OWSLEY |
丁度良いテンションの高さ、まさにポールの音楽的遺伝子を受け継いだメロディー、そして力強いギター。全てが『こんなのを探してたんだよ!』という自分の望みどおりの音でした。彼はソロデビュー作を発表した時に『究極のメロディーが思い浮かばなければレコーディングしない』とまでいい切る超メロディー重視型のアーティスト。ソロ第一弾を聴けば彼の言葉もまたそれなりに説得力を持つと思います。彼はそれほど素晴らしいメロディーメイカーなのです。 その代わり本当に全然アルバムを出さないのよね。ファンとしては良いメロディーを聴きたいという希望がある反面、これほど活動状況が不明のままの時間が長いととやはり不安にもなるよ。でも、ポール・マッカートニーのトリビュートに参加して2001年には生きている事を確認したので、はやくセカンドソロアルバムを作って欲しいものです。 1966年アラバマ州アニンストン生まれ。アラバマ州立大学のミリオン・ダラー・マーチング・バンドのディレクターである父と、シンガーでヴォーカル・コーチもしていた母との間に生まれ、ロック系ギタリストの兄、クラシック系ピアニストの姉に囲まれた音楽一家に育っている。音楽に関しては特に7歳年上の兄からの影響が強く、70年代のビートルズ、ローリング・ストーンズ、ポール・マッカートニー&ウイングス、トッド・ラングレン、10cc、スティーリー・ダン、またKISSやチープ・トリック、XTC、カーズ、クラウデッド・ハウス等に夢中になっていたという。 楽器の経歴はというと、母親がピアノとギターを弾くので赤ちゃんの時からピアノの上に乗っているような日々を過ごし10代になってから父親からトランペットを、母親からはピアノとギターを少し習い、やがて兄のバンドに参加してギターを弾きつつ、いつしか曲作りもするのようになっていったとのこと。高校時代からバンドをいくつか経験しつつ、本格的に音楽の道にのめり込んだのはナッシュヴィルのミュージシャンのバンド、Wildernessに参加してから。ここで本格的に曲作りについて学んだそうだ。 そして地元のクラブで演奏しているところをファンキーなポップミュージシャンで一世を風靡したジャドソン・スペンスに声をかけられて彼のツアーにギタリストとして参加。87年のワールドツアーでは渋谷クワトロ等で行われた日本公演で彼と初来日しています。その後、マイケル・W・スミスの全米ツアー参加。大御所プロデューサー、マット・ラングにもギターとヴォーカルの腕を認められて、彼の奥方であるシャナイア・トゥエインのバックに参加。そして80年代の末頃のある日、ジャドソンの弟のジョディ・スペンスの誘いでナッシュヴィルに行き、ベン・フォールズの紹介で、ベンの学生時代に一緒にマジョーシャを組んでいたというミラード・パワーズと知り合って90年にザ・セマンティクスを結成し、ゲフィン・レーベルと契約している。 元ピーター&ゴードンのピーター・アッシャーの手を借りて、アルバム『パワー・ビル』を製作。『グランジが台頭する前の良質なポップ・ミュージック』をコンセプトにした内容は一部で高い評価を受けたがアメリカでは発売されずお蔵入りになってしまった。しかし日本でだけはリリースされた。その後、DCトークのプロデュース、そしてネヴィル・ブラザーズやヴァネッサ・ウィリアムスっへのセッションに参加。またエイミー・グラントの一年半ものワールドツアーにミラードと一緒に参加して2度目の来日を経験。そしてエイミーのツアーで貯めた資金でナッシュヴィルの自宅にスタジオを作り95年末からソロアルバムの制作を開始。2年余りをかけて念願のソロアルバム『Owsley』を完成させた(日本盤は何故かComing Up Rosesというタイトルが帯にだけついている)。 その後のソロ活動に注目が集まっている(主に俺の)。 DETAILS >>
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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オウズリーのソロ名義でのデビュー作。これの前にインディーから一枚アルバムを出しているみたいなのだけどさすがにそれは発見できず今でも未聴。地味に探しているんだけれどホントみつからないのよね。というかタイトルやジャケットがどういうものなのかすら知らないのでほぼ諦め中なんだけど。 本作は非常に非常に丁寧に作られたのがヒシヒシと伝わってきます。かなりキッチリカッチリとしていて内容は超高品質。楽曲の素晴らしさもかなりのものです。彼の最初のデビューとなったセマンティクスにおいてやっていた事と全く同一のベクトルの方向を持った作品でビートルズライクなメロが中心のロックアルバムです。ポールのウイングス〜ソロの時代のテイストはもちろん、その後に登場したポールの音楽的遺伝子を継承したSQUEEZEやCROWDED HOUSEなどのアーティスト達のテイストをさらに一歩押し進めた極上ギターポップアルバムと言えますね。 究極のメロディーが思い浮かぶまでは絶対にコーディングしないと極端な事を言い切る彼のその言葉もあながち嘘ではないのかなと思える程本当に素晴らしいメロディーばかりだよ。メロディーの素晴らしさだけではなくレコーディング自体もかなり丁寧に行われているのがわかります。ハードロック的なサビのコーラスを持つ01『Oh No The Radio』の几帳面さや、セマンティクス時代の曲を再レコーディングした03『Coming Up Roses』のセマンティクス時代からの完成度の急上昇ぶりを見てもそれは明らか。とにかく全編にわたって几帳面にレコーディングされているのね。 イギリスのポップ・ロックに影響を受けながらもイギリス的なラフさよりもアメリカ的な丁寧さが反映された結果なのでしょうか。イギリス的なメロなのは確かなのにやはりイギリスのバンドと比べると遥かに几帳面な印象が強いのです。俺は元々メタル出身の人間なのであまりにもラフな音だとあまりしっくり来ない事が多いんです。でもこのオウズリーの几帳面さは聴いていて非常に心地良いんだよね。 あまり几帳面に作りこみ過ぎるともちろん生っぽさが減退するわけだけどその辺もしっかり考慮に入れられているのか、生っぽさも充分感じられる程度になっているのが良いのよ。そのバランス感覚を保った上で奏でられるギターの音が最高に気持ち良い。本作はすべてにおいて完成度が高くバランス感覚も素晴らしい名盤です。 [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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オウズリーがソロデビュー前に組んでいたギターポップバンドのデビュー作にして最終作。これが彼の実質上のデビュー作にあたります。このアルバムは実は日本でしかリリースされなかった不運の作品なので当然ながら輸入盤を探しても売っていないし、恐らくは既に廃盤でしょうね。俺は中古屋で偶然発見して購入したのでかなり運がよかったな。 このアルバムから自分の得意とする方向性とそこから先に進むべき方向が既に定まっているのが伺えます。聴いていて非常に気持ちの良い作品。ビートルズ、特にポールのわかり易い部分を受け継いだ非常にわかり易く親しみ易いストレートな楽曲がギッシリ詰まった隠れた名盤です。ビートルズと書いたけど、どちかというとビートルズ時代のポールよりもウイングス〜ソロ時代の影響が強く出ている印象で、ウイングス時代の『Band On The Run』 やソロ名義での作品『Tug Of War』(スティーヴィーワンダーが参加した事で有名なアルバム)あたりのテイストに近いね。アレンジはギターが中心となっているのでそれらよりもずっとロックしているのだけど。 これが日本でしかリリースされなかったのは『日本人でよかった』と思う反面、ワールドワイドでリリースして欲しかったという思いも募るばかり。まあ、それは彼のソロデビューによって後に果たされるわけだからよしとしよう、ととりあえず納得しておくことにします。この作品の録音状態は悪いわけでは決してないけどやはり後のソロ作に比べるとかなりラフな作りであるのは確かだね。だけど非常に元気ハツラツな印象を受けたので個人的にはこれはこれで全然問題ないし大満足です。 03『Coming Up Roses』、07『The Sky Is Falling』の2曲は後のソロ作においてリ・レコーディングがなされアルバムに収録されています。アレンジ面でビックリするほどの大きな違いはないけど後のソロ作がいかに丁寧にレコーディングされた作品であるかがわかります。後のバージョンの方が遥かに几帳面にレコーディングされているのよ。楽曲としてはこの時点で既に完成しているので充分このアルバムのヴァージョンでも楽しめるけどね。本作は中古で見つけたら迷わずゲットな隠れた名盤って感じ。 [XXXX/XX/XX]
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個人的評価 = XXX/100 初心者オススメ度 = XXX/100 |
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オウズリーが01の『Band On The Run』を提供したポールのトリビュート盤。このトリビュートは2種類出ていて、こちらがメジャー系のアーティストを集めたモノで、もう片方がインディー系のアーティストを集めたモノとなっています。そのインディー系を集めた方はジャケの構図は全く同じで色が紫。タイトルは『Coming
Up』。一応参考までに。っていうか俺は間違えてそっちを最初に買って泣いたんだよね。とほほ。 で、肝心のオウズリーの『Band On The Run』ですがかなり完コピを目指して演奏しているのがオリジナルを知っている人ならすぐ分かるでしょう。とにかく細かいところまで忠実に再現しようという方向でこのトリビュートに参加しているようです。しかしながら全く同じというわけでもなく三部構成になっているこの曲の第二パートにあたる部分では彼らしいギターの音が聴けて、そこはオリジナルとはそれなりに印象が異なるね。とは言っても基本は完コピの方向でやっているのは明らか。 02に参加しているSR-71はそれとは対称的に非常に自分達らしさを前面に出していて、本当に彼らの音にしてしまっています。個人的にはそのSR-71のように『らしさ』をもっと前面に出したオウズリーらしい『Band On The Run』が聴きたかったので非常に残念。とはいってもまあ元々がポールの名曲なわけでオウズリーに限らずポールの曲を演奏して見事にハマル連中ばかりが参加しているのでトータル的に楽しめる企画盤となっているね。 オウズリーファンに限らずポールが好きだとか、好きなアーティストが参加しているとかならばまず買っても損はしない良質の企画盤でしょう。 [XXXX/XX/XX]
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