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Suicide By My Side / Sinergy |
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今年の6月に来日が決定してるSinergyのサードアルバムです。音はいわゆるアイアンメイデン系のツインリードがハモリまくりの疾走感溢れるヘヴィーメタル。このバンドの音はホントにメイデン直系です。日本盤のボーナス・トラックにはThe
Number Of The Beastが入ってるし。
元々はヴォーカルが女性ということで全然聴く気が無かったバンドなんですよね、実は。すごくバカにしてた。何だかんだ言ってもヘヴィーメタルに女性のヴォーカルを乗せて違和感があるだけの方が多いだろうし、演奏がカッコよくても男ヴォーカルだったらもっと良いのにって思っちゃうだろうなって。
けど、このバンドは違ったのです。マジびびりました。
新宿のディスクユニオンの5階にあるメタルフロアで何を買おうか迷ってる時に大音量でかかってたアイアンメイデン直系メタルがすっごくカッコよくて、これなんだろうって思いながらレジの前の今流してるCDのケースが立てかけてあるところを見にいったらこのアルバムだったんですよね。
マジびびりました。
『あれ?このバンドってヴォーカルが女性のバンドじゃなかったっけ?』って思ったんですよ。店内で流れてきたバンドが女性ヴォーカルであるとは思わなかったの。ハイトーンの男性ヴォーカルのバンドだと思ってたの。今は女性ヴォーカルであるのをわかって聴いてるから確かに女性だって思えるけど、初め聴いたときはパワフルな男性ハイトーンヴォーカルだって思ったのよ。
昔いたヴィクセンというL.Aメタル系の音を出す女性ハードロックバンドがいたけど、ああいう感じの女性らしさを武器にしたハードロックは嫌いじゃなかったけど、ヘヴィーメタルという領域の中だとどうも女性ヴォーカルって良い方向に作用しない気がしてね。男性ヴォーカルの方が良いに決まってるって思う方だから、俺は。男女差別とかじゃなくてやっぱ向き不向きってのはあると思うのよね。
例えば女性がデス声で歌ってるの聴いても引くだけなんだよな。デス系の声で歌うんだったら男性の方が向いてるに決まってるし、そこにあえて女性を起用するっていう感覚が俺にはわからないのです。男性と女性じゃそもそも声帯の作りが違うんだから。そんな考えをもってる俺なのですけど、このバンドはそういう問題じゃなかった。もちろんこのバンドはデス声じゃないけど、パワーというのが重要な要素となるであろうこの手の音に女性の声が乗ってもなあって思ってたのは確かなのです。
だけどホントにそういう問題じゃなかった。全然違和感が無いのよ。女性が男性的に無理して頑張ってるっていう香りが全く無い自然なパワーを発散しているのです。『自分らしく歌ったら結果的にこうなった。』という風に自然に受け入れられるレベルになってるのよ。俺は音を聴いた後にヴォーカリストのキンバリー・ゴス嬢のルックスを目にしたのですけど、ますます好きになりました。めっちゃ良いキャラ。たまんないっすよ、これは。ちなみにファーストの裏ジャケではかなり綺麗っぽく写ってる写真が採用されてて多くの人が騙されたらしいです。あは。
俺がメタルの領域で女性ヴォーカルに違和感を感じるのはやっぱり『男性的に歌おう』っていう意識が感じられるからなんだと思う。だけどこのバンドのように『自然にこうなった』っていう感じなら全然オッケーです。キンバリー嬢は本当に素晴らしいヘヴィーメタルヴォーカリストですよ。しかも演奏も曲も素晴らしいと来たら文句なんて無いです。基本的にコンパクトにまとまった楽曲、疾走感を重視したノリ、素晴らしいメロディー。メイデン系のメタルに俺が求める要素が全部入ってる。全部美味しいのです。
こんなに冴えてるメタルアルバムはそう滅多に無いです。
このアルバムでは前述したようにはじめは男性のハイトーンヴォーカルかと聴き間違えた程の声質になってるんだけど、これの前のファーストとセカンドは1回聴けばすぐ女性ってわかる声質です。だけどそれでも違和感は無かったね。特にセカンドはこのサードに勝るとも劣らない出来です。ファーストは少しヴォーカルが弱いし、曲もセカンド・サードよりちょっと弱い印象を受けたな。
キンバリー嬢はアルバム毎に確実に成長してるのがハッキリとわかるし、楽曲も確実にレベルアップを続けてるバンド。このバンドは他のバンドと掛け持ちでやってるメンバーが多いので、ちょっと先行きがどうなるのか不安もあるんだけど、そんな事はひとまず忘れて応援したいって思えるんですよね。マジ大絶賛。だってダメな部分が見当たらないんだもん。
このアルバムが好きじゃないならメタルなんか聴くの止めちまえ。
あえてそんな極論で文章をしめたい気分にさせるアルバムです。 |
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