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モーニング娘と俺 - 2003/04/24 [Thu]

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タイトルがちょっとアレな感じですが、ここでは俺が大好きなモーニング娘の素晴らしさを力説しようという趣旨ではありません。実は、モーニング娘に出会うことによって大きく変化したことが俺にはあるのです。それは好きなものを好きということの素晴らしさを素直に外に出せるようになったというか。


ここで勘違いしてもらいたくないのは、モーニング娘の曲からそういうメッセージを受けとったというわけじゃないということ。ただ、『モーニング娘を好きになった事実』がそのキッカケになったのかもなあという話です。さすがにね。彼女たちの歌から直接的にメッセージ性を見出せるほど俺はもう若くないでござんす(いや、アイドルの歌からメッセージ性を見出すこと自体が間違っていると言ってるわけじゃあないよ。それは人それぞれですから)。


『MUSIC』の項目を見ていただければわかるように俺は洋楽を中心に音楽を聴く人間です。それで洋楽を聴くということは邦楽を聴く人よりもクールなことであると思い込んでいた時期がありました。それは高校生くらいのころが一番顕著でしたね。やはり日本において洋楽というのは邦楽に比べてプロモーションが大々的にされるようなことは少ないです。だから、雑誌などで積極的に情報を仕入れて聴く人が多い。


一方で邦楽の中にはテレビで積極的にプロモーションが行われるようなものが多数存在します。だからテレビなどをなんとなく眺めていて耳にした邦楽の曲をだけを聴いている人もいますよね。そういう人よりも洋楽を聴いている俺の方が音楽を積極的に勉強しているのだから当然音楽というものを深く理解しているわけで、だからこそ俺の音楽趣味はクールなんだ、みたいな思考の流れがありました。別に音楽を支持する形はいくつだって存在して良いはずなのに、冗談抜きで自分のその思考が唯一の正解であると思ってる部分がありました。そしてそれをアピールする為に自分のその考えにおいてクールじゃないと判断したものはとにかく批判してみたりもしてました。


日本のインディーズの音楽を中心に聴いている人が、メジャーのアーティストをメジャーであるという理由だけで批判したり、人気が出たとたんに聴くのをやめてしまったりというのも似たような事例じゃないかしら。つまりは、自分で勝手に作った価値観の元にクールだと感じることは世間一般でもクールなことだと思い込んだ上で、世間体を気にしながらファッション感覚で支持するものを選んでいるというか。


で、インターネットのヤフーの音楽レビュー用の掲示板などでは、モーニング娘のCDに対して罵声を浴びせている人がいます。『あんなに歌が下手なのに何で売れてんの? モーヲタ死ね!』とかね。このような書き込みは誇張でもなんでもないです。このレベルの書き込みというのは実在しています。そこから『俺はモーヲタなんかよりも音楽をわかっている』という遠まわしの主張が透けて見えてなんとも言えない気分になります。


でも、正直なところそのような書き込みをすること自体はハッキリ言って勝手だと思います。良いか悪いかをここで論じる気はありせん。でも、そのような書き込みを見ると高校生くらいのころの自分と激しくダブるのがなんとも言い難いのです。過去の自分を見せられているかのようでね。俺は先ほど書いた高校生の時の自分の思考の流れというのを現在ではかなり嫌っています。過去の恥ずかしい自分として認識しています。だからそれと似たものを見るとチクチク胸が痛いというか。その書き込みそのものに怒りを覚えるというとはかなりニュアンスが違うんですよ。


その高校生の頃に顕著だった思考の流れは大学に入っても自分の中に結構残っていました。そこでモーニング娘の登場です。俺は惚れた。なっちこと安倍なつみの可愛さに惚れた(今では辻ちゃんですけども)。そして実際に彼女たちの音楽を聴くようになった。さらに自分のサイトでもそれを徐々に公言するようになっていきました。その瞬間に何か一皮剥けた感じがしたんですよね。ちょっと大げさですけど。


過去の俺は自分がそれを好きかどうか判断するよりも先に『アイドルなどに熱を上げるというのは格好悪いことでありクールじゃない』という意識があって、だから自分が世間一般でもクールなことだと勝手に思い込んでいた洋楽ファンという立場から、アイドルの存在そのものを批判したりしていたのです。先ほど書いたようにファッション感覚で支持するものを理屈で選んでいて『アイドルに熱を上げるのはクールじゃない』というのをやたら気にしていたというかね。実際に良い年してアイドルに熱を上げるのが一般的に恥ずかしい事だったとしても、そんなのはともかく好きなんだから良いじゃんか、素直に好きと言えばいいじゃんか、と思うようになったのですよ。まーそれはある意味開き直りっすけどね。なんつうのかなあ。『実際、恥ずかしいことなのかもしれんけど、まー良いじゃん。別に誰かに迷惑かけてるわけでもないんだし。』みたいなノリかな。


でもね。そしたら、他のモノに対しても良い意味で寛大になれるようになった部分があってね。それは間違いなく自分としてプラスに働いた要素なんじゃないかなーと思うのです。世間では失笑されることの多い『オタク』という存在があります。代表的なのはアニメのオタク辺りですか。そういう人たちは頭にバンダナを巻いていたり、あり得ないセンスの服を着ていたりするというのは確かに事実としてありますが、それに対して単純に『コイツらバカか?恥ずかしいんだよバカ』という感情が起こることが殆ど無くなったんですよ。他人の趣味趣向を尊重できるようになった部分があると言えばいいでしょうか。昔は心のどこかでバカにしてたコスプレとかもそうだな。むしろ楽しそうで良いなあくらいに思うようになったよマジで(だからといって俺自身がコスプレに興味が湧いてきたという意味じゃないですけど)。


そんな風に、自分がクールだと思うモノ以外はとにかく批判して、自分が支持するモノのクールさをアピールしてやろうというガチガチの考え方から少し心の余裕みたいなもんが生まれるキッカケを作ったのが、俺の場合モーニング娘を好きになったことだったんだなあ、と今改めて思ったりなんかしたりしてるわけです。その変化はいきなり訪れたわけじゃなく好きになってから時間が経つにつれだんだん色濃く現れていったという感じですね。そしてコレを書いている今に至ると。俺は、その自分の変化により生まれた少しばかりの心の余裕っつうのは、今は自分自身でとても気に入っています。


その変化のキッカケをくれたモーニング娘、安倍なつみ、そして辻希美はやはり神なのです。
(論点ガズレテルヨ!)



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