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カウンター的な意見の述べ方


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■はじめに
これは過去に日記において二回に渡って書いたことを前半、後半としてひとまとめにしつつ、テキストとして単独の文章として読めるように加筆修正をしたものです。具体的な内容は実際に読めばわかりますが、前半と後半では言ってる事が微妙に変わってます。その俺の意見の変化に至る経緯を理解しつつ読んでいただけると、あえて二回分の日記をここにひとまとめに載せた意図が伝わるのではないかと。それを前提にしつつ読んでみてくださいな。




■前半
『〜なんて言ってる人もいるようだけど、俺はそうは思わない。だってさ云々・・・・』なんつう文章ってこういうサイトやってると結構書いてしまいがち。元となった意見を述べたその人へ向けた明確な反論としてではなく、その人の意見は『単なる一例』としてボンヤリと挙げつつ、結局はその意見にカウンターパンチっぽく自分なりの物言いをするっつうか。


何かを論じるときにそういう文章の書き方ってのはとても簡単。しかもちょっと説得力があるように見えたりもする。既に出ている自分の意見とは違うそれを一例として挙げることによって、遠まわしに自分の意見の方が一歩先を行ってるかのような雰囲気を出せるからね。つまりは一例として挙げたその意見を述べた人に正面から明確に反論することはしないで、自分の意見の引き立て役として利用するという。


それって冷静に考えるとなんかとてもイヤらしい手法だよね。自分とは全然違った他人の意見はひとつの価値観としてしっかり認める姿勢はもってまーす、というのをアピールしながら、同時にその意見をエサにして自分の優位性をもアピールするなんて、なんだかとてもセコイ感じです。けど、実際そういう場合ってのは相手の価値観を認める姿勢をアピールしているつもりでも、結局のところ相手の意見を見下した態度になってしまうんだよね。


『俺はこれについてこう思う。』とだけ言い切ってしまえばそれで充分なのに、わざわざ他の人の意見を自分の意見の引き立て役として利用するってのは、こういうサイトをやってる者として安易にやってしまってはいけないなあと思うんですよね。だけども俺自身そういうことをかなりしてる。気を抜くとやってる。過去に書いた音楽のレビューなんかでもそういう記述が結構多いです。King Crimsonのトコなんか特にそういうの書いた記憶があるんだよな。あとで読み直してみよう・・・。で、きっとその一例に挙げられた意見を述べた人が俺の文章を見たらそれなりに気分が悪いと思う。


最近になってそういう書き方ってどうなんだろうって自分で妙に気になりだしたのよね。日記はまあリアルタイムで気持ちの変化がダイレクトに書かれたものがそのまま残るから意味があるわけで、それを後からそっと直すようなことはしたくないからこれから気をつけるということしか出来ないけどさ。


音楽のレビューだとかテキストだとかで取り上げている事柄は一応自分の中でのまとめ的な意味合いがあるから納得できない部分が出てきたら直したいのよね。内容はそのままに、そういった安易な手法だけを直したいわけ。だからあからさまにそういう手法で書かれたテキストとレビューは出来るだけ手直ししようと思ってます。今の時点では直してないけど。


誰かの意見を遠まわしに見下した形で取り上げてそれに当てつける形で自分の意見を書いているってのは、ぱっとみは毒っぽさも簡単に出せるしちょっと説得力あるっぽく見えるけど、それはやっぱりあんまり建設的な意見の述べ方だとは言えない気がしてきたのよね。俺がたまに変なのに絡まれるのはそういう俺の姿勢にも問題があるんだろーなと思うわけです。


前に俺のモーニング娘への接し方の事を書いた時に一回絡まれたことがあるんだけどさ。その時にキッカケとなった文章の書き方がまさにそういう感じだったんだよね。それに関する今の俺の意見ってのは以前となにも変わらず、『俺はモーニング娘の音楽にアーティスティックなもんなんか求めてないし単なるキャラクター商品のひとつだと思っているから、他の音楽と同じ価値観で語るつもりは全然ないぜ!』というものです。


だったらそれだけをシンプルに言えば潔かったのに、その時の俺は『モーニング娘の音楽をクソまじめに語るのはひとつの価値観としてアリだとは思うけど俺から見れば痛いヤツだぜ!』なんて趣旨の記述を付け加えて、自分がそういう人たちよりもモーニング娘に冷静に接してるんだぜというようなモノを遠まわしにアピールして、尚且つ相手の価値観はひとつの価値観としてアリだしそれは否定しませんよ、みたいなモノも遠まわしにアピールしてるのね。けど結局はモーニング娘の音楽をまじめに捉えている人たちを見下した態度になってるから絡まれたわけだ。結局、俺のその書き方は全然相手の価値観を認めてねー態度になってんだよな。


もちろん人の顔色を伺って当たり障りのないことばかり言うのはクソ面白くもないけどさ。それとはまた違う話じゃんこれって。自分の意見は自分の意見として言い切っていいに決まってる。だけどそれに余計なモンをくっつけてわざわざ自分と違う意見を持っている人を見下したような態度を取る必要もねえだろ、という話ね。何かの感想なんかを述べるならシンプルに『俺はこう思った!』で良いのにね。最近そんな自分がやけに気になるんでなんとなく自分ツッコミしてみた。


遠まわしに自分の方が優位だぜみたいなのをアピールするってのは、一見すると凄くプライドが高くてエリート意識が強いように見えるけど、実は自分の意見への自信のなさの現われっつうか、心のどこかで『俺の方がすごいでしょ? ね? 俺の方が一歩上でしょう?』と誰かに認めてもらいたいという、自分が弱いからこそ持っているコンプレックスが滲み出てるのかもしれんなあと思ったら猛烈に恥ずかしくなった今日この頃。




■後半
前半で書いた『既出の意見を例に挙げながら自分の意見を書く行為』についての話をもうちょっと書いてみよう。あれを書いた後にそれに当てはまりそうな自分の文章をざっと探してみたんだけど、音楽のレビューではそこまで多くないなと思いました。


確かに既出の意見を例に挙げているのはあるけどそれはホントに参考意見として挙げているだけに留まってる感じで自分で納得できました。けど、その反面やっぱテキストの中ではそれに当てはまりそうな雰囲気のモノが結構多いね。で、手直ししようかなと考えたんだけど、結局のところ、ほんの一部以外は殆ど手直し出来そうもないのよね。ほんの一部っつうのは前半において例に挙げたモーニング娘のことを書いてる文章のこと。あれはちょっと書き方が極端過ぎたし言葉足らずの部分も多かったね。


で、前半の文章で言いたかったコトは、要するに既出の意見を例に挙げることが単純にダメだというのではなくて、『表向きは既出の意見を尊重してる風なのを装って書いていても本心の部分でその意見を見下している場合はどうしても必要以上にイヤな感じの当てつけ的な文章になってしまうし、潔くない』という感じです。


自分が過去に書いたそれに当てはまりそうな文章を探して読んでみたんだけど、そこでは既出の意見を見下すっつうよりも『俺はそういう意見にはこういう理由で納得出来ない』と言っている感じになってんのね。遠まわしもなにも殆ど『納得できねえ!』言い切ってるも同然の文章を書いているのね俺。


多分それらの文章を書いた時点での俺の腹の内ってのは、『既出の意見を尊重してる風なのをある程度装いつつ、「そりゃ違うだろ」というのを遠まわしに書いてやろう』とか思ってたんだと思うんだけどさ。そんなの全然出来てないのな。結局モロに直球なの。その自分の不器用っぷりに自分で笑ってしまったよ。だからその不器用なトコも含めてこれはこれで良いんじゃねーかと思っちゃったのよね。


前半の文章を書いている時点では、もっと回りくどい文章をいっぱい書いてるかと自分で思いこんでたけど、今こうして読み返してみると結構潔く言い切ってるね。それだといくら既出の意見へのカウンター気味文章でもそれそのものが自分の意見なんだから直しようがないのな。その『既出のこんな風な意見は嫌いだぜ!』という直球の文章がイヤだったら手直しとかじゃなく、消さないとダメだなという風に思ったよ。


けど、ウソを書いてるわけじゃないし、そもそも自己顕示欲が強いからこんなサイトやるに至ってるわけで、そこを気にしてたらサイト自体が成り立たなくなっちまうよなあ、というところに行き着いちゃいました。もうこれはどうしようもないんだなきっと。嫌いなもんをひたすら突っつくようなことだけはしたくないとは思うけど、時にはカンに触る意見もあるわけでそれに対してひたすら黙ってられるんならこんなサイトやってないよな。


どうしても既出の意見に反応したくなる瞬間はあるし、それがただの罵倒に終わらなければそれでいいだろ、という風に考えるようにしました。あんまりそういった部分を考えすぎるとホントなにも書けなくなるよなー。っつうか正直なとこ、考えてたらわけがわからんようになってきたので考えるのやめたって感じに近いけども。


だって色々考えてもこういう話の行き着くところって『バランスの問題』って話になっちまうんだよね。常に『俺様の意見が正解!それ以外は間違い!』という姿勢でしか意見を言わない人の文章は正直気分悪いです。だけど、時には『それはちがうだろー!それは気分わりーぜー!』と言いたくなる瞬間もあったりするわけだから。


で、既出意見へのカウンター気味の意見をここに書くことによって結果的に変なのに絡まれるコトになってもそりゃ仕方ねーだろうなと。そこはなんとかその都度対処していきゃいいだろと。ここでの『絡まれる』っつう行為はもちろん『反論』と呼べるモノを指しているわけじゃないですよ。そりゃ特定の相手がしっかり議論するという姿勢を持って反論してきたらそりゃちゃんと話をします。話が通じる相手ならね。当然相手が『変なの』だったら無視しますけど。


とにかく、必要以上に人を不快にさせないというコトを、ある程度配慮しながらも納得できないもんは出来ないと言い切るっていうのはホント難しいっすね。その辺のバランスを上手く保つには、やっぱりそれなりの失敗を繰り返して成長するしかないんだろーな。それかひたすら黙ってるか。後者は俺の性格だと間違いなく無理だけど。黙ってらんないからこんなサイトやってんだし。


で、冒頭にちょっと触れたことだけど、前半で例に挙げたモー娘のことを書いてる『そもそも土壌が違う』っつうテキストだけはやっぱすげえ直したかったんで直しました。あれだけはちょっと度を越えてると自分で思ったもんで。言ってることは変わりないんだけど、勢いだけで書いたものがそのまま残ってたんで、かなりフォローを追加しつつ言い回しなんかもかなり変えました。ずっと明確に誤解も少なくまとめたつもり。


今回の話題を書いてて改めて思ったのは、やっぱ俺にはスマートに振舞うってのは無理なんだなあということだねー。言ってるそばから自分の意見に疑問を感じちゃってるんだもんな。大して頭よくねーのに自分の意見だけは言いたいというこの性格なんとかなりませんかホント。



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