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俺が7年間守り通した秘密

■俺が7年間守り通した秘密 NEO [1] - 2003/04/15 [Tue]
俺には7年間もの間、家族以外に話すことが出来なかった秘密がある。今回は長きに渡って封印し続けていた苦悩と屈辱の記憶を、7年間守り続けたあの秘密のコトを、俺の持っている最大限の勇気を持ってここに記そうと思う。実はこの封印を最初に解いたのはコレを書いている現在から数年前のことなのであるが、ここに改めて記すにあたって初めて封印を解いたときの気持ちを思い出しながらこれを書いている。それ故に初めてその封印を解いたかのような書き方になっているのをお許し願いたい。むしろこの告白文を二回も書いている俺を褒めていただきたい。


では早速本題に入ろう。


俺は長きにわたり『あること』で頭を悩ませていた。俺はその悩みを抱えたまま浪人生になった。浪人時代というのはひとりで孤独に過ごすことが増える時期である。パーっと友達と遊びに行くような気分にはなれない上に、受験勉強の為に机に向かうことが増えるのでストレスも溜まる。10代後半の若さ漲る青年がそのような状況に置かれると妙にムラムラするものなのである。だからヌく。ひたすらヌく。浪人生はお金がないのですっかり見飽きたエロ本を駆使してスペルマ(死語ですか?)と共にその溜まったストレスを外に吐き出すのである。


そんな切ない日々を送っていた俺は、あの悩みを思い出す機会が増えていた。浪人で感じる孤独と受験勉強で溜まったストレスは俺の中にずっと宿っていたあの悩みを増大させていたのだ。人は不安になったりストレスを溜めたりすると、とてもマイナス思考になる。そのような精神状態の時は元々持っている悩みなども無意味に増幅してしまうのである。俺の場合はさらに太刀が悪かった。俺はストレスを解消するための手段として日々自慰行為を行っていた。それは自らのナニを目にする機会が増えるコトを意味するわけだが、俺は自らのナニを見るたびにあの悩みを思い出してしまうのだ。


ストレスを解消するために日々自慰行為をする。するとナニを目にする。ナニを目にするとあの悩みを思い出す。正にそれは悪循環以外の何物でもなかった。ヌけばヌく程悩みを思い出してしまうのだ。ストレスを解消しようとすればするほど悩みが増幅してしまうのだ。その苦しみが貴方にわかるだろうか。俺は自らの手で性欲にケリをつけストレスを解消し平和に暮らしたいだけなのに、それが許されないのだ。ここで貴方は何故ナニを見ると悩みを思い出すのかという疑問を持っただろう。それはこれから語ることを目にすればすぐに納得していただけると俺は確信している。いや、勘の鋭い人ならば既にわかったかもしれない。


そう。そうなのだ。俺の。俺のナニには・・・。





俺のナニには余り過ぎた皮が被っていたのである。




それを世では包茎と言う。包まれた茎とはよく言ったものだ。この言葉が良くない。何かこう何処と無くバカにするような感触のある語感と漢字はもうちょっとなんとかならないものだろうか。とにかくその『包茎』という二文字が俺を長年苦しめてきたあの悩みの原因なのである。しかし俺の場合、運良く包茎の二文字の上に『仮性』という言葉がついていた。風呂に入れば手動で皮を剥き洗うことが出来た。ノーマルの状態では必要以上に皮が余っていたが海綿体が爆発した状態ならば一応亀さんも顔をのぞかせてくれた。しかし、俺のナニは立ってもなお被り気味なほどに皮が余計についていたので海綿体が爆発しても油断は禁物だった。


そして時は浪人時代のある夏の日。


俺は見飽きたエロ本の片隅に載っていた整形外科の広告を見ながら決意した。


この余った皮に永遠の別れを告げることを!


(次回へ続く)

■俺が7年間守り通した秘密 NEO [2] - 2003/04/16 [Wed]
そんな風に俺は包茎という悪夢から抜け出すことを決意したのである。いわゆる包茎手術というヤツだ。しかし、その時俺は浪人生である。包茎手術をするだけのお金など持っていなかった。行動を起こすためにはどうしてもスポンサーが必要だった。しかも当時の俺はまだ未成年である。手術のためには保護者の承諾が必要だった。つまりお金のことを抜きにしてもまずは親に自分が皮被りの出来損ないの息子であるという屈辱的なことを告白しなければならなかったのだ。手術への道は俺一人の思いつきだけでたどり着けるものではなかったのである。現実はなかなか厳しい。


とはいうものの、一度決意を固めてしまった後の行動には迷いが一切無かった。俺は親にこの手術のことを話すとき『包茎手術をしたいから悪いけどちょっとお金を・・・・』などという低姿勢な態度で頼んだわけではなく『包茎手術すっから金くれ。あと承諾のサインもくれ。俺は包茎なんだよ。もうイヤなんだよ。文句ある?』という無意味に勢いのある話し方をしたのを今でもよく憶えている。


その上、『俺が生まれた直後に普通よりも皮が余っているか医者に確認してもらってその時点で皮を切り落としてくれりゃあこんなことにならなかったのによ。まったく気が効かねえよなー。』くらいのことも言った気がする。何様のつもりだ俺。しかも親の許可を貰った直後には自宅の電話から病院に電話をして、あっという間に予約を入れてしまった。心底開き直った人間の行動というのは恐ろしいほど勢いがあるものなのである。


そして指折り数えて日々を過ごし、ついに手術の日がやってきた。俺は家を出る直前に風呂に入り、ナニがイカ臭くないように念入りに洗った。なにしろこれから長年の悩みの種だったこの包まれた茎を人前で晒すのだ。それだけでも充分恥ずかしいというのにイカ臭かったりしたらもう切腹するしかなくなってしまう。だから念入りに洗った。ゴシゴシ洗った。しかし、あまりにも念入りに洗ってしまったために海綿体が刺激され大爆発。俺は風呂で無意味にボッキンキンになってしまった。


無意味に勃起した自分のナニを見詰めていたらふと、俺の頭の中をひとつの不安がよぎった。『手術中に先生に触られたりしたら勃起してしまわないのだろうか?』。俺は妙に不安になった。さらに男というのは全く予期しないタイミングでナニが大きくなることがあるという事実も俺を不安にさせた。学校の授業の終わり際などに伸びをしたりすると自分の意思とは無関係に急に勃起することがあるのはとても有名な話だ。もし手術直前にそのような状況になったらどうすればいい? 無意味に勃起したナニを医者のまえで晒すなど考えただけでも死んでしまいそうだ。そんな風に俺はどんどん不安になっていった。追い詰められた人間というのは、普段では考えもしない不安に襲われるものなのかもしれない。


そして俺は電車に揺られて病院にたどり着いた。ここまで来る間にも俺の神経全てがナニに集中し続けていた。ナニ、ナニ、ナニ、ナニ、ナニ、ナニ、ナニ、ナニ、ナニ・・・・。俺の頭の中は自分のナニのことでいっぱいになっていた。『これからナニに一体ナニをされるんだ?』、という恐怖感からどうしてもナニに神経が集中してしまうのである。しかし今更逃げ出すわけにもいかないので、そんな最悪な精神状態のまま病院に入っていった。


病院に入ると受付にはケバいお姉ちゃんがいた。なんということだ。包茎手術をしにきたのに受付に女性がいるなんて。俺は男性スタッフだけの病院を探せばよかった、と心底後悔した。そのケバいお姉ちゃんの存在がさらに俺の神経をナニに集中させてしまった。きっとこのお姉ちゃんは心の底で俺を笑っているに違いない。『ウワ。また包茎が来たよ。皮被りが来たよ。』と思っているに違いない。俺は逃げ出したくなった。しかし勇気を振り絞ってなんとか受付を終えロビーのソファーに腰を下ろした。丁度その時、手術を終えたと思われる俺と同じくらいの年頃の内気そうな青年がうつむき加減で手術室から出てきた。俺が彼に友情に似た何かを感じたのは言うまでもない。


その彼が病院を出て行ったあと、ふと我に返ると再びナニに神経が集中していった。ここで、家を出る直前風呂に入っていた時に持った不安が再び俺を襲った。そう。無意味に勃起してしまいそうな気がしてきたのである。これはまずい。意識をそらそうとすればするほど自分のナニの存在を強く意識してしまう自分がいる。海綿体が蠢いているような気がしてきた。別に興奮しているわけでもないのに海綿体が何故か蠢いている・・・・。俺は焦った。何とかナニに集中した全身の神経を他にそらさねばならない。このままでは本当に勃起してしまう!


『あー。あのCDもう発売してるんだっけー。帰りにちょっと見ていこう。』


『昨日のあの番組面白かったなー。あはははははははは。』


精一杯ほかの事を考えようとする俺の神経は自分の意思に逆らうようにますますナニへと集中していった。もうだめだ。絶対勃起する。勃起するに決まってる。ビンビンだぜコノヤロウ。勃起勃起勃起勃起・・・・・。俺の精神は殆ど崩壊寸前だった。病院のロビーで順番を待っていた俺は、表面上は平静を装いながらも精神世界においてはそんな壮絶な戦いをしていたのである。しかし敗北は目の前に迫っていた。俺の気持ちは『勃起してしまったらどうしよう』という漠然とした不安から『もう絶対勃起する。』という意味のわからない確信に変わりそうになっていたのである。


その時。


『アイバさんどうぞー。』


来た! 俺の番だ! そう思った瞬間、蠢いていた海綿体が拡散し、不思議と今までの『無意味に勃起したらどうしよう』という不安は消えてなくなった。恐らく気持ちがずっと内へ内へと向いていたところに名前を呼ばれ、急に意識が外に向いたためにナニに集中していた神経が上手い具合に拡散したのだと思う。ソファーから腰を上げたとき、何故か俺は『もう勃起する心配はない』と確信していた。むしろその時、これからの手術の恐怖に恐れおののき、俺のナニは小指大ほどに小さくなっていたと思われる。大きくなりそうになったり、縮こまったり、まったく俺のナニは忙しいヤツである。


そして手術室に入るとそこにはカーテンで区切られた複数の空間があった。その区切られたところにひとつずつ手術台が設置してあった。若い助手らしき男性が俺をその中のひとつの手術台に案内し、『ズボンとパンツを脱いでこのカゴに入れてからそこに横になってください』と言った。俺は恐怖と不安、そしてこれからこの余った皮とおさらば出来るという喜びが入り乱れた複雑な気持ちでズボンとパンツを脱ぎ、下半身だけ丸出しという目も当てられない姿で静かに手術台に横たわった。


(次回へ続く)

■俺が7年間守り通した秘密 NEO [3] - 2003/04/17 [Thu]
すると、丁度ナニの部分だけがパックリと切り抜かれている緑のシートを下半身に被せられた。しっかり皮被りのナニだけがシートの窓から顔をのぞかせている。これは一体なんという絵面だろうか。そして俺を手術室に案内した男性がなにやら書類のようなものを持ち出し俺に質問を始めた。それはちょっとしたアンケートだという。最後の質問にはこんなのがあった。『この病院を何処でお知りになりましたか?』。


俺はあの見飽きたエロ本に載っていた広告をすぐに思い出したが、エロ本の広告で知ったというのをハッキリ言うのはどうも恥ずかしく、少し口ごもっていると『エッチな本?』と爽やかな笑顔で言われてしまった。俺は苦笑いをしながら『はい』とだけ答えた。そんな風にアンケートは終了し『しばらくお待ちください』と言い残しその男性は去っていった。


因みにアンケートを答えている間も既にナニは丸出しである。アンケートは脱がす前にして欲しい、と俺は強く思った。男性が去った後もずっとナニは丸出しであったわけだが、その間に受付にいたケバい姉ちゃんが先生を探している様子で俺のいる手術室に入ってきた。もちろん俺はそれにもなす術がなくナニを丸出しにしたままだった。俺はこの日まで大浴場では必至でナニを隠しながら入浴をするなどの屈辱の日々を送っていたが、包茎時代最後のこの日にまでもこんな恥ずかしい思いをさせられるとは考えていなかった。なんとも神は残酷なのだろうと思った。しかし、本当の屈辱はまだまだこれからだったのである。


いよいよ手術を行う先生が登場。入ってくるなり俺のナニを触り始めた。そして。


『ほう。手で剥けるから亀頭はちゃんと発達しているねえ・・・・。』


などと言いながら俺の余った皮を軽くひと剥きしやがった。なんということだろう。同じ男に自分の余りすぎた皮を剥かれるというのがこんなに屈辱的なことだったとは。俺は溢れそうになる涙をグっとこらえ乾いた声で『え、ええ・・・』と答えた。さらに先生は『でも大分余っているねえ。これは切った方がいいねえ。』と続けた。知ってるよ! だから来てんだよ!


そ  ん  な  の  百  も  承  知  だ  よ  !  !


いいから黙ってさっさと終わらせてくれ。俺の皮を剥くな。そして余計なことを言うな。余計なのは俺のナニの皮だけで充分だ!! 心が張り裂けそうだった。先生はそんな俺の心中などお構い無しに無表情で手術の準備をしている。そしてついに。『でははじめますねー。少しチクっとしますよー』。先生が麻酔の注射器を手に持つのが見えた。




ジョジョ風。




注射器を構える先生の動きにあわせてそんな効果音が聞こえたような気がした。いや、先生の頭上に擬音文字すら見えた。ついにはじまるのだ。俺は恐怖におののいた。しかし長年の悩みの種だったこの皮ともお別れだという喜びも感じていた・・・・のだが! 鈍く光る注射器の針がナニに差し込まれた瞬間に俺は奈落の底に突き落とされた。ウソばっかりだ! ウソっぱちじゃないか! 『チク』どころの騒ぎじゃない! コレは一体!? 今まで感じたことのない種類の痛みが俺のナニから頭の先に突き抜けた。ギュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ・・・・・・・っという何かが流れ込んでくる奇妙な感覚。




正に悶絶!




そんな未知の痛みに悶絶していると次はついにメスの登場だ。あ、あれが噂の最新鋭の電子メスか!




ジョジョ風。




電子メスの登場にあわせてまたしても効果音が聞こえたような気がした。畳み掛けるような衝撃の連続に俺が言葉を失っている間、先生は麻酔が効くのを少し待っているかのようにゆっくりとその電子メスを準備している。そしてしばらくすると麻酔が効きはじめたのか、徐々にナニの部分の感覚が無くなっていくのがわかった。まるでナニの部分だけが異空間にストンと抜け落ちているかのような感触がなんとも気味悪かった。俺は天井を見上げながらその違和感に耐えていた。するとなにやら音が聞こえる。




ジョジョ風。




なんだこの音は・・・。俺は不思議に思って少し顔を自分のナニの方に向けた。




嗚呼! こ、股間から煙が!!!!!!!!




そう。俺が麻酔によって引き起こされた股間の違和感に耐えている間に、いつの間にかメスが入れられはじめていたのである。自分の股間から煙が上がるという世にも奇妙なこの体験は一生忘れることはないだろう。しかし順調に手術が進行しているようなのはなんとなく理解できた。血のついたガーゼなどがチラチラ見え、少し不安を煽られたが痛みは全く感じなかったので俺はひとまず安心し股間から立ち昇る白い煙をボケっと眺めていた。


しばらくそのまま身を任せていると、俺のナニから切り取ったと思われる物体をゴミ箱に捨てる先生の姿が目に入った。次に先生はキズ口を縫っているような動作をし、消毒などをした後にあっという間に包帯が巻かれた。終わった。ついに終わったのだ。実際終わってしまえばなんて事のないことだと思った。俺はこうして包茎男のレッテルを捨て去ることに成功したのだ。


ここで少し余談をひとつ書かせていただこう。この件に関する告白文を書くのは今回で二回目だと冒頭で書いたが、一回目の告白のあとに友人にこんなことを言われたことがあった。『切り取った皮はへその緒みたいに貰ってきたんでしょ?』。





貰うか!




と、その時はすごい勢いで否定したが、今思えば確かに貰ってくるのもアリだったなと思う。先生がさりげなくゴミ箱に俺の皮を捨てる姿はしっかりと見ていたのだから、『その皮ください』と一言言えば貰えたかもしれない。手術が終わった後に俺はひたすら喜びに浸ってしまったために皮を貰って帰ろうなどという気の効いたことは全く考えられなかったのである。今思えば非常に勿体無いことをしたと強く思う。全く持って俺というヤツは未熟者だ。


さて話を戻そう。以上のようについに念願のズル剥け君に生まれ変わった俺であるが、この時はまだ、これからはじまる本当の悪夢のことなど知る由も無かったのである。そう。悪夢はこれからだったのだ!


手術が終わってナニをかばいながらそっとズボンを履いていると、最初に俺を案内した助手の男性が近づいてきて、そこの椅子に座ってくれと指示してきた。これから術後の過ごし方の説明をするとのことだった。その説明は以下のようなモノだった。『麻酔が切れてから痛むようだったら帰りに渡す痛み止めを飲んでください』、『しばらくは風呂に入らないようにしてください』、『何日かしてキズ口が落ち着いてきたら風呂に入っても良いけどキズ口はぬらさないように工夫してください』・・・・などなど。そして最後に助手の男性から発せられた衝撃的な言葉が俺を奈落の底に突き落とした。


それは・・・。


『性行為、マスターベーションは三週間以上は絶対にしないでください』





さ、  三  週  間  だ  と  !  ?




浪人生活の中で数少ない楽しみだった自慰行為。当時の俺はそれを当たり前のように毎日していたのだ。それをこの日を境に三週間絶たねばならない・・・・。こんなに苦しいことはない。そう。これが本当の悪夢の始まりだったのである。この当時の俺にとって『オナニー禁止令』は死に限りなく近いものだった。よくよく考えれば術後に自慰行為がしばらく出来なくなることくらいは事前に判りそうなものだが、この時の俺の頭の中は『とにかく包茎を治したい』ということだけでいっぱいだった。その後のことなど考えもしなかったのだ。このことには男性の説明を聞いてようやく気がついたのである。


そして俺は『昨日いっぱいヌキ溜めしておけばよかった・・・・』と激しく後悔した。


(次回へ続く)

■俺が7年間守り通した秘密 NEO [4] - 2003/04/18 [Thu]
そんなわけで、せっかく手術を終えたというのに『三週間』という言葉が頭に引っかかってしまい、今ひとつ喜びに浸りきれないでいた。しかし、病院からの帰り道の途中でひとまず『三週間』という言葉を忘れようと自分に言い聞かせた。今は長年の悩みだった包茎からの脱出・・・・いや、脱皮に成功したということだけを考えよう。そして素直に喜ぼうと。そんなことを考えながら俺は家路に着いたのだった。


家に帰ってからしばらくはまだ麻酔が効いていて股間が異空間に抜け落ちていた。しかし・・・・・。麻酔が切れ始め股間が異空間から舞い戻ってくると同時にキズ口の痛みが俺を襲った。俺はかつて自慰行為のし過ぎでナニが擦り切れたことがあり、その時もそれなりにヒリヒリと痛んだが今度の痛みはその比ではなかった。それはナニが脈打つのがハッキリと判るような実に重量感のある痛みだった。ドクドクとキズ口が音を発しているようにさえ思えた。


俺は内股で畳の上にのた打ち回った。そこでふと痛み止めの薬を貰ってきたのを思い出し、震える手でそれを一粒口に放り込んだ。20分ほどすると波が引くように痛みが消えていった。ブラボー痛み止め。俺は痛み止めの薬の偉大さに平伏したのだった。しかし、その時からしばらく俺は、内股→痛み止め→内股→痛み止め・・・・・・という流れの繰り返しに苦しむことになった。俺はその時、麻薬常習者の気持ちが少しだけわかった気がした。病院での聞いた説明通り風呂には何日か入らずにいたが、それはただ痛み止めがないと耐えられない状態では入りたくても入れなかっただけだったりする。


そして痛み止めが無くてもなんとか過ごせるようになった数日後、さすがに風呂に入りたくなった。しかしナニのキズ口を濡らさずに風呂に入るというのは改めて考えると非常に難題である。ナニは体のド真ん中にあるのだ。そこをかばいながら風呂に入るとはこれいかに? もちろん湯船に浸かるのは無理だ。だからシャワーで済ますことになるわけだが、それでもなかなか難しいことである。しかもその時は夏である。いくらシャワーで済ますにしてもそれなりに体を洗いたい。そこで俺は考えた。そして思いついた。


ナニにビニール袋を被せるということを。


せっかく脱皮に成功したのに今度はビニール被りかよ、という泣き言を言いながらスーパーマーケット『いなげや』の白いビニール袋をナニに被せ、根本を輪ゴムでしっかりとめて風呂場に一度入った。だがあまりにもしっかり止めすぎたためにナニが締め付けられ、ナニのキズ口に痛みが走った。圧迫されたキズ口から血が吹き出るかと思い俺は全裸で大慌てだ。とりあえず脱衣場に一度出て、ゴムを少し緩めてからひとつ大きな深呼吸をした。落ち着け。落ち着け俺。そしてふと目を鏡の方に向けると、そこにはナニに『いなげや』のビニール袋を装着したナイスガイがひとり映っていた。


そんな苦労をしながらもなんとかシャワーを浴びることに成功した俺は、それを何日か繰り返している内にビニール袋の装着にもすっかり慣れ、『いなげや』のビニール袋が世界一似合う男になっていた。そんな風に術後最初の一週間はなかなか順調に過ごしていた。痛みも少しかゆみがあるくらいで気にならなくなったし、『いなげや』のビニール袋もすっかり似合うようになったし、そしてなによりも俺はもう包茎ではないのだという喜びがようやく実感できるようになっていた。


しかし・・・・・・・術後二週目のある日・・・・・・・。俺の中で何かが蠢き始めた。







ジョジョ風。
ジョジョ風。




そう・・・・・・『それ』は・・・・・・。




性的な欲望!


すなわち!!


性   欲  ! !





・・・・・・・そして、ついに俺と性欲との悪夢のような戦いが幕を開けた。




ジョジョ風。




(次回へ続く)
■俺が7年間守り通した秘密 NEO [5]- 2003/04/19 [Sat]
ついに幕を開けた性欲との壮絶な戦い。昼間は圧倒的に俺の優勢だった。いや、優勢どころか全く勝負にならないというレベルで俺の圧勝。しかし問題は夜、特に深夜である。深夜になると家族は寝静まり、アイバ家の中では俺一人の世界がやってくる。そう。『ヤツ』は俺が独りになり孤独を感じ始めるのを敏感に察知し忍び寄ってくるのだ。それでも俺は負けるわけにはいかなかった。敗北の先に待っているのは血だるまだ。今、自慰行為を行えば俺は確実に血だるまになる。ナニからの大量出血・・・・・考えただけでも鳥肌が立つ。


性欲との戦いが幕を開けてから数日はなんとか俺の理性が勝利し続けていた。だが。深夜というのは少しアダルトな内容の番組をやっていたりする。ふと油断したある日。一番見てはいけないものを俺は目にしてしまった。それは深夜番組ではじまった風俗特集である。これは非常にまずい。まずいなんてもんじゃない。普段ならその程度の番組で海綿体が爆発することなどないが、もう二週間近く溜め込んでいる俺には充分すぎるほどの刺激だった。俺の理性にヒビが入る感触がわかった。さらにその時。





ジョジョ風。




嗚呼! ナニからこんな効果音が! しかもこの時はまだ包帯も取れていない。当然、キズを縫ってある糸もついたままだ。糸は時間の経過とともにひとりでに溶けて外れていくモノが使われていたが、この時点ではほぼそのまま残っている状態である。突然の海綿体爆発によりナニは包帯で圧迫され、さらに糸が突っ張った。それと同時に痛みも走った。




イテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテテ。




ナニに走った痛みが一瞬俺の理性を復活させた。そして俺は慌てて包帯を少し緩めた。危なかった。自慰は我慢しているのに勃起したためにキズ口が開いてしまったなんてことになったら目も当てられない。突然の危機を逃れて一息ついて、再び顔をテレビの方に向けるとそこには巨乳の風俗嬢が映し出されていた。巨乳だと? 俺が巨乳好きなのを知ってのことか? 何故だ。何故このようなものを今俺に見せる? やめてくれ。やめてくれ。やめてくれ。やめてくれ。ヤメテくレ。ヤメテクレレレ。ややややややややややややめやめやめやめやめやめてくれれれれれれれれれ。やめやめや$%&’()=‘{+*+‘=〜・・・・・。




ジョジョ風。




俺の中で何かが弾けた。




俺の理性は何処へ行った? 今まで我慢してきた苦労は何処へ行った? 俺は震える手でズボンを下ろし包帯をほどいていた。中から消毒の薬で黄色くなっているナニが姿を現し、それを見ながら俺は息を呑んだ。今ヌイたら確実に血まみれだぞ。良いのかアイバ。そこには快楽ではなく惨劇が待っているんだぞ。そう自分に言う自分もまだ存在しているのはわかったが、理性が消し飛んでしまった今となってはそれに耳を傾けるだけの余裕はなかった。その時俺の頭の中はもう『自慰強行突破』という言葉でいっぱいになっていたのである。オラオラオラオラオラオラオラオラ!!! レッツ・自慰★


ワン・ストローク! ツー・ストロ
イッテエエエエエ!




痛みが再び俺の理性を復活させた。しかしその時には既に少しキズから血が滲んでいた。ドバっと脂汗が体中に噴出した。俺は自慰行為をたったワン・ストローク半で切り上げ、震える手で包帯を巻き直してズボンを履いた。俺はすぐに立ち上がろうとしたが膝が大爆笑している。それでもなんとか立ち上がり、まるでサンダーバードの人形のようにフラフラしながら窓際に移動してタバコに火をつけた。そして『落ち着け落ち着け』と自分に言い聞かせながら深くタバコの煙を吸い込んだのだった。タバコを吸い終える頃にはすっかりナニも萎えてしまい、テレビの風俗特集も終わっていた。危機は去った。そして俺は涙で枕を濡らしながら眠りについた。


それから数日間は余計なものを目にしないようにしてなんとかやり過ごしていたが、再びある日の深夜。この前と同じ深夜番組ではじまった風俗特集が再び俺を襲ったのである。二度目の大ピンチである。前回の戦いの時よりはキズも多少塞がってきているとはいえまだまだ自慰行為をするには早すぎる。俺は持ち前の学習能力によってこの番組は絶対にみてはいけないと素早く判断し、迷い無くテレビの電源を切ろうとした。しかしその時にやっていた風俗特集は前回とは少し様子が違っている事に気づいた俺はテレビのリモコンに伸ばした手を止めた。


そこでやっていた特集で風俗嬢と思われる女性がインタビューに答えていたのであるが、白衣を着ていて体は一切露出していなかった。サービスを行う時も服は着たままだという。そこではこんなやり取りがなされていた。『男性が女性のようによがってしまうんです』、『このゴムサックを指につけて、さらにオイルもつけて肛門から指を入れるんです』、『そして奥の方にある前立腺を直接指で刺激するんです』、『すると性器に触らなくても射精してしまうんですよ』。その言葉に驚くレポーター。『男性がよがるんですか!?』、『触らなくてもイッちゃうの!?』。





触らなくてもイッてしまう!?






触らなくてもイッてしまう!?






・・・なくてもイッてしまう!?






・・・・・・てもイッてしまう!?






・・・・・・・・・・・イッてしまう!?






・・・・・・・・・・・・・ッてしまう!?






・・・・・・・・・・・・・・・・まう!?






・・・・・・・・・・・・・・・・・う!?





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






『触らなくてもイッてしまう』というこのフレーズが俺の頭の中で激しくこだました。その前立腺マッサージの風俗は死ぬほど気持ちがいいらしい。男性がよがってしまうほどに。性器に触らなくても射精してしまうほどに。そこで俺は気がついたのである。そうか! 前立腺というやつを自分で刺激することが出来ればナニをキズつけずに自慰行為が出来るじゃないか! なんて俺は頭がいいんだ! この特集を今の俺に見せるとは、これは神の助けか!? 俺は狂喜乱舞した。そして俺は決意する。前立腺オナニーの決行を!!


思いついたらすぐ行動だ。でもちょっと待てよ。これは自分で出来ることなのだろうか? 自分の肛門にそんなに深く指を挿入することが出来るものなのだろうか? そんな疑問を持った俺はしばし頭の中でシュミレーションしてみた。そしてなんとなく無理そうな気がしてきた。いや、間違いなく無理だと確信した。しかしこのアイディアを無駄にするもの悔しかった。それに、俺は既にすっかりその気である。もう後戻りは出来なかった。そして俺は考え、あることを思い出した。


俺は当時、コピーバンドでドラムを担当していたのである。もちろん浪人中なのでその時は活動はしていなかったが。ともかくドラムと言えばドラムスティックが必需品だ。ドラムスティックと言えば太さは手の指くらい。そうか! それだ! 俺は拳を握り締めた。指がとどかないならならばそれよりも長い何かを使えばいい、ただそれだけのことじゃないか。そう。俺は部屋に転がっていたドラムスティックを駆使して前立腺オナニーを試みることにしたのである。


でもまだ問題があった。ゴムサックとオイルが無いのだ。今は深夜である。そんなものを用意するのには無理があった。かといって明日になってからでは意味が無い。今! 今じゃなきゃダメなんだ! そしてさらに俺は考えた。何か代わりになるものを。何か無いか。何か・・・・・。そうだ! オイルは台所にあるサラダ油で代用だ! なんて俺は頭が良いのだろう。ではゴムサックはどうする? さすがに直でスティックを肛門にブチ込む勇気は無かったのでなんとか代わりになるものを考えねばならなかった。しばらく熟考して俺はひらめいた。


『明るい家庭計画』を使えばいいということを!


家にはコンドームは無かったがすぐ近くの薬局の前には『明るい家庭計画』と題されたコンドームの自動販売機があったのである。俺はそれを思いだしたのだ。その薬局は本当にアイバ家から目と鼻の先にあったので俺はすぐ買いに出かけた。コンドームを無事入手した後は家にすぐ戻り、玄関から台所に直行した。サラダ油を調達するためである。その時の俺は完全に目が逝っていた。まるで何かに取り憑かれたかのように無心で行動していたような気がする。


そんな風になかなかの苦戦を強いられたが、俺は持ち前の気合と根性、そして愛と勇気でなんとかアイテムを揃えるコトに成功したのである。あとは実行あるのみ。まず買ってきたコンドームを開封しドラムスティックに装着。その上に台所から拝借してきたサラダ油を塗った。そして俺はズボンを下ろし、四つん這いのポーズをしてそっとスティックを肛門に挿入しようとした。しかしサラダ油の用途はそもそもすべりを良くする溜めではないのでなかなかすんなり入っていかない。だからといってここで諦めては男がすたる。少しずつ慣らしながら徐々に挿入していった。入る! 意外と入る! ついにかなり奥までの挿入に成功した。


・・・・・しかし。前立腺は肛門の入り口から直線上には存在しなかった。どんなに探ってもスティックの先は前立腺にはとどかなかった。俺は愕然とした。このまま諦めるしかないのか。こんなに苦労したのに。こんなに切望しているのに。神は俺に嫌がらせをするためにあの特集を見せたんだ。俺が前立腺オナニーに失敗するのを初めからわかっていながらあの特集を見せ、失敗した時の絶望感を俺に与えようとしたんだ。俺に意地悪したんだ。俺をからかったんだ。俺が宗教を信じない理由の大きな理由のひとつがこの出来事であるのは言うまでもないだろう。しかし俺はまだ諦めていなかった。直線がダメなら曲線だ、という考えが浮かび、部屋をよく見渡してみると、そこには。


『孫の手』があった。


孫の手とは背中が痒いときなどに自分で背中を掻くために使う、程よく先が湾曲したアイテムである。孫が背中を掻いてくれるかのようなアイテム。それが孫の手。それを目にした俺は『これならイケルかも!!』と、とっさに思いそれに飛びついた・・・・・。





わけねえだろ!




俺はいくらなんでもそこまでクレイジーではない。孫の手を肛門に挿入したら肛門が破壊されることくらいは理解できる。やはり俺が試みた『前立腺オナニー』はそこで断念せざるを得なかったのである。俺は泣きながらサラダ油を台所に戻し、ヌルヌルする肛門をティッシュで拭き、涙で枕を濡らしながら眠った。因みにこの時前立腺オナニーに使用されたドラムスティックは、後に俺の家に遊びに来た高校のときの友人が『俺もドラムやってみたい』と言い出したために彼に譲ってあげた。もちろん彼は、そのスティックがかつて俺の肛門に挿入されたなどという事実は知る由も無かった。


(次回へ続く)

■俺が7年間守り通した秘密 NEO [FINAL]- 2003/04/21 [Mon]
そうして二度の危機は去った。しかし、もう限界だったのだ。浪人生で彼女無しという立場上、どうしたってストレスは溜まる。しかもそれまでは毎日のように自慰行為をしていた男があるときからそれをスッパリ止められるわけがなかったのである。二度目の危機から数日後、キズを縫ってあった糸が徐々に外れてきてたのを確認した俺は血が出ようがなんだろうが強行突破に踏み切る事を決意してしまった。


サオの根本を人差し指と親指でつまむ様にして持ち、最小限の振幅で擦ってヌイてしまった。後にも先にもあんなにこじんまりとした自慰行為はその一回きりである。行為自体はこじんまりとしていたが発射ぶりはそれはもう豪快だった。まるで消防車の放水のような勢いだった。しかし、いくら慎重にこじんまりと自慰行為を行ったところでキズは完全に塞がっていないのだから当然出血があった。それが原因でキズ跡が酷くなったのは言うまでもない。後にそのキズを気に病んでもう一度病院に行ってキズ跡を目立たなくしてもらったのはここだけの秘密である。その時も一回目と同様に診察直前に勃起しそうになったというのも当然秘密である。


俺がはじめてこの話をある友人にしたとき、彼は腹を抱えて笑いやがった。だからネット上で今回発表したこの告白文を読んだ貴方も笑い転げているかもしれない。滑稽な男のこの物語を心底バカにしているかもしれない。しかし、俺の基本スタンスは『痛い過去こそ笑い飛ばせ』なのである。ここでこの告白文をあえて書くことによって自分自身の痛い過去を笑い話として消化するというのは俺にとってとても重要なことだったのである。と、無意味にもっともらしいことを言っている俺に乾杯。


で、結局のところ何が秘密だったのか。俺が包茎だったという事実? それとも包茎手術をしたという事実? はたまた前立腺オナニーを失敗したという事実? いや、どれも少し違う。先ほど書いた、俺が最初に秘密を告白したある友人が俺に言った『ある言葉』がその秘密を一番的確に表現していると思うのでそれを借りて表現させていただこう。彼にこの話をしたとき、彼は爆笑しながら俺にこう言ったのである。





『おまえ、改造人間だったんだね!』




そう。俺が7年間守り通した秘密。


それは。


俺が改造人間である、という事実だったのである。


か、改造人間は強いんだぞう。ビームとか出るんだぞう・・・。ぞう・・・・・・・・。


(おしまい)

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