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 ■[ Books ] 2006/10/11 [ Wed ]



☆宮本武蔵(一) [ 吉川 英治 ]
宮本武蔵(1)

いわずと知れた人気漫画『バガボンド』の原作です。バガボンドを途中まで読んで、そのあまりの面白さに一気に読むのが勿体無くてまだ12巻までしか読んでません。で、先に原作の方を読んでみようと思い立ち読み始めました。

本作は結構古い小説で、しかも個人的にはとっつき難そうなイメージのある歴史小説ってことで、読んでも楽しめるのか不安だったのですがこれが非常に面白い。ところどころ言葉がよくわからないところがあるのは確かだけどまったく意味不明になるほどのことはなく、想像していたよりはずっと読みやすい。

そして、歴史小説といってもしっかり娯楽作にしあがっているので純粋に読んでいて楽しい。武蔵や沢庵和尚、お通、城太郎などの主要キャラはバガボンドでもとても魅力のある人物に描かれているけれど、この原作もそれは同様。沢庵和尚なんか、もう最高。

この一巻では武蔵が宝蔵院に挑戦しにいくところまでが描かれていますが、そこに至る展開がバガボンドとは結構違います。大まかな流れは同じと言えば同じなんですが、決定的な違いは武蔵が三年間も幽閉されること。バガボンドでは幽閉される部分はザックリカットされ、沢庵和尚によって武蔵が木に吊るされたあとすぐに武者修行に出ました。

しかし原作ではお通の手によって武蔵は木から逃れて逃亡しますが、結局また沢庵につかまり、書物が沢山置いてある場所で三年間幽閉されるのです。幽閉されるといっても、無理やり閉じ込められるというよりは観念した武蔵が無抵抗でそこに篭る感じですが。

その三年間によってバガボンドとの大きな差が出ている感じがしました。本作での武蔵は篭っている三年間の間に書物を読みあさり、イロイロなことを考えたり学んだりしながら『知識』や『常識』をある程度見につけてしまいます。なので武者修行に出るころには大分大人しくなっている。バガボンドとの大きな違いはそこでしょう。

戦いになったときに意識が吹っ飛びブチきれたり、ところどころで容赦の無い感じはその三年間を経ても残っていますが、普段の武蔵はバガボンドの武蔵よりもずっと紳士的。先にバガボンドを読み、すっかりハマっている人にとってその辺は少々物足りないかもしれません。俺個人としては十分面白い作品だと思って読んでいますけどね。随分昔に書かれた本なのに今読んでも全く古びていないのは凄いよ。

その他、バガボンドとは全く同じではないのでバガボンドを読んでる人が違いを比べながらは読んでみると楽しいかもね。バガボンドでは死ななかった宝蔵院の阿巖は原作では武蔵に瞬殺されちゃったり、原作には辻風の弟なんか出てこなかったり(一巻の時点では。後々出てくるのかはまだ読んでないのでしらない)とイロイロ違う。

バガボンドはこの原作をベースにしつつも、大幅にアレンジされてるんだねぇ。その割りに細かーいところが意外と忠実だったりして比べてみると面白いよ。バガボンドと比べてばっかりの感想文になっちゃったけど、この原作は原作で間違いなく面白い。
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 ■[ Books ] 2006/10/27 [ Fri ]



☆鏡の法則 [ 野口嘉則 ]
鏡の法則

なにやらかなり売れているらしい自己啓発系の本。自分の人生は自分自身の内面を映す鏡だっつー話。誰かをゆるせないでいると自分も誰かにゆるされないとか、自分自身の内面がよろしくない状態だとそれをそのまま反映したようなよろしくない出来事が起こってしまうんだよっつー。

物語風にそれらをわかりやすくまとめた上で最後には自分をより良い状態にし、ゆるせない身近な人をゆるす為の方法が書いてあったりします。それを実践することにより自分自身の人生も好転していくらしい。さらにこの本を読んだ9割の人が涙した!らしい。

んー。正直本当にこれがそんなに評判なのかとちょっと信じられませんでした。買ったその日に30分程度で読み終わったのだけど、どっかで聞いたような話しか出てこないまま終了。そっから先を行って欲しかったなー。

自分が受け入れられなかった人を許すことにより、その人の気持ちが理解出来るようになり見えなかったものが見えてくる・・・なんて話はあまりにもありきたりで何を今更という感が否めません。だからそっから先にある今まで気づかなかったような何か凄いコトを教えてくれるのかなと期待して読み進めたんだけど全然そんなものはありませんでした。

この本では誰かを許すと不思議なことに物事が良い方向に動き出すという例を物語風に語っています。その物語とは、ある母親が息子がいじめられていることにとても悩んでいるところからはじまります。さらにそのことを息子自身が素直に話してくれないことも悩みのタネになっています。

そして心理学に詳しい人物からアドヴァイスを受けながらそれまで自分が許せないでいた父親を許し、何処か軽蔑していた自分の夫のことを尊敬したとたん、とつぜん息子が『いじめっ子が今までいじめてごめんって謝ってきた!』という話を持ち帰ってくるのです。

その出来事に対してこの本では『自分が身近な大切な人を許し、尊敬し、思いやることでその他のこともうまくいくようになる』といきなり結論付けてしまう。確かに、父親や夫のことを理解し、尊敬することによって息子が何故いじめられていることを素直に相談してくれなかったのか、心を開いてくれなかったのかということの説明はありますし、それは納得できるものになっていました。

要は自分自身が息子のことを信用してあげていないから相手も心を開いてくれなったのだ、という。まあ、それはありがちな話です。でも『いじめっ子が突然謝ってきてくれた』という出来事の説明がかなり変。その母親が父親を許し、夫に敬意を払ったとたんにその現象がおこったことに対しての説明が、『自分が人を許し、人を尊重すると人生は不思議といい方向に行くんです、人生ってのはそういうものなんです。』と言い切ってる。

なんじゃそりゃっつー話ですよ。

人を許して、人を尊重して、相手の立場に立つことが出来たときこそ人の気持ちが理解できて、相手といい関係が作れる、という当たり前の話の先にこの本が提示したのは、『自分の考え方や振る舞いとは全く無関係と思われるなところで起きた良いこと、つまりここでの例ではとつぜんいじめっ子が息子に和解を求めてきたことも実は無関係じゃないんだよ、不思議だけど人生ってそういう風に出来ているんだよ』というナンだか、『信じるものは救われる』的な宗教じみた結論でした。

いや、マジでなんじゃそりゃ。
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 ■[ Books ] 2006/10/27 [ Fri ]



☆バガボンド (1)〜(24) [ 井上雄彦 ]
バガボンド1〜24

途中まで読んでそのあまりの面白さに一気に読むのが勿体無くてかなり放っておいたのだけど、一度読むのを再開したら結局現時点での最新巻まで一気読み。こりゃマジやばい。井上雄彦という人はきっと天才なんだと思う。

序盤は割りと原作に沿って進み、『ところどころはちょっと違うよね』くらいなものなのだけど、途中からかなり違っていますね。これを書いている時点で原作はまだ全8巻中の3巻までしか読んでいないのだけどそこまでの展開でも相当違ってきています。

大まかな流れは原作どおりなんだけど、キャラ設定や具体的な展開は相当大胆に違っていて、偉大な原作を尊敬しながらも井上氏独自の宮本武蔵を描き出しています。本当に大胆にアレンジしていますね。特に佐々木小次郎を耳が聞こえず話せないという設定にしたのは心底驚きました。原作とは正反対のキャラになってる。

自己顕示欲が強く、自分のことになると自慢気にベラベラとよくしゃべる原作の佐々木小次郎に対し、幼い子供みたいに無垢で、それ故に邪念なしに剣術への好奇心だけに集中出来る『剣術のためだけに生まれてきたような男』であるこちらの小次郎。これは面白い。

新しい佐々木小次郎を描くために武蔵編と完全に分けて小次郎編を長々と描いているのは大正解だと思います。武蔵がパタっと出てこなくなってから面白くなくなるのか心配したんだけど全くそんなことは無かった。

あと、凄く強く感じたのは本作で登場する年寄り達がなんとも魅力的であるということ。宝蔵院のじじいは最高にカッコイイし(原作では宝蔵院じゃなくそこの隣にある奥蔵院のじじいなんだけどね)、柳生のじじいは最高に可愛いし、小次郎を救った小汚い親父も最高にステキだし。原作ではその辺の人たちはここまでクローズアップされてないので新しい小次郎と並び、本作の大きな魅力になっていると思います。

ただちょっと残念なのは原作においては朱美やお通の恋心もかなり時間をかけてしっかり描いているのに対し、こちらではその辺に対しての比重が軽くなってることかな。本作では原作の血生臭くて男臭い部分が猛烈に強調されて描かれている印象です。原作よりも圧倒的に暑苦しい。武蔵もこっちの武蔵の方が凶暴でひょうきんで未熟で暑苦しい。けどそれが本作の魅力なんですよね。

これから全く新しく生まれ変わった小次郎と原作よりも遥かに暑苦しくて凶暴で未熟な武蔵がどう対決に向かっていくのか本当に楽しみです。
テーブル下


 ■[ Books ] 2006/10/27 [ Fri ]



☆宮本武蔵 (二)(三) [ 吉川英治 ]
宮本武蔵(2) 宮本武蔵(3)

いよいよ吉岡との対決・・・というところの宮本武蔵二巻、三巻まで。この巻あたりまでは武蔵よりもお通や朱美、城太郎などを描いている時間が長いです。あと佐々木小次郎も本格的に出てくる。吉岡家に年明け早々武蔵が再戦に行くという全体の流れはバガボンドと同じながらも具体的な展開は全然違います。

お通の恋心、朱美の恋心など凄く詳しく描写されていてこの巻は意外と血生臭さがあまりない。どっちかというと平和な空気、明るい空気の方が強い巻でしょう。小猿をつれてよくしゃべる佐々木小次郎も活き活きしているし、盲目的に武蔵を追いかける朱美とお通もとても人間味に溢れているし、悪がきながらも明るく元気で根はイイヤツである城太郎も可愛いし、武蔵以外のキャラクターの魅力が強く出ています。

読めば読むほど古さを感じさせない名作。残り4巻から8巻までは大変だから全部読み終わってからまとめて感想書きます。毎巻書くの大変だわ。
テーブル下


 ■[ Books ] 2006/10/11 [ Wed ]



☆働きマン (3) [ 安野モヨコ ]
働きマン3

なにやらテレビアニメもはじまったらしい働きマンの最新巻。俺の奥さんが1巻を買ってきて読んでいていつの間にかトイレにおいてあったのでウンコしながら読んでたらなんとなく続きを読みたくなったので2巻も3巻も読みました。ハッキリ言って身を乗り出すほど面白いわけじゃないんだけど、なんとなくサラっと読むには良い漫画って感じ。

個人的には一番最初に載っていた編集社の中の張り込みを担当していた人と漫画を担当していた人が人事異動で入れ替わる話が好き。これに限らず男性が中心に描かれる話はどれも好きだな。他の巻だけど主人公の松方さんの彼氏が営業に回されちゃう話は凄く良かったな。もっと彼にスポットを当てて欲しい。

全体的に濃い漫画ファンよりも普通のOLさんなんかが好みそうな何処か洒落た雰囲気を漂わせている漫画だね。まあもともと安野モヨコという人はそういう感じの作風なのかもしれないけど。

大好き!というわけじゃないけどそれなりに楽しめる漫画。
テーブル下


 ■[ Books ] 2006/10/11 [ Wed ]



☆ベルセルク (31) [ 三浦建太郎 ]
ベルセルク31

相変わらず話が進まないなー。今回はひたすら戦い戦い戦い。とにかく押しのみの展開なのでじっくり登場人物や物語を語るような『引き』の展開はほぼありませんでした。なのでそれほどグっとくる感じの部分はなかったな。終わるところもものすげー途中だし。そこで終わるか!と。もうとにかく乱戦状態でこれをどうまとめるのか心配になってしまうと。終始大騒ぎ。

個人的には心理描写などが沢山描かれいる部分の方が好きなので今後に期待。全体を通して読めば必要な巻なのだろうけど、最新刊を待ちに待ってこれだけ読みとやっぱ物足りないよな。早くグリフィス出て来いよー。
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 ■[ Books ] 2006/12/02 [ Sat ]



☆BUHI Vol.1
BUHI

2006年11月29日に創刊されたフレンチブルドッグの専門誌。本当にフレブルのことしか載ってません。だからどれだけニーズがあるかわからないけど、フレブルを飼っている者からするととてもうれしい雑誌です。今後は三ヶ月に一回くらいのペースで出るらしい。

で、これに家の和尚が載りました。うひゃー。というかおそらく応募したすべての写真を載せたから載っただけなんだけどさ。うちのコ自慢というコーナーに名前と紹介文、そして写真が掲載されました。うひゃー。

それはともかくですね。内容を良く読むとかなり良く出来た雑誌だと感じました。こういうペット雑誌には必ずしつけについての記事が載っていますが、その多くは『マニュアルどおり』のことばかりが書いてある。『それが出来りゃ世話ねーよ!それが出来ないから困ってんの!』ということばっかりで読んでいて結構イライラするんです。

たとえば『フレブルは頑固だから絶対にしかっちゃダメ』とか『飛びついてきたら無視して飛びついても相手にされないと思わせないとダメ』とか言われても、叱らずにはいられない状況がどうしても生まれてしまったりするし、飛びつくのを無視すると相手にするまでずっと飛びついてきてだんだん甘噛みが本気噛みに変わってきてしまってどうにもならなくなるんです。

そうそう。もっとイラつくのは、そういう綺麗ごとのしつけアドヴァイスで『たまたまその通りウマくいったコ』を飼ってる飼い主がうまくしつけられずに困っている人に上から物を言うように偉そうにアドヴァイスしてるブログや掲示板。そゆのを見るのが一番イラつくね。

話を戻すと、この雑誌の記事は全般的にマニュアル通りのお決まりのアドヴァイスの先まで書いてくれている。『そうは言うけど実際はそんなにウマくいく犬ばかりじゃないんだよね。こういうコもいるしこんな場合もあるし。だから・・・』というところまで伝えようとしてくれている。こういうのってホント少ないです。これは貴重なスタンスだと思う。

五味さんというフレブルのトレーナーさんのインタビューは特に素晴らしい。この人は本当に『現実』というものを理解しているし体験もしてる。俺は感動したよ。

あとフレブルの性格的な特徴なんかもちゃんとわかっている人が書いていると感じました。フレブルは飼いやすいとか、おっとりしているとか、すっげーいい加減なことを言ってる雑誌やペットショップの店員がいるけど、ウソばっかりだから。ぜんぜんおっとりしてないし、飼いやすくは決してないです。

家の和尚だけじゃなく、ドッグランや散歩中にあったフレブルの飼い主さんも話をしてみると手を焼いている人が多い。年齢とともに落ち着いてくる傾向にあるようだけど、若いうちはどのコもかなりのモンみたいね。

飼ったことがある人や本当にフレブルが好きな人に話を聞けばすぐわかることなのに、本当にいい加減な『お決まり』のコトばっかり言ってる雑誌やペットショップは実際のことを知ろうともせずに既存の資料を調べてるだけなのかもしれないね。

フレブルは長生きできない傾向にある犬種で9歳で長生き、なんて話この雑誌で初めて知りました。すごいショック・・・。ペットショップでは中型だから15年くらいは生きると言われたのに・・・。やっぱり『マニュアル』通りのコト言ってただけなんですねきっと。それでも飼ったことを後悔してるわけじゃないですけど。

とにかく犬は生き物だからマニュアル通りに行くことは多くない、ということを前提にして書かれている記事が載っている雑誌は意外と少ないのでこの雑誌はとても良い雑誌だと感じます。これからも出たたら必ず買おうと思います。

あと、この雑誌には広告が一切載ってないのには驚きました。だからこんな高いのか。裏表紙にすら広告載ってないからねコレ。スポンサーがつかなかったのか、それともアレルギーとかに敏感なフレブル雑誌でエサに関する記事を書く場合に下手に広告を載せると言いたい事を言えなくなるからなのか。それはわからないけど、このBUHIはかなり充実した本だと思います。
テーブル下


 ■[ Books ] 2006/12/31 [ Sun ]



☆ホムンクルス (7) [ 山本 英夫 ]
ホムンクルス7

自分のコンプレックスと同様なものを持った他人を見ると強い嫌悪やなんともいえない感情が沸き起こるという心理を独特のセンスで描いている漫画の第7巻。前の巻までで描いていた女子高生の話は相当クセが強く、読んでいて引くくらいの勢いがあったけどこの巻での話の進め方は割りとノーマルで読みやすい展開。徐々に主人公のバンクボーンが明らかになっていくのが興味深かったです。

まだまだ収束していく様子が無いのでこの先ちゃんとまとめられるのかちょっと心配ではあるけれど、とても現時点では滅法面白い漫画だと思います。なかなか新しい巻が出ないので次を読むまでまた随分待たされそうなのがイヤだけど、かなり好きですこれ。
テーブル下


 ■[ Books ] 2006/12/31 [ Sun ]



☆20世紀少年 (22) [ 浦沢 直樹 ]
20世紀少年22

面白くねぇ! その一言に尽きる。この人の漫画って最初はミステリアスで良い感じなのに最後グダグダっての多くないですか? いやーホント、話が進めば進むほどつまらなくなってくるねこの漫画は。

もはやどうでもいいや。
テーブル下


 ■[ Books ] 2006/12/31 [ Sun ]



☆人生を変える!心のブレーキの外し方 [ 石井 裕之 ]
心のブレーキの外し方

石井裕之氏による人生を良い方向に変えてゆく為のコツが書かれている本。本書では表にある意識の裏に潜んでいる潜在意識をいかにしてコントロールするかを丁寧に解説してくれています。この人の別の著書である『占い師はなぜ信用されるのか?』を読んだ時も感じだのだけど、この人は非常に文章がわかりやすく面白い。それは本書でも同様です。

自分を変えていくにはどうしたら良いかを説いているこういったタイプの本では、一言で言うと結局『気の持ちよう』というレベルで話が終わってしまうようなモノも少なくないですが、これはその先まで書いている点が非常に興味深いです。本章は今まで読んだことの無い切り口でそれを書いているのでとても面白く読め、尚且つイロイロ感心させられました。

これは自分自身に行き詰まりを感じている人にちょっと読んでみて貰いたいと素直に思える本です。
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