載の作品なのでしょうね。 楽曲は全体として前作よりも幾分ストレートになっています。さらにビートルズから受けた影響が表に出たポップ感を残しつつも、よりロック的な要素が強調されています。録音状況も前作よりもかなりお金をかけて作られた印象でずっと厚みのある音。単純に音を聴いているだけで気持ちが良いサウンドに仕上がっているのが良いね。この作品を指して『グランジっぽさが増した』みたいな事を言っている人がいたのだけど・・・何処が? そのニルバーナも通過したであろう音は既に前作でも充分感じられたし別にグランジっぽさが増したとは思わないな。ロック的なエッジが強調されただけで、グランジの要素が強まったわけでは決してないよ。むしろずっとハードロックな音になったと思うけど。 前作よりもストレートさを強調した(でもリズムが単調なわけじゃない)01、02、03、と気持ちよく畳み掛けてくれた後にハっとするような和やかさでありつつもやっぱりクセのあるメロディーの04『11:07 PM』をはさみ再びロックな曲に繋がっていく流れなんか最高だね。09『Riff Sang』のイントロでのリフのセンスも見逃せない。その09はやたら後輩がコピーバンドで取り上げてるのを目にした気がするけど、この曲を選ぶ気持ちが凄く良くわかるよ。単純にカッコイイといえる曲だからね。 09はもちろんのこと、それ以外の曲でも感じたことなんだけど、ティムのギタープレイのセンスは元エクストリームのNUNOに通じるモノをかなり感じるんだよね。エクストリーム時代のNUNOよりもモーニング・ウイドウズにおいてのNUNOのセンスに似てるところがあるのよ。モーニング・ウイドウズにおいてのNUNOのサウンドは割りとラフさの残るモノになっているけど(勿論すげえ巧いので雑って意味ではない)、それをもっと几帳面にしたような感じといえばいいかな。 とにかく。 この作品も前作同様に今からでもぜひ聴いて欲しい名盤ですね。このバンドのこのクセのある独特なセンスは他では絶対味わえないモノだから。ファーストとこのセカンドは両方とも大プッシュしたい。『もう解散してるんでしょー?今更なあ・・・。』なんて言ってんじゃねえよって感じで。この個性はバンドが解散した今でも、そしてこれからも絶対に色褪せないぞう。 [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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彼らが来日した時のライブの模様を収めたライブ盤。デビューしてから2枚のオリジナルアルバムを発表しただけで解散したという、ただでさえ音源が少ないバンドのライブ盤が聴けるっていうだけでも貴重だし、ファンとして単純に有難いと思います。 ここで聴ける演奏はスタジオ盤同様至極巧いですね。彼らのファーストアルバムはデビューアルバムにありがちな『音の薄さ』というのが気になる部分がありました。俺はその薄さも含めて好きなのだけど人によってはそこがネックになる場合もあるだろうなっていう感想もひそかに持っていました。けどこのライブ盤ではその音の薄さを微塵も感じないってのが凄い。スリーピースバンドなのだからスタジオ盤よりも遥かに音が薄くなりそうなものだけどこちらのライブ盤の方が遥かに迫力のある演奏になっているんだよ。それには正直驚いたね。 演奏の不安定さなんてのは微塵もない。しかも90年代以降はレコーディング技術が発達したために『スタジオ盤とライブ盤でのギャップ』というのがかなり大きなネックになる場合が少ないくないと思うのよ。実際様々なロックバンドのライブ盤を聴くとスタジオ盤の方が良いと思ってしまうことも多々あります。それに比べて70年代のロックバンドのライブ盤は実に素晴らしいモノが多い気がします。当時はまだ今ほどレコーディング技術が高くなく、スタジオレコーディングでは妙にこじんまりしてしまうという部分がかなりあったのは確かでしょう。だから逆にスタジオ録音よりもライブ録音の方がバンドのパワーがダイレクトに伝わり、遥かに迫力のある演奏が録音できたからスタジオ盤よりもライブ盤の方がずっとロックバンドとしての魅力を伝えられたのだろうね。 しかし90年代以降ではスタジオでも充分な迫力が出せるようになり・・・というかむしろ実力以上の迫力が出せてしまうようになったというのが現実。それがライブ盤の減少を招いている気がします。90年代以降のバンドって70年代のバンドに比べてオフィシャルからリリースするライブ盤が遥かに減ってる気がするんだよ。これはスタジオにおけるレコーディング技術の向上とは無関係ではないと俺は考えています。でもこのDizzy Mizz Lizzyにはそんなことは全く無関係だったようです。この作品では本当に素晴らしい演奏を聴く事が出来ます。しかも、曲を崩してそこにツェッペリンの曲を導入してみたりするジャムセッションのセンスも発揮しライブならではの楽しみもこのライブ盤から感じ取る事が出来るのも嬉しいね。 本作は彼らのスタジオ盤が気にいった人には絶対聴いて欲しい作品。この素晴らしい演奏はもう解散してしまった今では生で見るチャンスが無いと思うと複雑な心境にはなってしまうけどね。この素晴らしい演奏なら2枚組のライブ盤とかで聴いてみたかった。ブートならあるのかな。機会があったらブートも探してみようと思ってます。 [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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Dizzy Mizz Lizzy解散後にソロとして再出発したティムのデビューアルバム。 メロディーのセンスは相変わらず。ビートルズの影響を前面に出しつつもひねくれたクセのあるメロディーが満載。でもこの作品においてはギタープレイが控えめになっています。ギタリストとしてよりもヴォーカリストとしてのカラーを強調している作風となっているのよ。そしてDizzy Mizz Lizzyでのあのクセのあるリズムが無い分トータル的なひねくれ度はかなり後退した印象も受けます。やはりあのソレン・フリスによるドラミングはDizzy Mizz Lizzyにおいての個性としてかなり大きな役割を果していたのだろうね。 メロディーのセンスはDizzy Mizz Lizzyの頃のモノそのまんまなんだけど、リズムが素直なぶん物足りなさを感じる人は確実にいると思う。曲調もロック的なモノよりもビートルズのポップ感を前面に出したものが増えているから余計地味な印象になっているんだよね。地味と言うと言葉が悪いけど俺はそれをマイナス要素とはあまり考えていません。俺は元々ビートルズ的なポップソングが大好きな人間だからメロディーさえ良ければそれで良いの。Dizzy Mizz Lizzyはもう解散したのであって、これはあくまでもティムのソロアルバムなのだから。 04『Love Is A Matter Of...』のメロディーは非常に素晴らしいね。俺が大好きなビートルズ系ポップソング。でもその中に彼らしいクセもしっかり存在してるのもミソ。05『Watery Eyes』では少しDizzyMizzLizzy的な雰囲気を感じるがずっとストレートに仕上がっていてギタープレイはかなり控えめ。明らかに歌に主眼がおかれているのが聴くとすぐわかるのよ。 あくまでもハードロックであるDizzy Mizz Lizzyが好きだという人には恐らく評判が良くないであろう本作だけど、ビートルズ的ポップセンスも彼らの大きな魅力として捉えていた俺にとってはティムのこの『歌モノ』のソロデビューアルバムは充分魅力的。Dizzy Mizz Lizzyのロックテイストも良いけど、ポップテイスト溢れるこのアルバムで彼の綴るメロディーをジックリ楽しむのもまた良いのです。俺はこの作品を聴いて、ティムは非常に優れたメロディーメイカーであると改めて感じました。 本作はハードロックファンには評判がよろしくなさそうなのは想像がつくので、ビートルズから影響を受けた片足はポップ分野に突っ込んでいるようなタイプのアーティスト、もしくはモロにポップなアーティストを好む人に聴いて欲しい作品。OWSLEY、SQUEEZE、CROWDED HOUSE、ポール・マッカートニーのソロやウイングスなどを好む人なら楽しめる作品であるのは間違い無いと思います。 [XXXX/XX/XX]
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