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格好悪いこと


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ここではあえて自分の事を「僕」と言おう。なんとなくその方がしっくり来るんで。僕は表面的には強いように見えるかもしれないけど内面的にはとても弱い。


僕は基本的に理想主義者だ。こうあって欲しい、こうあるべきだ、と何かと答えを出したがる。どんな事にもイエスかノーかを求めてしまうんだよ。ぱっと見は僕のそんな部分がとても強くてポリシーを持っているように見えるかもしれないけれど、実はそこが僕の弱い所なんだ。その理想を求めるあまりに、現実を見失ってしまう事がよくあるの。自分はこうすべきだと思いながらも出来なかったり上手く行かなかったりすると、必要以上に投げやりになってしまう事がある。


様々な出来事において、イエスかノーかの答えがはっきりと出るモノなんか本当は少ない。でもその中にもいつか答えを見つけるべきモノもあるよね。その答えに辿り着くまでは様々な過程が存在する筈なのに、僕はそれをする事を嫌い、すぐに答えに辿り着こうとする。答えに辿り着くために格好悪い事もあるだろう。自分が惨めに思えることもあるだろう。それを僕ははじめから避けてしまうんだ。他人に嫌われたらどうしようとか、こんな事であがいたり、もがいたりするのはかっこ悪いからしないんだ、と逃げてしまったりね。


例えばね、誰かの事を好きになってさ、その人に告白したとするでしょ。で、断られるとする。俺はそこでもがくのがイヤで、それが格好悪いことに思えて、すぐ諦めてしまうんだよ。しつこく言い寄って嫌われて、俺がマヌケな人間に思われるのがイヤだし、なにより自分が惨めになるのを恐れてる。


だからさわやかに諦めた振りをして、その後も今まで通り友達でいる場合が多いんだよね。 まあ、今書いた事は一つの例だけど、これらの事が他の事にも言えるんだ。他人が自己嫌悪に陥ったり、昔はこんなマヌケな事があったんだと話しながら笑っているのを見ると、「僕にはそんな経験は殆ど無いな」と情けなく思えてくる。奇麗事を並べたり、格好悪い自分にならない為に色々な事から逃げて、表面的には素敵な思想を持ってそれを貫いているように見えても、実は中身が何も無いんだよ。


人間ってのは、苦しんで、もがいて、格好悪い部分を他人にさらすからこそ、格好良くなれるんだと思ったんだ。僕はそんな事に最近気が付いたんだ。 僕はこれからもっともがいて、もっと苦しんで、格好悪い部分を他人にさらさないと、もっと格好良い人間にはなれないな、と痛感したよ。僕にはそんな所が欠けているんだよ。臆病者なんだ。だから僕はそこから抜け出したい。そう思ってる。


人間は格好悪いから格好良いんだよ。



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