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 ■[ Movies ] 2006/02/26 [ Sun ]



☆『県庁の星』 - 2006年2月25日(土)全国ロードショー
 鑑賞日:2006/02/25
 観賞場所:T-JOY大泉(21:10の回 レイトショー)

県庁の星

昨日の夜にレイトショーで見てきました。上映時間が2時間15分くらいあるのでちょっと長い感触でしたが非常に面白かったです。大まかな物語は以下の様な物。

県庁のエリート公務員野村(織田裕二)は出世へ野心を燃やすマニュアル人間。その彼が200億円の一大プロジェクトを任されようとしていました。それに反対する世論を納得させるため、民間のノウハウを行政にも取り入れることをアピールすることを提案します。それが上層部に認められ、自らを含んだ7人が実際に民間の企業に研修に出ることになります。

彼が派遣された先は問題だらけの三流スーパー。そこで出会ったパート店員である二宮あき(柴咲コウ)と衝突しながら民間の現実を思い知らされ、いくつもの挫折を味わいながらそれまで出世に固執するあまり見落としていた様々な大切なものに気付いていく。

ここでポイントなのが野村だけが民間の現実にブチ当たるのではなく、スーパー側も彼から沢山のことを教えられ変わっていくという要素です。全く違う考え方を持っていた双方がお互いの欠けていた部分を補いながら両者とも成長するってのが見ていてとても気持ちがいい。

ひとつひとつの描写が結構丁寧になされているので、小説なんかが原作の映画にありがちな『原作は面白いのに映画になると消化不良・・・・』なんてことにもなってない。とてもとても丁寧にしっかりつくってある佳作だと思います。終盤ちょっとご都合主義な部分も見られるけれど俺としては許容範囲でした。ご都合主義に偏りかけた場面でも程よく『現実の厳しさ』を取り入れているからわざとらしくなりすぎないんですよね。

スーパーは野村の助けによって見事に再生する。そして彼が民間から教わったことを元に今度は行政を変えようと強く提案する。一瞬『こっちも上手くいっちゃうの?都合よすぎじゃねーか?』と見ていて不安になったのだけど、そこで『行政側はそう簡単には変えられないよ』というオチに持っていってくれて一安心。そんな風にご都合主義になり過ぎないようにとても上手いことバランスとって作ってあると感心しました。

野村自身も行政を変えるのはそんなに簡単なこっちゃ無いことを理解していて、その上で『けど諦めないよ』と爽やかに笑う。その辺の演出は素晴らしかったですね。そして野村と二宮の恋愛模様も古典的ではあるけど爽やかに描けていて素直に楽しめました。

わりと先の読める物語ではあるけど、丁寧に作られていてしっかりメリハリもあるので2時間以上の長丁場も退屈することなく面白く見ることが出来ました。織田裕二×柴咲コウという売れっ子を持ってきた映画だけにかえって警戒する人も多そうだけど、これはなかなかいい作品だと思います。

DVD出たらまた見たいな。
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 ■[ Movies ] 2006/04/02 [ Sun ]



☆『セルラー』 - 2005年日本公開
 鑑賞日:忘れた
 観賞場所:家でDVDにて鑑賞

セルラー

プロモーションの仕方がサイコスリラー系とかサスペンス系っぽかったので誤解した人も多そうだけど実はとてもわかりやすい痛快なアクション映画。

物語は理由もわからずいきなり女性が誘拐され監禁されるところから始まります。そして彼女は監禁場所で壊れた電話を使い何とか外部に電話をすることに成功。しかし、あくまでも壊れた電話。自分で好きなところにはかけられない。その電話がたまたま繋がったのは軽薄そうな若いナンパ男の携帯電話。彼女の命綱はそのナンパ男の携帯に繋がった電話のみ。果たしてそのナンパ男は彼女を助けてくれるのか?

彼女からの電話を取ったナンパな男が実はかなり正義感が強い良いヤツで顔も知らない電話の相手を助けるために街中を駆けずりまわります。携帯を持って警察に行こうとするも電波の入りが悪くて警察署の目的の階に入れなかったり、混線して他のヤツの会話が混じってくるなど携帯電話ならではのアクシデントがありつつ話が進みます。

展開はカーチェイスがあったりもするし、主人公のナンパ男が非常に明るくて良いヤツなので映画全体の雰囲気は全く暗くないです。むしろちょっと笑いを誘う部分もある程。プロモーションのポスターはいかにもサスペンス風な構図だったので陰のある話かと思いきや全く違います。これは完全に宣伝の仕方を間違えたと思う。

本作は公開期間がやたら短かったように思います。上映していた映画館も少なかったから映画としてはマイナーな部類じゃないかな。俺は凄く見に行きたかったんだけどあっという間に上映が終わっちゃって行き損ねました。だから仕方なくDVDを買ってきて見たんですよね。DVDが出るまでの期間にネットなどで映画の概要を調べていて『宣伝はサスペンス風だったけど実はわかりやすい痛快な映画だ』と事前に理解していたから見たときに驚きはしませんでしたが、プロモーションのイメージだけで見た人はきっとびっくりしたんじゃないかな。

そんな風に違うジャンルの映画を期待して見てしまった人の評価がどの程度なのかは知らないけど、そういうのを抜きにして見ればかなりの佳作。これは掘り出し物だと断言して良いと思います。日本で大々的なプロモーションがあまり行われず、公開期間も短かったようなこういう映画にもかなり良い出来のモノって結構ありますね。バタフライエフェクトなんかもその部類じゃないかな。

あとこの映画はラストが良い。主人公のナンパ君が言うラストの一言がとても爽やかで素敵過ぎ。本当にユーモア溢れる素晴らしい一言だと思う。この映画のような出来事は現実にはありっこないけれど、もし仮に自分がこういうことに巻き込まれたら俺もこんなユーモア溢れる一言が言えるような男になりたいもんです。

あとこのナンパ男を演じた人は後にファンタスティックフォーにも出演してます。火の能力を身につけるキャラが彼です。そっちでもセルラー同様明るいお調子者を好演してますので気になった方はそちらもどうぞ。

それと誘拐される女性を演じたキム・ベイシンガーは名作LAコンフィデンシャルに出ていた人ですが、あの映画のような可憐な演技ではなく本作では顔をグチャグチャにして恐怖におびえる熱演が見られます。彼女の迫真の演技も要注目ですよ。
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 ■[ Movies ] 2006/04/02 [ Sun ]



☆『ソウ2』 - 2005年日本公開
 鑑賞日:劇場で2005/11/02、DVDで2006/03
 観賞場所:池袋シネマサンシャイン

ソウ2

一人で映画館で見ました。ケイコさんが怖いから嫌だって言うんだもん。そして先日DVDを買ってきて再び鑑賞。それを機にちゃんとした感想を書いておこうかなと筆を取りました。前作が非常に好評で一部ではかなり話題になっていたので二作目である本作を楽しみにしていた人も結構いると思うので参考になれば幸いです。

さて、前作では二人の男が目を覚ますと老朽化したバスルームに向かい合うように繋がれていました。そして制限時間までに相手を殺せば助かるというルールでその二人の男達は犯人に無理やり生き残りをかけたゲームをやらされました。

一体ここは何処なのか?
何のためにこんなことをやらされるのか?
そして犯人は誰なのか?
犯人の目的は?

とにかく謎ばかりの状態で物語がはじまりそれらが徐々に明らかになっていく。そしてあの犯人が判明する衝撃的なラストで俺は心底驚かされました。心から『おまえかい!』と叫んでしまいましたよ。いきなり最初から気づいた人もいるみたいだけど俺は完全に騙されたクチです。だからすっげー面白かった。

そして本作。あの驚きのオチを超えるモノなんか果たして出来るのか? そもそも前作で犯人がわかっちゃてる状態でどう話を膨らませるのか? 特に後者の疑問は多くの人が思うところだと思うのだけれど、本作ではそこを逆手に取った展開で話が進みます。なんと犯人であるジグゾーが冒頭でいきなり包囲され捕まってしまうのです。しかし、それこそが今回のジグゾーが仕掛けたゲームの筋書きそのものだった・・・という展開。

これはウマイ。本当にウマイね。

そして、そこに置かれていたモニターには刑事の息子を含めた複数の男女の姿が映し出されています。その場所は不明で、なにやら古びた屋敷のようなところです。モニターの中の連中はどうやら事前にジグゾーに監禁されているようです。そこでジグゾーからそれについての説明が入りいくつかのことがわかります。

その屋敷にいる人たちは神経ガスを吸わされているコト。3時間後に自動的に出口が開くがその神経ガスに耐えられるのは2時間であること。生き残るためには屋敷に仕掛けられている謎をルールに従って解いていき、隠されている解毒剤を手に入れなくてはならないこと。

ジグゾーを捕まえた刑事の息子もその中に含まれているので刑事は焦ります。そこからジグゾーと刑事の心理的な駆け引きがはじまり、屋敷の中に閉じ込められている人々は生き残るために必死になる、という風に本作は二つの軸が同時に進んでいく形で展開されていきます。

いきなり犯人が逮捕されてしまうという意外な序盤から前作よりも少しばかり複雑に話が展開していくというやりかたは非常に巧妙。そして前作と同じようなノリにならないように屋敷に監禁された人々のタイプも前作とかなり変えてあるのも良いですね。

前作は被害者の二人が必死でルールに従ってゲームに挑んでいきましたが今回は人数を増やし、さらに性格にクセのある人物ばかりにしたことで全く違う展開になります。とにかくエゴのぶつかり合いでせっかくのヒントにもロクに従わないし、みんなで団結し協力することも出来ない。殆ど自滅状態で次々とリタイアしてしまう。そこから前作に見事に繋がる展開も良いですね。

そしてオチ。前作とは違う形だけれど系統は似ています。充分驚きはあると思う。やはり前作の衝撃は超えられてないけれど、そのオチにいくつかの驚きを連続して持ってくることで充分楽しめるレベルのモノに仕上げているとは思います。一作目が予想以上にヒットして急に用意された続編としては見事に成功した珍しい例だと思います。

DVDの発売に合わせてソウ3の発表もあったみたいだけどさすがにそれはやめておいた方がいいんじゃないかなぁ・・・・。大丈夫かな。
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 ■[ Movies ] 2006/05/30 [ Tue ]



☆in her shoes - 2005年日本公開
 鑑賞日:DVDで2006/04
 観賞場所:家にて

in her shoes

すばらしい映画。何度も見たい映画。

日本ではあまりプロモーションされなかった感じがするんだけどなぜだろう。本当にいい映画だと思うんだけどな。キャメロンディアスが主演で、尚且つごらんの様なDVDジャケがクソ映画『ブリジットジョーンズの日記』を彷彿とさせる為ちょっと警戒する部分もあったんだけど実際に見たら良い意味で想像と全く違う映画でした。

恋愛映画とか言って宣伝宣伝してるのを見かけたけど、本作のメインテーマは恋愛ではありません。見た目がセクシーで男にモテる変わりに無職でダメな感じの妹と、エリートの道を歩んでいながらも自分には女性としての魅力が無いと思い込んでいる姉の対比を軸に話が進む、人生観、生き方を問いかけるのがメインテーマとなっている深みのある映画です。

妹を演じるのはキャメロン・ディアス。彼女は女の色気を利用して世の中を行き当たりばったりで渡っている自由人。しかし、心のどこかで自分の生き方に疑問を抱いています。実は、彼女は文字の読み書きが出来ないという障害を持っていて、それと真正面から向き合うことが出来ずに自分を誤魔化しながら生きています。

一方、姉は弁護士。仕事をバリバリこなすキャリアウーマンなのだけれど、自分には女性的な魅力が足りないと思い込んでいる女性です。それから目をそらすように仕事に打ち込んでいますが、どこか満たされない虚しさを感じて生活しています。

まったく違う生き方をしている姉妹ですが、形は違えど両者ともコンプレックスを抱えていてそれに真正面から向き合えないでいるのです。そして妹が姉のところに転がり込んできたことをキッカケに両者はぶつかりあいながらも徐々に互いを理解し、自らのコンプレックスを克服し、自分の足で自分の道を歩くことを見つけてゆく姿を描きます。

演出は抑え目に淡々と進行していく映画ですが、それが効果的に自然さを演出しているのがステキなのです。過剰な演出によって『感動』を押し付けてくる『自称感動映画』にはない余韻がこの映画にはあります。ちょっとホメ過ぎかもしれないけど、名作『ショーシャンクの空に』を見たときに近い余韻を感じました。内容はぜんぜん違いますけど。

映画の中で出てくる姉が買うだけ買って履くことが出来ないでいるたくさんのかわいい靴をこの映画のメインテーマに重ね合わせて描いている点もステキです。キャメロン・ディアス主演のお気楽恋愛映画だと思ってパスした人がいたならそれは大きな誤解なので機会があればぜひご鑑賞を。
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 ■[ Movies ] 2006/05/30 [ Tue ]



☆ゲームセンターCX DVD BOX1- 2005年発売
 観賞場所:家にて

ゲームセンターCX1

ゲームセンターCXは30才前後のゲーム好きにとっては夢のような番組です。本DVDはCS放送フジテレビ721で放送されたその番組をDVD化したもの。現時点ではすでにゲームを卒業してしまった30代にも感動的な番組でしょうこれは。

このゲームセンターCXはよゐこの有野氏が懐かしいゲームを紹介する番組です。超有名ゲームを開発したゲームクリエイターにインタビューをしにいったり、その辺の素朴なゲームセンターを訪問してレポートしたりします。

そして忘れてはならないのは有野氏がファミコンやスーパーファミコンなどの懐かしいハードのゲームをプレイするコーナー『有野の挑戦』。自力でのクリアを目指して10時間以上ぶっ続けでプレイすることも稀ではありません。有野氏は『ひえピタ』を額に貼ってがんばります。

本DVDはその『有野の挑戦』を中心に構成したDVDボックス。『有野の挑戦』の他には『たまに行くならこんなゲーセン』が少しだけ収録されています。そちらも面白いからもっとたくさん収録してほしかったなぁ。

で、本DVD収録の『有野の挑戦』にて有野氏が挑戦しているゲームは、番組で取り上げられたモノすべてを網羅しているわけではないのでちょっとガッカリなんですが、それでも収録時間はボリューム満点で予想以上に満足できました。

このDVDのために改めて収録された『トランスフォーマーコンボイの謎』は必見です。俺はこのゲームを自力でクリアしたことがあるんですが、知らない事実が多数紹介されていてとても楽しく見ることが出来ました。

ゲームセンターCXという番組が楽しすぎるのは単にゲームに挑戦するという要素だけでなく、有野氏のマイペースなリアクションやコメントがあるからなんですよね。彼を選んだ番組スタッフはとても良いセンスしてると思います。そして、有野氏がゲームに行き詰ってしまったときなどに登場する番組のADなんかも非常にステキ。

大の大人がファミコンのゲームをクリアするためにホワイトボードの前で攻略法を相談するところなんか本当に楽しい気持ちになれます。友達と一緒にあーだこーだ言いながら命がけ(心意気的には)でゲームをしていた子供の頃を思い出させてくれるんです。

レトロゲームという要素はもちろんこの番組の中心テーマですが、それよりもくだらないことに一生懸命になれたあのころの純粋な気持ちを思い出させてくれるという精神面の要素がこの番組の大きな魅力でしょう。

昔もゲームを紹介する番組はテレビ東京とかでやってたけど(ファミっ子クラブとか)、その手の番組はゲームに興味の無い大人が無理やり作ったようなわざとらしさや的外れ具合が痛かったけど、ゲームセンターCXは当時心からファミコンを楽しんだ世代が本気で作ってる。それがこの番組を面白いものに昇華させているのは間違いないと思います。

オフィシャルサイトはこちら

ちなみに6月にはDVD BOXの第二弾が発売され、同じく6月から第5シーズンとしてゲームセンターCXが帰ってくるようです。これは楽しみだぜ。
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 ■[ Movies ] 2006/07/10 [ Mon ]



☆『DEATH NOTE前編』 - 2006年6月17日(土)全国ロードショー
 鑑賞日:2006/06/24
 観賞場所:T-JOY大泉(レイトショー)

デスノート前編

少年ジャンプに連載されていた超人気漫画の実写映画化。

退屈していた死神がわざと人間界にデスノートなるモノを落とし、それをたまたま拾った人間がどういう行動をするか見守る。死神は退屈しのぎにそんなことを思いついた。

デスノートとは死神が人間を殺すときに用いるノートで、それに名前を書かれるとその人間は死ぬという代物。ノートには様々なルールがあり、それにしたがって死因などを書くことにより死に方まで操作出来たりする。

それを拾った夜神ライトという青年は犯罪者を殺すことによって、自分自身が世の中を犯罪の無い世界に変えることを思いつく。そして彼は犯罪のない新世界の神となる為に次々と犯罪者を殺していく。しかし、何かしらの方法で人為的に犯罪者が殺されていると察知した警察が謎の探偵『L』と共に犯人の捜査を始める・・・・・。

という感じの物語。

ハッキリ言ってノートに名前を書いたらその人間が死ぬ、という発想は実に幼稚です。いかにも小学生くらいの子供が考えそうなアイディア。それはドラえもんの便利道具に発想が似ていると思う。幼い頃、子供心に『こんなことが出来る道具があれば良いのに』と想像したことのある人は少なくない筈。

この物語の原作は実に幼稚で単純でありきたりなアイディアをスタート地点としながらも、今までにない角度からそれを描いたことから爆発的にヒットしたのだと思います。

多くの人をひきつけるモノは、実は非常に身近で単純なモノであることが多いです。音楽なんかもそう。名曲と言われ長年親しまれる楽曲は非常にシンプルでわかりやすいモノが多い。ロックで言えばビートルス、ニルヴァーナなんかもシンプルなのに素晴らしい。

多くの人を魅了するモノの題材はとんでもなく遠いところから見つけてくるのではなく、足元にずっと転がっているモノをヒョイと拾い上げることから始まると思うのです。そしてそのありきたりなモノをいかに料理するか。そこが名作か凡作かの分かれ道になるんじゃないかしら。

デスノートの原作は見事に名作として多くの人に支持を受けた。そして、勇敢にも実写映画にしちゃったというのが今回紹介する『デスノート前編』です。

ここまで長い前置きをしておきながらこういうのもナンなんだけど、俺は原作のファンではありません。7巻くらいまで買って読んだんだけど説明的なセリフが多すぎてだんだん読むのが面倒くさくなってしまいました。その後は漫画喫茶で最終巻の手前まで斜め読みして結末はジャンプで確認。つまり途中からあまりちゃんと接してません。

原作の中で登場人物が語るセリフには日常的な会話や、その人物の生い立ちを匂わせる自然な言葉というものがあまり無く、警察側と主人公側が事件に関わる駆け引きやトリックなどを説明する為のセリフが滅茶苦茶多い。俺にはそれが読んでいて辛かったのです。

完全に好みの問題だけど、俺が個人的に物語を見たり読んだりする場合、物語の本筋部分とは別に世界観を深める為の余分な言葉や展開がそれなりに存在していないと感情移入出来ないことが多いのです。

俺個人の好みとして物語を楽しむためには、本筋を語るだけなら無くても意味が通るけど、それがあることによって本筋がより深いものとなるという『サイドストーリー』的なモノが絶対に欲しいんです。

デスノートの原作にはそれがあまりない。というか、あってもあまり重視されていない。それでなんかシックリこなかったんです。良いとか悪いとかじゃなく好みの問題で。

で、連載漫画のようにある程度のボリュームで描かれている物語だと確かに前述した要素が無いと入り込めないんだけど、映画という短い尺の中で展開されれば逆にテンポが良くて面白いんじゃないだろうかと期待して映画館に行きました。

その予想は割りとあたってました。この映画はそれなりに面白かった。『L』のなりきり具合もなかなか良かったし、死神もアップになると激しくCGだけど引きで見ると意外といけてる部分もあったし。夜神役の藤原君は個人的に好きな役者では無いけれど悪くなかった。漫画っぽいセリフの言い回しは気になったけど原作が漫画だから仕方ない。

あと、夜神の犯行動機がイマイチ描かれていないのが腑に落ちないという意見をネットで結構見たんだけど、原作だってそんなもん大して重視して描かれていないじゃん。だから本作は原作の序盤を多少のアレンジを加えながらも基本的な部分は原作通りに作られているといって良いでしょう。

無理して2時間に全部をおさめようとせずに前編と後編に分けたのは正解。展開がそれなりに丁寧に描かれているので置いてきぼりにされる場面はありません。後編の公開まで結構間があくのはつらいけど、この前編は後編が公開されるまでを楽しみに待つだけの魅力は備わっていると思います。

後編はどう持っていくんでしょうね。原作のようになんの工夫も無く普通にライトが敗北して死ぬところまで描くのか、それとも『L』との対決までを原作に沿って描くのか。とりあえず原作の終わり方は面白くもなんとも無かったので同じような感じにはしないで欲しいなぁ。映画では『L』が勝てばいいのに。

あと、後編では前編でのあまりにも酷いエキストラの演技を何とかして欲しいですね。ホント、この前編でのエキストラたちの演技は限度を超えた酷さなので本編の悪くない流れが壊されていてもったいないよ。FBIの外人たちの死ぬときの演技はふざけているのかと思うくらい酷いです。デスノートの怖さを表現しなきゃいけないのに笑わせてどうするよ。もうちょっとマシなヤツらを連れて来い。

そんな感じで後半も楽しみなのでまた見に行くと思います。
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 ■[ Movies ] 2006/08/20 [ Sun ]



☆『時をかける少女』
 鑑賞日:2006/08/12
 観賞場所:シネプレックス新座(21:40の回 レイトショー)


時をかける少女

ネット上での評判がすこぶるイイので興味をひかれて見に行ってきました。時間を飛び越えて過去に戻る能力を突然手に入れた女子高生が主人公のタイムスリップモノです。多くの方がご存知のとおり、本作は過去に何度も実写化されている同名小説のアニメ版です。

俺は過去の映画は全く見たことがありません。原作の小説も読んでいません。なのでそれらとの比較は出来ませんが、ネットで調べた情報によると、このアニメ版は原作の大まかな流れは引き継いでいるものの、主人公が全く違う少女になっていて、大幅にアレンジが加えられている『新しい』時をかける少女となっているようです。

本作の主人公はとても明るくて元気な女子高生。彼女が偶然手に入れた時間を飛び越えるという能力を使って、最初は自分にとって都合の悪いことを無かったことにしたり、個人的な些細な望みをかなえる為に何度も何度も過去に戻ります。その部分は非常にテンポがよくコメディタッチで描かれているので爽やかに笑わせてもらいました。

ところがその行為が現実の出来事を徐々にゆがめていきます。他の人が不幸な目にあったり、自分が望んだのとは違う方向に話が進んでしまったり・・・・。この辺はバタフライエフェクトという映画であった展開とよく似ています。あの映画ほど深刻な状態にはならないけどね。

そして彼女は時間の大切さや、目の前のひとつひとつの出来事に向き合うことの大切さを身をもって知っていきます。そういうことに気づいていく主人公を描きながら最後はちょっと切ないけど爽やかに終わります。

基本的には割と楽しんでみることが出来たんですが、見終わった後になんとも言えないモヤモヤ感が残りました。それは設定の曖昧さ。主人公が時間の飛び越える能力を手に入れることとなった原因や、それの原因を持ってきた人物のバックボーンなどの詳しい説明が殆ど無く、『時間を飛び越える』という行為において、詳しく描くとつじつまあわせが面倒くさくなるであろう部分をわざとすっ飛ばして描いている感じがしたんです。

本作での主題はそんな複雑な部分ではなくもっとシンプルなところにあるので、その辺がボヤけていても問題はないのかもしれないし、気にならない人は気にならないのかもしれないけど、個人的にはそこがしっくり来ませんでした。なんとなく投げっぱなしになってる部分が沢山残ったまま終わる感じが気持ち悪いっつーかさ。

巷では満点に近い点数をつけている人がかなり多い映画ですが、個人的には70点くらいかなぁ。ちょっと期待しすぎたのかも。
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 ■[ Movies ] 2006/08/28 [ Mon ]



☆『ティム・バートンのコープスブライド』
 鑑賞日:2006/08/26
 観賞場所:自宅ケーブルのVODにて鑑賞


コープスブライド

家で加入しているケーブルテレビのVODとかいうサービスで見ました。非常に面白かったです。CGなみに滑らかな動きのクレイアニメーションがすばらしい。物語以前にまずその技術に感動させられました。

ところどころがミュージカル風味になっているのだけど、ディズニーの同タイプのノリに感じてしまう気恥ずかしさは皆無。ただただその映像の素晴らしさに感動しました。

そしてもっとも重要な物語部分。これも素晴らしい。正直ここまでまともなお話だとは思っていなかったので驚きました。基本的に設定はファンタジーでありながらもグイグイ引き込まれる説得力がありました。そしてラストは切なくも美しい。

70分ちょっとという短い尺の中で独特の世界観をベースにしながらもとてもわかりやすく、しかもしっかりとした物語を構築しているのは本当にすごい。ティムバートンってただの変わり者じゃなかったんだなぁ。こんなにもわかりやすくて切なくて美しい作品が作れる人なんですね。

最後に。

現実世界がグレー系の色彩で描かれていて、死者の世界がカラフルに描かれていたのがとても印象的でした。その色彩の使い分けにより現実世界の人々よりも死者の世界の人々の方が活き活きとしているのを明確に表現しています。そういうところに人間の欲望が渦巻く現実世界へ皮肉めいたものを込めているのかもしれないですね。
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 ■[ Movies ] 2006/10/28 [ Sat ]



☆『弁護士 灰島秀樹』 - 2006年10月28日(土)フジテレビ放映
 鑑賞日:2006/10/28
 観賞場所:自宅


やや。かなり面白かったです。踊るシリーズのスピンオフはどれもこれも企画が実を結んでおらず、どんどんファンをがっかりさせてくれましたが、意外や意外。スピンオフのスピンオフが一番出来が良かった!

『交渉人 真下正義』はメリハリが無く盛り上がりに欠け散々引っ張った後何も解決しないまま終わるわ、『容疑者 室井慎次』も同じく盛り上がらないまま気張りすぎた演出ばかりに違和感を感じ三流舞台劇を見てるみたいでどうにもならなかったし、『逃亡者 木島丈一郎』は悪くなかったけど木島の強烈なキャラを活かしきれてなかったので、灰島もスピンオフをやると知ったときはこの期に及んでまだやんの?と思ったけどこれが一番良いとは驚いた。

テンポ良し、キャラ良し、ラストの痛快さも良し。リアリティーは無いけどドラマとしての面白さは十分実を結んでいたと思います。正直踊るシリーズで本気で大好き!と言えたのは最初のドラマだけでした。青島が交番勤務にまわされちゃうところまでは本当に面白かった。けど、その後のスペシャルはなんかイマイチだったし、映画は嫌いじゃなかったけど映画としての出来は酷かった。

で、この灰島。踊るシリーズの中で最初のドラマシリーズ以来やっと『面白い!』と言えるモノが出てきた感じです。いやはや期待していなかっただけにかなり得した気分。
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 ■[ Movies ] 2006/11/03 [ Fri ]



☆『DEATH NOTE -the last name-』
 2006年11月3日(金)全国ロードショー
 鑑賞日:2006/11/03
 観賞場所:T-JOY大泉(21:30の回 レイトショー)

デスノート the last name

非常に面白かったです。前半よりも原作のいい部分を上手に抽出してかなり巧みにまとめていたと思います。2時半近くの長い上映時間も気になることなく最後までまったく飽きずに見ることが出来ました。これはかなりの力作ではないでしょうか。

あまりにも酷いエキストラ達の演技は今回も同じなんだけど、それが気になるのは序盤だけで、そこを過ぎてしまえばほぼ主要人物だけで物語が進んでいくのであの酷い学芸会のようなエキストラ達の演技はほとんど姿を見せなくなる。だから前編よりもこの後編の方がずっと物語に集中出来ました。

さらに原作ではグダグダになっていた部分を上手に簡略化し、余計なものを取り払った上で重要な部分はうまいこと活かしていたのも良い。Lのキャラクターも原作よりキモイけど、これはこれでいい感じで再現していたし、ライトも前編よりも遥かに『らしさ』が出てたと思います。

そして何よりもラスト。ネタバレはしないけど、とにかく原作の数百倍はよかった。本当にウマいことまとめたなと思いました。原作でLが死んだ時点で、悪い意味で『えええ!?』と驚き、その後はかなりどうでも良くなってしまったけど、この映画ではそういう悪い驚きはなかった。これが最善の終わらせ方だと俺は思う。

先日テレビでやった前編を見て『まー悪くは無いよね』くらいに思った人はこの後編をぜひ見て欲しいです。あと原作のラストに納得できなかった人にも見て欲しい。見事に盛り上げてから終わらせてくれました。個人的にはかなり満足して劇場をあとにしました。

だからこそ逆にあの酷いエキストラたちの演技や、ところどころ垣間見える演出のツメの甘さが勿体無く感じちゃうんですけどね。まあそれはともかく、やっぱこのデスノートにおいて一番魅力的なキャラであるLが原作みたいな死に方しちゃダメだよ。この映画を見習って欲しいよなぁ。
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