ENUFFZ'NUFF |
ポップなのに明るくなり切れないという哀愁を漂わせた陰のある楽曲はとても魅力的だし、ビートルズ、特にジョンレノンが好きな人にはたまらないバンドだと思うよ。あまりにも純粋で、あまりにも素直な彼らは、ジョンレノンやビートルズの影響を全く隠そうとしません。それらの影響を公言してはばからないし、堂々とカヴァーもしているしね。それらの要素がビートルズファンにどういう印象を与えるか少し不安もあるけど彼らはビートルズの亜流バンドでは決してないのだ。 ビートルズの影響を受けながらもやはり彼らは彼らでしかないのだ。彼らは彼らなりのオリジナリティーがあって、彼らにしか書けない良い曲がたくさんある。実際セールス的にはかなり厳しいバンドで、ハードロックを好んで聴くような人の中にももはや知らない人も多いことでしょう。俺と同世代の人は口をそろえて『え!?あのバンドってまだ活動してたんだ!』と言う様なバンドです。けど、彼らはいい作品を創り続けてる俺にとって一番大切なバンドなんです。 バンドの歴史はヴォーカルのドニー・ヴィーとベースのチップ・ズナフが出会うところからはじまる。1982年にプロ野球のマイナーリーグのチーム、カンサスシティー・ロイルズの選手だったチップが選手生活に見切りをつけ、いくつかのローカルバンドを経て85年に友人の紹介でドニーと出会い、アメリカはシカゴでイナフズナフが誕生。当初のバンド名はENOUGH Z’NUFFという綴りだった。 その後インディーズから『Hollywood Squares』なるアルバムをリリースし、そのアルバムに収録されている『Catholic Girls』が地元のFM曲で評判を得てインディーズとしては異例のトップ10入りを果し地元シカゴで人気を得る。当時のメンバーはDonnie、Chipに加え、Geno Martino(G)、B.W.Boeski(Dr)の4人。その後GとDrが交代、メジャーデビュー時のメンバー、Derek Frigo(G)、Vikki Foxx(Dr)が加入し初期のメンバーが固まる事となった。 その後はディスコグラフィーを追ってみていけば現在に至るまでの経緯はわかるだろう。 【現メンバー】(国内オフィシャルサイトを参考に作成。) ■Ricky Parent(Dr.) ![]() ●date and place of birth : September 5/Passak, NJ ●height/weight/color of eyes : 5"9/135/brown ●favorite EZN songs : Mother's Eyes & New Thing ●favorite bands : Aerosimth, Led Zeppelin, Elton John, The Who, Jim Hendrix, Rush & frank Zappa 三枚目の『Animal With Human Intellgence』製作後(92年)に脱退したヴィッキーフォックスの後任ドラマーとして加入。元々ズナフのファンだった彼は、ドラマーが脱退した事を知り、自ら名乗り出てバンドに加入したらしい。ライブでははち切れんばかりの笑顔でドラムを叩く陽気な人。ズナフに入る前にはJeff Pilson(Dokken)のバンドのレコーディングに参加している。 ■Donnie Vie(Vo. G. Key.) ![]() ●date and place of birth : March 29/Chicago, IL ●height/weight/color of eyes : 5"10/150/blue ●favorite EZN songs : Time To Let You Go ●favorite bands : Beatles & Lenny Kravitz リードボーカル、ギター、キーボードを担当するバンドのメインソングライター。彼があってこそのズナフ。ジョン・レノンを手本にした独特な粘っこいヴォーカルがズナフの看板となっているのは言うまでも無い。ファーストの『Fly High Michelle』はドラッグで亡くした彼のガールフレンドを歌った曲らしい。ホンモノを見るとイエモンのヴォーカルの人に似てた。 ■Monaco(G.) ![]() ●date and place of birth : June 13/Chicago, IL ●height/weight/color of eyes : 5"6/125/brown ●favorite EZN songs : Talin' A Ride, Black Rain, Day By Day Holly Wood Ya & Blue Island ●favorite bands : Beatles & Nirvana リード・ギター担当。LAでBlack Elvisというバンドに参加後シカゴに戻りMind Bombというバンドを経て95年のライブからズナフに参加している。空手などの武道を習っていたり、トランプ手品が得意で、その上ヘアーカットやギター講師の資格などを持っていてとても器用な一面がある。彼はズナフと同時にLOW-TEKというトリオ・バンドもやっているが、最近はほぼズナフオンリー?? ■Chip Z`Nuff(B.) ![]() ●date and place of birth : September 10 /Chicago, IL ●height/weight/color of eyes : 6"2/170/green ●favorite EZN songs : New Thing & Coming Home ●favorite bands : Vanilla Fudge, Queen & Cheap Trick バンドのリーダーでベース担当。かなりのひょうきんモノでライブでも彼のキャラクターが光っている。ハスキーな声でとても早口なんだそう。バンド活動の他にもプロデュースやレコードレーベルの運営もしている頑張りやさん。 DETAILS >>
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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原盤は1985年に発表したインディーズ盤。実質的に彼らのデビューアルバム。それを1994年に新たに再発したモノが本作です。元々は『Hollywood
Squares』というタイトルだったらしいね。地元シカゴのFM局で『Catholic Girls』が評判を得て、インディーズとしては大健闘のトップ10入りを果たしました。ジャケット画像は左が洋盤、右が日本盤のモノ。11と12は日本盤のみの収録となっています。 この頃のズナフは単純に明るい曲が多くてとても聴きやすいです。メジャーデビューしてから発表された最初の2枚のアルバムで聴かれるような少しクセのある暗さとポップさの同居した楽曲群と比べてもその違いは明らか。彼らが直接的に影響を受けたビートルズやチープトリックの音楽性がモロに表面に出ている作風だね。というかこの頃はビートルズというよりも初期のチープトリックの方に近いかも。 この作品は同じような曲が続くという欠点があるものの初期の頃から純粋にいい曲を沢山書いていたバンドである事がわかるし、メジャーデビュー前の音源がこうして正式にリリースされたのはファンとして素直に嬉しいよ。だけど録音状態はそれ程良いものではないしそれなりにチープでお世辞にも厚みのあるサウンドとは言えないです。 でも曲がコンパクトにまとまっていてメロディーも良いと思うので俺は大好きだね。俺はサワヤカで楽しい02『Catholic Girls』、ジョン・レノン風の04『No Second Time』、チープトリック風な08『Marie』が特にお気に入り。本作は録音状態が薄っぺらというのもあるけど、曲調自体も軽いモノが多いんで、ハードロックファンよりもポップス好きに好まれるかもしれないな。次作でメジャーから売り出される時にはハードロックバンドとして語られるコトになる彼らだけど、このアルバムを聴くと元々彼らは特にハードロックである事にこだわりを持っている様子は感じられないんだよね。とにかくポップで良い曲を書こうという感じ。 本作は元々インディーズ盤ということで前述の通り録音状態は余り良くないです。だから初心者に強く薦められるような内容とは言い難いのは確か。だから初心者がズナフに初めて触れる場合は後回しにしてしまっても良い作品かもしれない。購入するのはメジャーデビュー後の作品を聴いてからで充分かもしれない。けどこれは決して駄作ではないという事は強調しておくよ。 まだまだ青臭い彼らの出す音は今後のズナフのプロトタイプといった風な趣だけど、そんなプロトタイプの楽曲達にも愛すべき素晴らしいメロディーが溢れているのです。変にシリアスじゃないから気楽に聴けるってのが本作の魅力でしょうね。 [XXXX/XX/XX]
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メジャーデビューアルバム。トータル的にはセカンドにあたります。アトコレコードの社長、ディレク・シュルマンに気に入られ新人としては破格のアルバム8枚分で5億円という高額の契約金を手にしたズナフのメジャーデビュー作がこれ。ディレク・シュルマンは元ポリグラムレコードの凄腕A&Rで、ボンジョビ、キングダムカム、シンデレラなどを発掘した事でも知られている人物。要するにそれなりの大物って事ね。まあどうでも良い知識だけど一応。 インディーズの頃よりもずっとハードロックな音になっている・・・というよりも思いっきりハードロックアルバムな仕上がりなのだけどメジャーデビューアルバムとしては突き抜けた明るさや勢いのある曲が意外と少なくて地味な印象を持つ人も結構いるのではないかと思います。実際じっくり聴くと楽曲自体のクオリティーは新人とは思えないほど高いんだけど、一聴してすぐ魅力がわかるという即効性はあんまりないね。その代わりにハードロックというスタイルを取りながらも勢いに頼らず、シッカリと地に着いた演奏と楽曲で勝負をしようという心意気がヒシヒシと伝わってくる傑作です。 インディーズ盤と比べて圧倒的にハードロック然としている要因はデレクのギターにあります。この人は非常に巧いギタリストで、とても印象的なソロやリフを弾く人。ドニーが書く独特のメロディーにデレクの独特のギターテクが彩りを与えていてインディーズ盤の頃のような青臭さは微塵も無くなっているし、チープトリックやビートルズの影響も自分たちのカラーとして完全に消化された印象だね。ホント、彼らの尊敬する先輩たちの音を完璧に『ズナフ節』にまで昇華させてるよ。 これだけの作品でメジャーデビューを飾りながら、PVで派手な化粧をしていた事が仇となりポイズンなどと同じようなバンドであるという認識をリスナーにされ過小評価されてしまったのが非常に残念。そういう連中はこのアルバムをちゃんと聴いていないか、メディアの言う事を鵜呑みにするアホです。いや、そりゃ好みもあるだろーけど本作のクオリティーは確かだってば。今更当時の彼らのルックスを批判対象にする人はいないだろうけど、当時のコトを知ってる人は未だにそういうイメージで見てたりする部分があるからファンとしてとても悲しいのよ。 だから、そんな先入観を持っている人はそれを捨てて聴いて欲しいと思います。さらに今まで彼らを知らなかった人はとりあえず聴いてみるべし。確かにハードロックな音ではあるけど、ハードロックファンにしか聴けない音というわけでもなく、ロックとしての懐の深さを感じられる傑作だと思うしさ。興味を持ったら現在は廉価盤が出てるんでぜひそれを。 [XXXX/XX/XX]
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彼らの楽曲が過小評価を受けてしまうキカッケとなった派手なメイクを取り払って発表されたメジャーからのセカンドアルバム。ポール・ラーニとバンドの中心人物、ドニーとチップの共同プロデュースという形態で製作されました。この頃はヴォーカルのドニーのドラッグ中毒が最も酷い時期だったようで、それを反映してか非常に暗い作風となっているけど、それが作品全体に緊張感を生み出しこのアルバムが彼らの作品中で最高傑作であるとの声も多いです。俺もそう思う一人。 ドニー本人によると、ドラッグ問題が原因で製作前に思い描いていた作風とは違った仕上がりになってしまったらしいんだけど、楽曲の完成度の高さは確か。ドラッグによって導かれた暗さや生と死の狭間を彷徨いながら作られた為に生まれた緊張感が本作の完成度を上げているというのはなんともファンとしては複雑な心境だけどさ。けど良いんだから仕方ない。 残念な事に輸入盤、日本盤共に現在廃盤で入手は困難になっていますが本作はズナフを聴くなら必聴盤なので血眼になって中古を捜すべし。でもホントにこの作品に限っては中古も滅多に売ってないんだよね。少なくとも俺は廃盤になってから店頭で見た事が今まで一度も無いな。ヤフオクではたまに見るけど。 本作は楽曲が暗いために前作以上即効性に欠けます。だから一度聴いただけでは派手さに欠けるかもしれないし、この頃の他のハードロックバンドの楽曲と比べてノリ重視の部分は非常に少ないけど聴けば聴くほど味のでる楽曲の持つ深みは一級品。即効性が低いという意味ではファーストアルバムと同様の作風なのだけどこちらの方がより楽曲に深みがあるのよ。俺がこのアルバムを買ってから10年以上聴き続けられているというのもそれを証明してると思うし。 01のT−レックスを思わせるグラムロック的な雰囲気や、03のバイオリンをフューチャーした独特のセンス(このバイオリンはデレクのお父さんが弾いているらしい)、04、06のノリの良さ、07の美しいピアノなど聴き所は数多く、バラエティーの豊かさも文句なしだね。因みに14の『Time To Let You Go』は後にワイルドハーツにカヴァーされました。けど、なんでこの曲を選んだんだろう? とにかくとにかくとにかくとにかくズナフの一番重要なアルバムがこれです。 [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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レコード会社をアトコからアリスタへと移籍してのメジャーからのサードアルバム。イギリスのKERRANG!誌では最高得点を得て絶賛を浴びました。その反面、ファーストの頃のポイズンなどのパーティーロックバンドの一つとして見られてしまう部分はこの頃でもまだぬぐいされていなかったようですね。やっぱ第一印象ってのは本当に大事なんだろうなあ。現実は厳しいっす。 このアルバムの完成後にドラムのヴィッキーがモトリーを首になったヴィンス・ニールのバンドに引き抜かれて脱退してしまう事になり、発売されたアルバムのジャケットにはドラマー不在のまま3人の写真が使われる事なりました。その直後に現在のドラマーのリッキー・ペアレントが加入。彼は以前からのズナフのファンだったようで、積極的に自分からズナフ加入を希望していたらしい。さらにその後に、ドラッグ問題を理由にギターのデレクが首を切られてしまう。ドニーったら自分のことは棚に上げちゃって。 因みに日本初回盤には、メンバーのプロフィールや写真が載っているブックレット、そしてステッカーが入っていました。そのブックレットには新ドラマーのリッキーの写真もしっかり掲載されています。リッキーは今と変わらず笑顔がキモイですが何故か女性ファンには評判が良いんだよね。っていうかキモイよホント。ライブでもこの笑顔でリズム走りまくり、みたいな(個人的にドラマーとしてリッキーはあんまり好きじゃないんだよ正直)。本作でドラムを叩いているのはもちろん彼では無く前任者のヴィッキーなので不満は無いけどさ。 本作は前作『Strength』よりも明るさが強調され、ズナフ初心者には真っ先に薦めたい作品だね。最重要作品はやっぱり『Strength』だと思うんだけど、本作は今でも廃盤になっていないので普通に手に入るし、聴きやすさ、即効性の高さで言えば初心者には一番にこれを薦めるのが妥当だと思うのよ。楽曲の出来も『Strength』に勝るとも劣らないよ。ただちょっとムラがあるんだよね。ほんのちょっとだけどさ。 前述したように明るさが強調された点がこのアルバムのセールスポイント。前2作は非常に楽曲のクオリティーが高かった反面一度聴いただけではその素晴らしさが伝わりにくい作風でした。ズナフは元々ハードロックとして売り出されていたバンドであるわけで、そういったバンドに興味を持つリスナーは割りと派手でノリの良いものを求めていたりもするだろうからやはりそういう人にはこのアルバムが一番向いていると思うよ。 それに03、06、13と素晴らしいバラードが三曲も収録されているのも脅威だと思うし、後半でのノリの良さを前面に出した楽曲も素晴らしいです。ズナフらしさが損なわれている05のような中途半端な曲が無ければ完璧なアルバムだったと思う。とはいってもそれを差し引いても名盤であることには代わりが無いね。しつこいようだけど初心者に一番最初に聴いて欲しいアルバム。 で。 ![]() 現在輸入盤としてこの↑ジャケットのものが出回っているがどういう経緯で発売されたものかが不明のままですげえ知りたいのよね。内容は変わらないけどジャケットが違うからコレクションとして買ったのだが帰ってきて聴いたらなんと! なんとミックスがジャケット違いのモノと明らかに異なるじゃないか! 全く変わらない曲も多くあるのだけど、03、05、06などは明らかに違うバージョン。キーボードの音が相当違う。けど輸入盤なのでどういうモノなのかいまだに不明のまま。情報を知っている人は是非ご一報プリーズ。どうして中途半端に違うんだろう。それはともかく俺はオリジナルバージョンに聴き慣れてるからこっちのバージョンはキーボードの音の違いなんかがとても気になったな。買うならオリジナルの方が良いんじゃないかしら。オリジナルの方も廃盤にはなってないっぽいし(両方売ってる店をよく見るのよ)。 [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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こっから先の作品はメジャーからドロップして自主制作やインディー盤となります。なので、何枚目のアルバムか論じるときにどーしたら良いのかちょっと迷う感じなので、ここからは最初の『1985』を含めた枚数でカウントします。ということでこれは彼らの5枚目のアルバムということになりますね。 本作はチップ・アンド・ドニー名義で発売された『ブラザーズ(洋盤では後にSevenとして発売)』と同時期にリリースされたアルバムでバンドの状況は非常に良くない状態でつくられたらしい。ドニーのドラッグ問題、メジャーレーベルからのドロップアウト、デレクの首など様々なマイナスの要素が重なり解散説がささやかれている時にリリースされました。 オリジナルメンバーのジーノ・マルティーノ(1985でのギターもこの人)がギターを弾いていますが、11の『Style』は『Strength』発表時のラインナップで90年にレコーディングされたモノ。それ以外はこの時点での正真正銘の新曲です。その『Style』を含むその他の曲のいくつかではデレクのギターが残されています。注意深く聴けばどれがそうかわかるよ。 本作は今まで以上に重たい雰囲気が強調されているのだけど、それはドニーのドラッグからの生還やニルバーナのカートコバーンの自殺にインスパイアされて一貫したコンセプトの元に製作されたからだという事です。ニルバーナのカート・コバーンの自殺とドニー自身のドラッグ問題とが重なり合い、それにインスパイアされてつくられたアルバムというだけに、グランジの香りのするアルバムとなっていますね。我らがズナフにも影響を与えるニルバーナはやっぱすごい存在だったんだろうなあ。俺にとっては『普通に好き』って感じのバンドだけど。 それまでのズナフのポップ感よりも暗さを前面に出した作りで、そういう意味ではセカンドアルバムの『Strength』に通じる部分があるともいえますね。けど『Strength』よりもさらに暗く重い雰囲気が全編を支配しています。サウンドプロダクションが殆ど自主制作ということでとても荒い感じなのだけどそれがこの作風にマッチして結果的に良い方向に作用してる気がするよ。だけど正直ズナフの作品としては少しパッとしない印象があるな。その重たい雰囲気が単純に良くないのではなくそれ以前にメロディーがイマイチ冴えてない曲が多いのよ。 だからズナフのアルバムでは一番に薦められるようなモノでは無いけど、07、08、09、10などの後半の曲はかなりポップでそれまでのズナフらしさは充分に残されているので駄作として片付けてしまうのは少し勿体無いね。でも大ファンの僕でもアルバム全体を通して聴くのはちょっとキツくて、前述したような彼ららしいポップな曲をかいつまんで聴いている感じです俺は。前述したように暗いからいけないんじゃないよ。だってとても暗い曲の03の『Mr.Jones』は何気に相当好きだったりするしさ。 楽曲にムラが多いから買うのはずっと後でいいと思うけど、荒いサウンドが好きな人の中には逆に、『本作だけ好き』って人もいるかもな。ニルバーナから音楽を聴くようになった人なんかはもしかしたらここが意外とズナフへの入り口となるかもしれませんね。 [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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本作は何枚目と言えば良いのか困るアルバム。バンドの状況が最も不安定だった時期に発表された作品で、日本ではズナフのアルバムとしてではなく、チップとドニーのサイドプロジェクトとして発表され(左のジャケット画像)、後にイギリスなどではボーナストラック2曲を加え、ズナフ名義のアルバムとして再びリリースしなおされたという少しややこしい作品なのよ(右のジャケット画像)。海外では『Peach
Fuzz』の後に発売された関係で『Seven』というアルバム名が示すとおり7枚目にあたる作品として位置づけられているみたいね。だけど、日本ではChip&Dnnieの『Brothers』として彼ら関連の作品としては6枚目にリリースされてるのね。だからズナフとしては7枚目、日本人には6枚目と言っちゃっていいのかな。 で、何故、わざわざ別名義での発表となったかというと、このアルバムには特にソフトな曲が多く収められている為に、ズナフとしてではなく別名義で発表したかったらしいです。これと同時期にズナフ名義でのアルバム『Tweaked』がリリースされている辺りからもそれが伺えます。けど結局曲をつくってるのが同じ人なんで、曲のセンスはまるっきりズナフと同一のものなんだよね。因みに国内盤は現在廃盤となっているので、輸入盤のUS、UK盤の『Seven』を探そう。『Brothers』も中古をすげえ見かけるので日本盤でもすぐ手に入ると思うけど。 この作品は非常にソフトな曲が多くてズナフのメロディーをじっくり楽しむには最適な一枚となっています。本当に良い曲ばかりで国内盤が廃盤なのが残念でならないよ。ドニーが弱くしっとりと歌うと、本当にジョンレノンの歌唱法にそっくりである事を再確認できる作品。ジョンレノンのソロ作品、例えばイマジンやスターティングオーヴァー、ウーマンなどのような曲を好む人にはたまらないアルバムでしょう。13の『Jealous Guy』はジョンレノンのカヴァーなのだがまさに完コピ。ドニーの歌は本当にジョンにそっくりですよ。 洋盤にボーナストラックとして加えられた14,15は猛烈に中途半端な曲でハッキリ言って駄曲。アルバム全体のカラーからもかなり浮いてしまっていてアルバムの統制を崩しているとしか思えないな。こんなのだったら入れない方が良いような気がするんだけど、この曲目当てに『Seven』を買ったのはファン心理ってやつ [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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この作品はオリジナルアルバムではなく、過去の未発表曲を集めた企画盤なんだけど後々は正式なアルバムとしてカウントされてるっぽい。ズナフの作品ってこのような企画盤や後にリリースされたライブ盤を全てをひっくるめてカウントしてるみたい。2000年リリースの『10』がそうしないと10枚目にならないんだよね。 丁度これが発表された頃というのはズナフが経済的にきびしい時期だったようで、オリジナルアルバムを作りたくても予算がないという状況だったようです。それ故に言葉は悪いが間繋ぎ的にリリースされた感が強いのよ。アルバム出したいけど新しく録音する予算がねえ!ということで泣きながら出したんだろうな。けど、それでもファンとしてはコンスタントに彼らの作品が提供される事実に素直に感謝したいし、企画盤ながらなかなかの名曲揃いでアルバムからもれた曲ばかりで構成されているとは思えないのです。これはこれで全然オッケーだよ。実際かなり聴いたし今でも好きです。 極端な話、充分オリジナルアルバムとして通用する出来だと思うよ。レコーディングされたのはバラバラな時期ではあるけど結果的にビートルズの影響が前面に出た作風にまとまっているのも好きな理由のひとつ。それ故にハードロックアルバムという印象よりも遥かにポップロックアルバムという印象の方が強いので、ある意味万人にオススメできるアルバムなんじゃないかしら。 03の『Happy Holoday』はクリスマス用のV.A.に提供される予定でレコーディングされた曲だそうだが、ハードすぎるという理由でそのV.A.には収録されなかったらしいです。つうかこの曲の何処がハードなんだろう? まあ確かにクリスマスソングとしてはクリスマスっぽさが薄いっちゃー薄いけどね。でも良い曲だよ。本作に収められている曲を聴くと彼らの未発表の曲をもっともっと聴きたくなっちゃうね。絶対日の目を見てない名曲がまだいっぱいあるに違いない。俺の中では正式なオリジナルアルバムと同等の価値のある作品だな。 [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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ものすごく中途半端な時期に突然リリースされたライブアルバムで、過去の古いライブ音源が大半を占める作品。大半っつうか全部だな。次のアルバムまでの間繋ぎ的にリリースされたモノ。だから彼らがまだ自由に活動できた時期のライブが多いです。ファーストアルバムからの曲が一番多くなってます。あとアルバム未収録曲が3曲収録されていて(06、07、08)、日本盤と洋盤では収録曲が微妙に異なるようです。輸入盤はまだ購入してないので購入したらそのことを追記しようかと思ってます。確か一曲だけ曲が入れ替わってるんだったと思ったな。 具体的な内容でが、古いライブ音源が中心で尚且つ様々なライブの寄せ集めである為に統一感に欠け、ライブを疑似体験とはいきません。しかしながら普段はライブでしか聴く事の出来ないビートルズのカヴァー曲『レヴォリューション』が収録されていたりするし、初期の頃の若々しい彼らのライブの音が聴けるのはやはりファンとしては嬉しいね。ファンにとってはオリジナルアルバムには収録される事の無かった当時の新曲が2曲も収められているのがこのアルバムの最大の魅力でしょう。 演奏自体の出来はどうかというと、ズナフのドラマーは歴代で走り屋さんが多いんだなというのが確認できるます。レヴォリューションやベイビーラブズユーでの走りかたはかなり目立つけど、その辺はファンとしての愛で全然カヴァー出来ちゃうので良しとします。ドニーのライブでの歌の巧さはホンモノだというのも確認できるので俺ととしては満足。でもまあ、オリジナルアルバムを集めた後に買えば良いって感じ。ファンアイテムの域は脱してないしね。 [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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94年発表の『Tweaked』以降久々に純粋な新作として発表されたアルバム。トータルで9枚目になります。純粋なオリジナルアルバムとしてだったら7枚目かな。ズナフのアルバムの数ってどう数えていいのかこの辺から本格的にわからんようになったきたね。まあ9枚目でいいや。 このアルバムの前には『Peach Fuzz』と『Live』がリリースされているけど、それらは純粋な新作ではありませんでした。『Peach Fuzz』は過去にレコーディングされた曲を集めた未発表曲集だったし、『Live』も過去のライブを寄せ集めた作品だったので本当に久々の新作です。なぜ彼らが長らくレコーディングから遠ざかっていたかというと、単純に予算が無かったかららしいです。ファンとしては非常に悲しい事実だよな。94年以降はレコード会社のサポートは一切受けれ無い状況で自腹でアルバムをつくっていたとの事。 このアルバムからギタリストがモナコなる人物に変わっています。彼はLAのGIT出身で、このアルバム発表当時はズナフとは別のバンドもやっていたのだけど現在そちらの活動がどうなっているかは不明。このアルバムにはチープトリックのリック・ニールセン、STYXのジェイムス・ヤングがゲスト参加していて、ニールセンは01、08、10に参加しています。US盤とUK盤は日本よりも約一年遅れてリリースされ、その際に2曲のボーナストラックが追加されました(ジェケット画像左がUS・UK盤)。 本作は全編ズナフ節の全開で安心して聴ける作品に仕上がっているのだけど、その反面同じような曲が続く印象が強く飛び抜けた名曲というものがあまり無いのが残念なところ。その中で06の『Baby You're The Greatest』はちょっとした名曲だね。アルバムリリースよりも先にラジオでこの曲が流されたのだけど、この曲を選んだ理由はよくわかるよ。飛びぬけて出来が良いのよね。メロディーのサビへの持って行き方などはさすがの一言に尽きます。メロディーがひとひねりどころかふたひねり以上されてる感じ。 でもやっぱり全体としては安心して聴ける替わりに引っかかるモノがあまり無いためにサラリと流れていってしまう感があるのは否めないです。新ギタリストのモナコの個性もあまり聴き取る事が出来ないのも残念。09の『Invisible』は今までのズナフでは考えられないようなタイプの曲でカッティングなんかをフューチャーしていてとても違和感があるんだよな。正直悪い意味で浮いていると思うよ。メロディー自体もイマイチだし。 俺は本作を聴くときにはその09は必ず飛ばして聴いてしまいます。最初の段階のデモでは09のようなズナフらしくないタイプの曲が大半をしてめいたという情報を日本の公式サイトの管理者さんから聞いたのだけど、それがそのままこのアルバムにならなくて本当に良かったと思うよ。09はそんな曲の1つらしい。 それと洋盤のみ収録の『Save Me』は無かった事にしてください。ニルバーナ丸出しでこんなのをアルバムに収録したらニルバーナのフォロワーだって絶対誤解されるってば。あまりにも似すぎていてズナフの良さが完全に損なわれています。これはボーナストラックとしててでも入れて欲しくなかった駄曲。マジこれは勘弁して欲しいよ。何で今更こんな曲を加えたんだろうなあ。 初心者オススメ度は好みにもよるだろうけど(それを言っちゃみもふたもないか)、俺としてはあまりオススメ出来ないのでちょっと控えめにしてあります。悪くは無いんだけど決定打にかける作品なのでズナフに興味を持っている人にこれを最初に聴かせる気にはならないというのが正直なところっつうかね。一言で言うと駄作じゃないけど佳作でもないという感じ。 [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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ライブ盤やインディーズ時代のアルバムも含めて丁度10枚目ということでストレートに『10』と名づけられたアルバムです。国内盤に解説がついていないので詳しい事はあまりわからないのだけど、この出来の良さを見る限りバンドの状況が非常に良くなってきている中でつくられたアルバムなんだろうね。っていうかそう思いたい。当初は日本だけでのリリースだったようだけど今現在はアメリカでもリリースされているようです。なお03のビデオも製作されているみたい。けどMTVなんかではきっと一回も流されてないんだろうな・・・。トホホ。 本作は一般的な評価はコテコテのメタルファンには『初期の頃と比べてつまらなくなった』なんていう評価を受けているようだけど、幅広く音楽を聴く人にはかなりの高評価のようですね。俺は後者です。これ良いよ。相変わらず予算の関係で音はショボイけど楽曲が前作よりも圧倒的に素晴らしいの。これだよこれ。ズナフの素晴らしさを見事に形にした楽曲群が満載の『待ってました!!』のアルバム。 本作はこれまでとは少し違ったテイストの01『Wake Up』で幕をあけます。01は非常にマイナー調が際立っている曲でレッド・ツェッペリンの香りもするズナフとしてはちょっとした新境地。だけど『らしさ』もしっかりと感じる名曲だと思う。やっぱメロディーが良いんだなー。03、05、07、08あたりの曲は極々初期の曲が収められている『1985』の頃のセンスに近くとても聴きやすいし良い曲なんだけどメジャーデビューした直後からのハードロック然とした彼らの音だけを気に入っている人には少々軽くてポップ過ぎる印象を与えるかもしれないね。 彼らのビートルズライクな部分が一番気に入っている俺としては申し分ない楽曲の応酬で嬉しい限りだし、特に03の軽快なポップ感は鳥肌モノ。ズナフの楽曲の中でもトップ3に入る勢いっすよ(でもライブでは全然栄えなくてショボショボだった・・・)。そして後半部分ではグルーヴィーでポップさよりもロックらしさを強調した曲が印象的。12の『The Jean Genie』はグラム期のデビッド・ボウイのカヴァーでヴォーカルはベースのチップ。チップはしゃがれ声でなかなか魅力的なヴォーカルを披露しています。チップはドニーと結構似た感じの歌い方をするので全然違和感無くアルバム全体に馴染んでいるのが面白いね。 これは今までの歩みを全て封じ込めたような粒揃いの楽曲で構成された文句なしの名盤です。それ故に初心者の入り口として悪くは無いと思うけどひとつネックなのがやっぱり録音状態なんだよな。決して劣悪な録音状態ではないけど音の軽さや薄さが気になる人にとってはかなりネックとなる部分である思う。やっぱ予算がキツイんだろうな。けど曲が良いのは保障しますよ。なので、音のショボさを差し引いても初心者オススメ度は高くて良いだろうということで星四つにしておいたっす。いやあ。これは一家に一枚だね!(因みに俺は二枚持ってます。) [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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ズナフ11枚目のアルバム。本作は近年の作品と比べて非常に録音状態は良い方です。アルバム全体で音質に統一感があり音圧も上々。最近のズナフ作品の中ではかなり良い環境で作られたのは想像に難くないね。作風としては非常にハードロック色が強くなりとても勢いのあるモノとなっています。 01『Z Overture』ではビートルズにおけるジョージのインド風ソングからの影響と思われるインドっぽいアレンジが聴けます。その01は歌が少しだけ入っているとは言え明らかにインストを重視した楽曲でこれまで地味に思っていたモナコがハードロッキンで印象的な良いギターを弾いて魅せてくれます。珍しくモナコが主役の曲なのよ。アルバムのオープニングと曲として聴き手を良い意味で煽るこの曲の出来は素晴らしいと思う。 しかし・・・。 続く02『Saturday』は少々ラフなリフではじまり、サードアルバム以降のウィーザーを彷彿とさせる楽曲で彼らとしてはちょっと新しいテイストの楽曲といえるでしょう。ズナフはアメリカのバンドだけどこの曲ではビートルズなどに影響されたUK的な感性が垣間見える。ウィーザーもUKっぽいアメリカのバンドという部分では共通するものがあるんだろーね。この曲は非常に元気な曲なんだけどイマイチ盛り上がりに欠けるのよ。サビにかけてのメロディーが彼らにしては工夫が少なく妙に平坦な印象なの。ひねりが足りないのね。 その平坦な印象というのがこの楽曲に限ったものであるかというとそうではないの。そこが本作の大きな欠点となってしまいました。前述の通り全体の作風は非常にハードロック然としていて終始元気なのにメロの組み立てが安易なので耳に引っかかる部分があまり無いのです。本作の楽曲はとにかくメロディーが弱いです。 ハードロック的なアレンジと楽曲でありながら、それが力強さとしてではなく空回りとして聴き手に伝わってくるのがいただけないっつうかね。今回はハードロックバンドとしての勢いを魅せてやろうという心意気は良く伝わってくるんだけどそれがどうも空回りになってしまっているんだよな。近年のズナフの魅力は程よく力の抜けたリラックス感とビートルズの影響を隠さない素直なポップセンスでした。しかし本作ではそれが大きく減退しハードロックとしての楽曲を追及する余りに近年の彼らの魅力が損なわれてしまったように思えてならないのです。 もちろんハードロック的な作風が単純にいけないと言っているのではないよ。彼らの持ち味はやはりメロなのよ。アレンジがどうあれメロディーの魅力が最優先されるべきなの。だけどハードロック的な楽曲を力んで作ろうとした余りにそのメロディーが等閑にされてしまった印象なんですよね。何かこう力みすぎた印象というのか。 かといって全くの駄作か、といわれたらそうでもない。一言で言えば『微妙』な内容。悪いというと言い過ぎでかといって素晴らしいとも言えないという。いや、ちょっと厳し目に言えば駄作の方に偏ってる位置にいると言ったほうがいいかも。楽曲がストレートであるのは悪いことではないけどメロディーが平坦で単純になってしまうのはよろしくない。ストレートであるということとメロがつまらないということは同じことじゃないからね。本作に収録されている曲は多くがもうひとひねり欲しいというメロディーなんだよなあ。 その中でも06『I've Fallen In Love Again』はなかなかの出来。彼ららしい一筋縄でいかない凝ったメロディーが楽しめますね。だけどその他の曲はやはりもう一工夫欲しい。前作『10』がメロディー重視の素晴らしい出来だっただけに今回の『微妙』な内容は本当に残念です。それ故にファンとして初心者にはオススメしたくない作品。既にファンである俺のような人間には聴き込む価値はあるモノであると思うけど(いや、それでも厳しい内容なのは変わりないですけど)、やはり彼らの音に最初に触れる人にお薦めるのに相応しい作品というには程遠い作品です。うーん。コレ厳しいなあ・・・・。 [XXXX/XX/XX]
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■JUST ENOUGH ! [2003] | ||
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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発売日がハッキリしなかったりして、発売前は本当にリリースされるのか不安だったドニーの初ソロアルバムがついに発売されました。しかし、本作のリリースに重なるようにドニーはズナフからの脱退を表明。しかも、脱退したドニーはメジャーデビュー当時のメンバーであるヴィッキーとデレクと合流し、ズナフの名前で活動するということも発表されました。つまりチップ、モナコ、リッキーがいるズナフとドニーが脱退して結成したズナフの二つが同時に存在するという異常事態になっているとか。これを書いている時点ではオフィシャルからのハッキリとした回答が無いので何とも言えませんが、とにかくズナフの存続が非常に危ぶまれている状況なのは確かのようです。 2002年にリリースされた本家ズナフの『Welcome To Blue Island』の出来がイマイチだったことと、前述のような活動状況の不安定さが合わさって本作の出来には不安ばかりが募りましたが、実際に蓋を開けてみれば驚くべき完成度で、本当に素晴らしい内容に仕上がっています。『Welcome To Blue Island』のクオリティーとは雲泥の差ですよこれは。本作に収められている楽曲は『SEVEN』や『PEACH FUZZ』に納められていたような和やかな雰囲気のモノが殆どなので本作はハードロックアルバムではありません。ハードロックであることに拘るファンが本作をどう捉えるかはわかりませんが、俺は多くのロックファンが楽しめるような間口の広い内容だと思います。 とにかく圧倒的に楽曲のクオリティーが高い。ドニーは作曲の面でも歌唱法の面でもジョン・レノンに大きな影響を受けていますが本作ではそれが良い意味で表面に出ています。ジョン・レノンのソングライターとして優れていた部分をそのまま受け継いだドニーの優れた才能が爆発しています。だから全体的にビートルズ的なカラーが非常に強調された作風。俺は元々ズナフのビートルズテイストな部分が非常に気に入っている人間なのでこの方向性は大歓迎です。 #01『Spider Web』は明るくて和やかで直線的な曲で非常にシンプルな構成ではありますが、そこにはドニーらしいひと工夫もふた工夫もしてある印象的なメロディーが乗っています。直線的なのにそのままサラっと流れていってしまうようなことは決してなく、一度聴いただけで鮮明にメロディーが頭に焼き付きます。#02『Better Days』は#01よりも輪をかけて和やかな曲。ドニーの書く楽曲にしては割と平凡な印象の曲ですが、それでも凄く良い曲です。ドニーがジョン・レノンから引き継いだちょっとひねたメロディーは抑え目で『普通に良い曲』といった趣。 そして#03『Forever』は思わず仰け反ってしまうほどの名曲です。ドニーが得意とするヒネったメロディーが炸裂した感動的なバラードです。これを待ってた。どうやったらこんなメロディーを思いつくのかと思ってしまうような一筋縄ではいかないメロディーが素晴らしい。彼の書くメロディーは別に複雑というわけではなく(むしろシンプルです)、『一筋縄ではいかない』という表現がピッタリ来る感じなんですよね。巧みに裏声を交えて歌うドニーの歌唱力も素晴らしいです。彼はとにかく裏声の使い方が巧くて、この曲ではそれが心ゆくまで堪能できます。やー。出た。出たよー。奇跡の名曲が。これだからズナフやドニーのファンはやめられません。 #04『Jesus In Drag』はエルビス・コステロ的な雰囲気を持った曲。ドニーの歌唱法は明らかにジョン・レノンを手本としていますが、コステロもジョン・レノンを極端にしたような歌い方をする人なのでかなり共通するものがありますね。この曲では途中からのメロディーの持って行き方もコステロっぽい。#01〜#03までの和やかな雰囲気とは少し違って、力強い感じの曲。続く#05『Wintergreen Eyes』は『Peach Fuzz』に収録されていた和やか系の曲に通じるものがある雰囲気ですね。サビの部分でちょっと早口になる展開はいかにもドニーらしい。 #06『I'll Go On』は本作の中で最もジョン・レノンしてる曲です。歌い方からメロディー、アレンジに至るまでジョンのセンスをそのまま受け継いだかのような曲。ちょっと人を食ったようなアレンジもジョン直伝だと言えるでしょう。派手に盛り上がるような曲ではないですが、ジンワリと心に染みる良いメロディーを持った曲だと思います。#07『Alice In a Jam』はメロディーが面白い曲。ロックソングはサビに印象的なメロディーを持ってくるのが定石ですが、ドニーの作る曲はサビよりもむしろそこに至るまでのメロディーと曲の組み立て方の方が印象的だったりすることも少なくありません。この曲も正にそのタイプでサビよりも冒頭のメロディーの方がインパクトがある感じ。 #08『Don't Bring Me Down』は他の曲に比べると少しだけフックに欠ける曲ですが、それでも和やかなメロディーと後半からの展開は好きです。#09『That's What Love Is』はアコースティックの弾き語り。切なげなメロディーが心に染みます。アレンジはアコースティックギターが主体なのでとてもシンプル。だけれど、ドニーの歌はとても情熱的で力強さを持っています。彼の歌唱力の高さ、声の素晴らしさを心ゆくまで堪能しましょう。#10『Night of Day』はちょっとムーディーな雰囲気の曲。割と明るい感じの曲が多い本作においてちょっとしたアクセントになっていて良い感じです。 #11『Blowin' Kisses in the Wind』はジョン・レノンよりもポール・マッカートニー的なポップさを持った曲。単純にポップと言うより『ひょうきん』な感じといった方がしっくり来るような凄く楽しい曲。かなりインパクトが強いアレンジになっています。ビートルズを聴かない人はこういうアレンジが突然出てくると結構ビックリしそう。そしてラスト#12『Wasting Time』は優しいバラード曲。#03『Forever』ほど感動的な曲ではありませんが良い曲です。本来ならこの曲も名曲の部類に入り得るレベルの出来だと思いますが、本作は全体にレベルが高いのでこの曲ですら普通に良い曲ということになってしまうあたりがドニーの凄いところなのかも。 そんなわけで楽曲の素晴らしさは文句の付けようが無いレベルです。ただ残念なのは音質が安いMTRで録音したような薄っぺらいシャリシャリしたようなモノであることです。音が悪いというのではなく単純に安っぽいんですよね。これはドニーやレコーディングに参加したミュージシャン、プロデュースに関わった人物の力量とはあまり関係ないと思います。単に予算の関係でしょう。だから俺としては、作品の評価がこの音質を理由として下がってしまうようなことはありませんでした。何回か聴けばそんなに気にならなくなるし。でも、これだけのレベルの高い楽曲を書くドニーにはもっと良い環境でレコーディングさせてあげたいなあとちょっと切なくなる部分はありますね。 個人的評価の『★』が大変なことになっていますが、このアホみたいな長文レビューとその星の数から、俺がどれほど本作に感動しているか察してください。これはマジでブラボーなアルバムだぜ! 【参考】 記事上部のジャケットは左がUK盤、右がUS盤です。ここでのレビューはUK盤を使用しています。US盤には『Maddaline』と『Yesterday(ビートルズのカバー)』の二曲がボーナストラックとして追加されています。そしてUS盤ネット販売で購入する際に7ドルを余計に払うと9曲入りのボーナスCDが付いてきます。ボーナスCDの収録曲は以下。実際に購入された方の情報によるとデモ音源が中心なので音質はかなり悪いそうです(俺は未聴です)。
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このサイトの閲覧者の方が御厚意でわざわざ送ってくださったブート。ブートなので詳しい情報は皆無なのだが、とりあえず『Animals
With Human Intellgence』の頃のアウトテイクや『Peach Fuzz』に収められていた曲のバージョン違いなどがメインとなっているCDのようだ。 ブートということで音質は良くないが、まったく聴けたもんじゃないという程ではなくてボロいカセットテープに録音した曲を聴いているような感じ。所々にノイズが入っていて、16曲目にいたっては派手に音が途切れる箇所がある。しかしブートということでそういった問題点はあって当たり前なわけで、それを前提としつつ『ファンアイテム』の一つとして僕としては非常に楽しめるCDだと思っている。完全な未発表曲がかなり入っている事が非常に嬉しい。しかもどれもズナフらしい曲ばかり。 01『Love Train』は『Animals』にも収められていた曲。いきなりフェイドインで無理矢理始まる。これはライブなのだろうか。ギターソロの部分でドニーが叫んだりするしその他にも色んな声が聞こえる。終わりはフェイドアウトなので歓声などがハッキリ確認出来ないのでなんとも言えないが、もしライブだとしたらドニーの歌の巧さは確かである事が証明されている。 02『Misery』は未発表曲。アレンジは特に工夫が無く面白みにかけるけどメロディーは素晴らしい出来。ソロを聴く限りは間違い無くギターはデレクだ。03『Inoccense』は再び『Animals』に収録されていた曲で『Animals』とのバージョン違いなのだが『Animals』収録バージョンと大差無い。04『Who's Got You Know』は『Peach Fuzz』に収録されていた曲。『Peach Fuzz』バージョンとイントロの印象がかなり違うし、ギターの音も結構違う。短いながらもデレクらしいソロが聴ける。歌は少し荒めだがやっぱりドニーは良い声してる。 05『These Days』はAnimalsに収録されていた曲のバージョン違い。イヌの声まで入っているけど、これはデモっぽい。イヌの鳴き声も正規盤とはちょっと違うし。ドニーの歌がやたら荒っぽい。ちょっと息切れしちゃってるところとか無理矢理声を搾り出してる感じだ。06『Amazing Grace』は未発表曲。なかなか良い曲だが微妙にアルバムから外されたのがなんとなくわかる『あと一歩』的な曲である。個人的には全然アリなのだが、パンチにかけるという気はする。 07『Vacant Love』、08『Enuff For Me』は共に『Peach Fuzz』で聴ける曲。07は多分バージョン違いだろう。08に関しては『Peach Fuzz』に収録されているのと同じテイクかもしれない。09『Calling Out』は未発表曲。いかにもズナフらしいバラード曲。後期のジョンレノンからの影響が前面に出たとても切なく美しい曲。これは大好き。デレクらしいソロも炸裂。 10『To Much Is Enuff』も未発表曲。なんか途中から始まってるっぽい気がするのだけどどうなんだろう。もともと2分ほどの短い曲なのか途中からなのかは不明。それでもシンプルで良い曲なので僕は好きである。11『Alright』は『Tweked』に収められていた『We're All Alright』と同じ曲だけどバージョンが違う。ドラムから始まる点が大きな違い。 12『Bring It On home』は『Animals』の曲。『Animals』収録バージョンと比べると音が凄まじくちゃちだ。これは恐らくデモなのだろう。でもドニーはやっぱり巧い。そして13曲目以降は『Love Train Outtakes』とあるが・・・なんだろう? 『Love Train』なんてアルバムはないのに。どうして13曲目以降に限ってそう書いてあるかは謎。13『Rainy Day』は『Peach Fuzz』の曲。で、『Peach Fuzz』収録バージョンよりもギターがちょっとやかましい感じで、コーラスの声も結構派手に入っている。音のバランスがいまひとつよくない気がするけど曲は元々大好きな曲なのであまり気にならなかった。 14,15,16は全て未発表曲。 14『Ball & Chain』はデレクっぽいギターが印象的なイントロで始まるがメロは妙にダサイ。これでもやっぱり未発表曲が聴けるのは嬉しいので僕的にはこの曲もアリなのだが。15『Peace, Love & Money』はなかなか面白味のあるメロが良い。しっかりプロデュースされてもうちょっと練ればもっと良い曲になる気がする。16『I'm Number One』はデレクが非常に活躍しているロックンロール・ソング。非常にノリが良い。ストレートでなかなかカッコイイ曲なのだが、この曲で残念ながらかなり酷い音の途切れが炸裂。これは本当に残念だ。17『Tears In Her Eyes』は『Animals』収録の『Takin' A Ride』のバージョン違い。何故か曲名が違う。非常に荒くてデモという趣である。この曲は元々あんまり好きじゃなかったりするのでバージョン違いを聴いてもあまり嬉しく無かったりもする。 以上のように具体的に解説してみたがこのCDを聴いて思ったのは、『やはりズナフは良い曲を沢山書いているバンドである』ということだ。未発表曲にも充分な魅力があり、これだけ楽しめるとファンとしてとても嬉しくなる。このCDはアルバムを全部揃えて来日公演にも行ったようなファンなら買っても損は無いだろう。新宿で見つけたら思い切って買ってみたらどうだろう。きっと高いけど。 最後に。 このCDをわざわざ無償で送ってくださったMAYAさんに心から感謝いたします。 [XXXX/XX/XX]
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初期の化粧姿が観られる貴重な映像作品。彼らは02のビデオクリップの化粧姿によって、それまでの音楽的な評価が覆られてしまたというあまり嬉しくない過去を持つ。エアロスミスのジョーペリーなどが、はじめは彼らの楽曲を非常に評価していたのにも関わらず派手な化粧姿のビデオクリップを観たとたんに『彼らには失望した』などという事を言い始め中身の無いパーティーロックバンドという誤解を受け、それ以降の過小評価のキッカケとなってしまったというなんともファンとしては複雑な心境になる作品なのね。 実際にこの作品を観て思ったんだけどさ。確かにドニーの口紅は気持ち悪いし決して格好いいものでは無いけどそこまで言われる程のモノなのだろうか?というのが正直な感想だね。所詮ビデオクリップなんだし、そこまで言わなくても・・・・と猛烈に思うよ。当時はMTVが音楽シーンに与える影響が急速に高まっていた頃だから余計そうなってしまったのかもしれないけれど、このビデオクリップによって彼らの素晴らしい楽曲の数々が無視されてしまうなんていうのは絶対おかしい話だよ。まあ、そんなエピソードがある映像が納められている作品ではあるけど今となっては初期の彼らの姿を観れる貴重な作品なので興味があればどうぞ。 [XXXX/XX/XX]
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おそらく毎年作りなおされているオフィシャルブート。イギリスの公式ファンクラブにて販売されている完全にファン専用アイテム。ライブ開場などでも販売されているようだ。俺は再来日の時にライブ会場で購入しました。収録時間が非常に長くて、値段も安かったのでファンは絶対買いだけど作品と呼べるほどのモノでは無いね。ファンへのプレゼント的アイテムといったところ。初期の頃から極最近の映像まで網羅されているのでファンならば是非なんとか入手したいモノかもね。オフィシャルブートの名の通り画質は良く無いけどこれはこれでファンとして大事にしたい。ファンにとっては永久保存版ですぞ。だからDVD化してほしいけど・・・・されるわけもなく。 [XXXX/XX/XX]
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日本だけで売れた女性ポップロックバンドのデビュー作。どうしてズナフのところで彼女たちを紹介しているかというと、曲名を見れば分かると思うけどズナフの曲をカヴァーしてるからです。しかもズナフ屈指の名曲『Right
By Your Side』。どういう経緯で彼女たちがズナフの曲を取上げるに至ったかは全然知らないけど何かしら交流があったんだろーね。 話的にはこれで終わってしまうんだけどせっかくだしこの作品の内容をちゃんとレビューしておこうと思います。これは個人的にはとても好きな作品だしね。だけど一発屋系に入るであろう彼女たちの位置付けを象徴するかのようにスキャットマンジョンと同じくらいこの作品はどこの中古CDショップに行っても置いてあるのがなんとも切ない。しかも500円くらいで売ってます。 01『Right By Your Side』は先ほども述べたようにズナフのカヴァー。元の曲が良いんだからこれも良いに決まってるんだけどズナフバージョンのズンズンとした感じのハードロック然としたリフはここには無くて、アコースティックなテイストの軽いアレンジとなっています。女性が歌っている時点で結構雰囲気が違うわけだけど、このアレンジはこの曲にまた違った魅力を与えていると思う。だけどこの曲はアルバムの1曲目に持ってくるような曲じゃないよな。何故コレを1曲目に持ってきたのか謎。そのおかげでこの作品は、なんとなく途中から始まるような感じがしてしまうんだよね。 他の曲は全部同じようなテイストでまさにポップロック。ヴォーカルスタイルとしてはこういうポップロック系の女性アーティストに多いタイプです。バングルスなどと同系統と言っていいでしょう。最近の人ではミシェル・ブランチなんかも同じタイプのヴォーカルスタイルかな。曲はミシェル程硬派じゃないけど、ミシェルの軽い感じの曲とは通じる部分があるね。全体としては凄みは無いけど安心して気楽に聴けるポップロックアルバムに仕上がっています。どこの中古CDショップでも超安値で売っているので何かのついでに買ってみるのも良いんじゃないかしら。仮に気に食わなくても500円くらい別に良いじゃん。 [XXXX/XX/XX]
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彼女たちはこの作品でもズナフの『Seven』に収録されていた『Wheels』をカヴァーしているのでここで取上げておこうと思います。これは通算で2作目なんだけどアメリカではデビュー作となります。それを機にバンド名をThe
Tuesdaysに変更しています。メンバーもドラマーとヴォーカリストが変わってます。01,02,03,10,11は前作に収められていた曲の再レコーディング曲。厳密にはセカンドアルバムではあるものの新ヴォーカリストを迎えての再デビュー盤と言える作品となっています。 新ヴォーカリストの力量だけど、ハッキリ言って前任者となんら変わりが無いです。言われなかったらヴォーカリストが変わった事実に気が付かないかもしれないよ。じっくり聴くと確かに違うけど、一度聴いた感じですぐ違いがわかるほどの違いは無いといって良いね。前任者と全く同じタイプのヴォーカリストです。しかも再レコーディングされた曲の印象もさほど変わりません。ちょっと演奏が元気になったかも、という程度。再レコーディングした意味って何処にあるのかしら。歌だけ差し替えれば良かったのではとさえ思える。 方向性は前作と全く同じ。曲の出来も同じ。俺は大好きな曲ばかりだけど、やっぱり凄みなどは一切感じられないね。普通に安心して聴けるポップロック。それ以上でも以下でもないという。ビートルズライクな曲が中心となっているので極初期のズナフが好きで、尚且つビートルズライクという言葉にピンと来つつ、女性ヴォーカル物が好きなら買っても損は無いでしょう。確かに凄みは無いが純粋に曲が良いからね。それと03『I'll Be Here』辺りはシンディー・ローパーを彷彿とさせる。だからシンディーなどの80年代ポップスが好きな人も楽しめるかもしれないね。 肝心のズナフの曲。こちらの作品に収録されている『Wheels』は原曲のアレンジがかなり思い切ったモノだと思うのだけど、こちらはそれを排除して凄く普通な感じの曲に生まれ変わっています。原曲のイントロの豪快なコーラス部分はバッサリ削られているのでインパクトはあまり感じられないし、全体のアレンジもごく普通のアコースティックテイストのアレンジにまとめられちょっとこじんまりし過ぎた印象だね。 因みに、このアルバムは前作と違って売っているのを全然見かけないです。今まで一度たりとも中古、新品両方で自力で見つけた事が無いのよ。なのでこのCDは知り合いから譲ってもらいました。結構長いこと探していたんだけど結局自分では発見出来なかったのよ。で、諦めかけたところでなんとなく友人と話の中にこのアルバムの話題が出て『あ、それ僕持ってますよ?いらないからあげちゃう』と親切に譲ってくれた人がいてやっと入手出来たという訳。 そんな風にかなり入手がし難い作品だけどこのアルバムも前作同様なかなか良いので安値で見つけたらぜひ聴いてみて欲しいと思います。しっかしこの中古の無さからホントに売れなかったんだろうというのが凄くわかっちゃうのがなんとも悲しい。 [XXXX/XX/XX]
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