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ある日俺は家から歩いて数秒の所にあるジュースの自動販売機へミルクティーを買いに行きました。
外に出ると天気が良く涼しくいとても心地良い朝です。
自動販売機のちょっと手前に何かが落ちています。近づいてみると、それはスズメでした。小さな小さなスズメ。
力無く倒れています。でもまだ生きている。俺は一度しゃがんでそのスズメを覗き込みました。
一体どうしたんだろう。とても苦しそうにしています。目を閉じたり開いたりしながら必死に起き上がろうとしていますが、どうしても起き上がれない様子です。
たまにピーっと悲鳴にも似た声をあげます。
俺はとても放っておけなくてそのスズメをそっと拾い上げて、とりあえず自分の家の裏口の所まで運びました。
だからといって何かしてやれる事があるわけではありませんでした。
『おい。大丈夫か?』
俺は声に出して言いました。そんな事をしても何の意味も無いのは分かっています。見たところ外傷は無いですが、恐らくもう助からないと分かっていました。
俺はしゃがみこんでしばらく様子を見ていました。するとだんだんと動かなくなってきます。
俺はまた声をかけました。
『おい・・・』
指で軽く触ってみるとまだ少し反応があります。そして、突然激しく動き、それと同時に『ピー!』と鳴き声をあげたあと、ゆっくりと目を閉じて完全に動かなくなりました。
何度かゆすったりしてみましたが・・・ついに息絶えてしまったようです。
とても悲しくなりました。
一つの小さな命が絶える瞬間を見てなんだかとても悲しくなりました。小さいけれど、最後まで必死に起き上がろうとしていた姿がとても心を打ちました。
俺はそのスズメを拾い上げ、一度家の中に運んで、しばらくどうしようか考えた後、スコップで裏口の前の土に穴を掘って埋めてやりました。
墓標の無い小さなお墓。
小さなスズメはそこで静かに眠っています。
俺は生きているんだな、そう思いました。
命の終わりを見て生きている事を実感する皮肉を感じました。
なんだか悲しい気分です。 |
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